フードデザート問題、新宿での復興市場

 NY? マカオ? それとも東京ディズニーランド?
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・・・等と規模は比べるべくもありませんが、地元の駅前広場には今年もイルミネーションが飾り付けられました。
 今は日本でも普通に見られるようになっていますが、特に今年はエネルギーや節電について議論されている中、複雑な気持ちが無くはありません。しかし一方で、このような世情だからこそ、せめて街を明るく、ということも大事でしょうし、LED採用等で消費電力を減らす取組も進んでいるとのこと。
 ところで設置したのは地元の商店会。灯りを見ていると、地元の商店街が頑張っていることの方に心が温まります。
 というのは、近年、食品の流通は大きく変わり、郊外に多くのショッピングセンターが立地したこと等から、昔ながらの市街地にある小売店は大きく減り、いわゆるシャッター街が日本の各地に見られるようになっています。その結果、自分で自動車を運転できない高齢者等の社会的弱者と呼ばれる方たちが、生鮮食品を簡単に入手できなくなっているという問題が起こっているのです。
 欧米では「フードデザート」(食の砂漠)問題と呼ばれ、以前から社会問題化していましたが、日本でも最近、買い物難民、買い物弱者等の言葉で注目されるようになっています。
 12月10日(土)は、この「食品アクセス問題」をテーマにした日本フードシステム学会の特別研究会が、銀杏散る東京大学で開催されました。
 以前、私も所属していた農林水産政策研究所からは、日本全体をメッシュ化して分析した結果、生鮮食品を買うのに不便や苦労があると推定される人数は全国で910万人と全人口の7%、65歳以上の高齢者では350万人(13.5%)いるとの深刻な状況が報告されました。この研究は、ケーススタディやアンケートも含む多岐にわたるもので、詳しい内容は同研究所のホームページに掲載されています。
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 続いて茨城キリスト教大の岩間信之先生、女子栄養大の田中久子先生、山崎製パン日高博司氏、日立市都市政策課の高橋正朗氏から報告。最後の討論も含め、健康、貧困、コミュニティ、地域政策等と関わる非常に幅広い内容に及びました。
 私の専門との関係で言えば、中心市街地の衰退と郊外型ショッピングセンターの増加に伴い、買い物の手段が徒歩や自転車から自動車利用にシフトしており、エネルギー利用と二酸化炭素排出量の側面からも議論する必要があるのでは、と考えています。イギリス等では10年以上前から注目され論文も出されています。
 さて、研究会からの帰途、新宿に寄り道しました。この日から14日(木)までの間、「東日本大震災復興市場」が開催されています。
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 呼びかけ人は区議の根本二郎さん
 かねてより「歌舞伎町農山村ふれあい市場」を定期的に開催され、当日は、自ら育てた内藤唐辛子(新宿の伝統野菜)の焼き鳥を自ら焼いて販売されるなど、地域おこし等に熱心に取り組んでおられる方です。
 福島県いわき市のご出身とのことで、最近は被災地支援にも尽力されており、その一環で、今回、新宿5丁目の1等地で期間限定の「復興市場」を開催されているものです。
 この日は、もう暗くなっていましたが、呼び込みの方もおられて熱気があります。毎日、イベントも開催されているとのことです。
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 会場でいわき市の観光物産課長さんと立ち話。
 ここにきて、規制値を超えたセシウムが検出される米が相次ぐなど、状況はますます厳しくなっているとのこと。「がんばっぺ!いわき」応援サイトの開設、フラガールの皆さんも参加して全国キャラバンを実施されるなど、被災地は頑張っておられます。
 私の専門との関係から言えば、地産地消や自給率向上のためにも福島、東北は極めて重要な地域です。日本人全体で、この苦境を乗り越えなければなりません。
 ちなみにこの日は、いわき市名産の秋刀魚の「旨干」やじゃこ天など(トマトはサービスで頂いてしまいました。)、宮城県気仙沼市の「鰤ほぐし」、茨城県那珂市の日本酒などを求めました。
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 新宿での「東日本大震災復興市場」の開催は14日(水)の20時まで、場所はメトロ新宿3丁目駅C7出口から徒歩2分、靖国通りに面した「サカゼン」の反対側のビルの1階です。
 多くの方に足を運んで頂ければと思います。