「呑みマス!ニッポン」

「呑みマス!ニッポン」という集まりがあります。
もともと日本酒好きの女性達が神田「なみへい」に集い、各地の銘酒を楽しむという「女子会」だったそうですが、3.11月以降、東北や北関東の蔵の日本酒を飲むことで被災地を支援しようという趣旨に衣替えされ、男子もオッサンも参加可能となりました。毎月1回、原則として11日に開催されています。
12月11日(日)には9回目が開催されました。
つまり震災から9ヶ月が経過したということです。私は6月以来、2度目の参加です。
会場は三軒茶屋の「愛と胃袋」。 「なみへい」の前料理長が独立し9月にオープンしたばかりのお洒落な和フレンチのレストランです。
この日の参加者は約20名、やはり多数派は女性です。「きき酒師」の資格を持ち自らグラスを何個も持参された方、酒造組合の「日本酒セミナー」を受講された方など、強者揃い。
さて、この日の日本酒のラインナップは宮城のもの。
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気仙沼市の男山本店「蒼天伝」の大吟醸、純米吟醸、特別純米。
栗原市の萩野酒造「東日本大震災復興清酒・左右平」。
石巻市の平孝酒造「日高見・天竺」純米吟醸、「日高見・純米」。
いずれも大きな被害を受け、今年の酒造りは困難視されていたのを、何とかまずは地元を元気にしたいと強い思いで生産再開にこぎ着けられた蔵です。選りすぐりの銘酒が、特別に現地から取り寄せられました。
料理の方も手が込んでいて、見た目も美しく美味しいものばかり。
最初は卵の洋風茶碗蒸しに驚き。ホタテのバター焼き、ホタテのヒモ、酒盗、鴨肉等の盛り合わせ、白身魚の煮物、鹿肉のソテー等。料理の順番と味付け等も、出される日本酒に合うように工夫されているとのこと。
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食事の途中、「気仙沼コンシェルジュ」のSさんからは、現地の復興の状況と、銀座にオープンした「東日本復興応援プラザ」の紹介。
Sさんが特に強調されていたのは「ぜひ観光に来て欲しい」ということ。被災地に物見遊山とは個人的には抵抗感があったのですが、現地では飲食店等も続々と再開しており、地元住民だけではマーケットが不十分とのこと。観光に行くことも大きな支援です。
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次に紹介されたのは「タコたわし」。
南三陸町で被災し仮設住宅で暮らす女性達が一つひとつ手編みで作ったもので、少量の洗剤で食器等が洗えるそうです。
オークションでたちまち参加者に競り落とされ、わが家にも赤いのが1匹来ることに。
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続いて披露されたのは、塗り箸です。
これは、福井県小浜市にあるメーカーが、南三陸町の被災者に検品と包装を発注しているもの。つまり、今、被災地で一番求められているものの一つである「仕事」を作っているのです。こういう支援のスタイルもあるのですね。
カラフルでデザインも素敵な塗り箸は、下塗りから仕上げまで、全て合成塗料を含まない「バージン漆」を使用したもの。それで一膳525円とお得感一杯。神田「なみへい」でも販売しているそうです。
他にも参加者の皆さんからは次々と話題が提供され、私からは新宿の「復興市」を紹介。せめて人数分のチラシを持って行けば良かったのですが。
ところで、6月の会合に参加した際、偶然隣り合わせになったIさんご夫妻から益子焼きの湯飲みを頂いたことは、以前ブログにも書きました。震災で全壊した釜に唯一残っていたという貴重なものです。何かお返しをと思ったのが、この日の会合に参加した理由の一つだったのですが、そのような貴重な湯飲みに釣り合うものなど無く、結局、拙著を1部、進呈させて頂くことにしました。全く釣り合わないものとなってしまいました。
Iさんの奥様も仰っていましたが、米と水からできる日本酒は、地域によって香りや味も千差万別です。日本酒を飲むことは、被災地に限らず、それが作られた地域の風土と環境を守ることにもつながります。これらは、いくらお金を出しても海外から輸入することはできないものです。
その日本酒をこよなく愛する、若くて逞しい女性達が多く参加されていたことを、頼もしく感じられた会合でした。
13日(水)、気仙沼コンシェルジュのSさんに紹介頂いた「東日本復興応援プラザ」を覗いてみました。
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場所は銀座のTSビル(旧東芝ビル)で、1階は気仙沼の特産品等を販売する「銀座いきなり市場」、2階は「銀座つながる食堂」とチャリティーイベントスペース「銀座ひろがれ舞台」。
広々としたイベントスペースにはグランドピアノも置かれ、17日(土)にはコンサートも開催されるとのこと。
震災に関連する写真パネル等の展示のほか、たくさんの子ども達の絵による「くじけるな気仙沼展」も開催中です。
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すぐ手前まで津波が来たという老舗菓子舗「いさみや」のお菓子を求めて帰りました。
ところで13日付けの日本経済新聞によると、都内で開かれた「復興シンポ」において、福島民報社からは「地震と津波の被害、風評被害に加えて、震災から1年近くたつ中で見捨てられるのではないかという『風化被害』を懸念している」との声が上がったとのこと。
忘れないための仕掛けの一つとしても、銀座のど真ん中の「復興応援プラザ」の取組は貴重なものです。
13日の夜は、さいたま市で「生活文化・地域協同研究会」の今年最後の定例会。報告者は「野の文化学習会 in 横瀬」の事務局としても汗をかいて下さったMさん。
この日の報告は、所沢市で地域住民のつながりのためのサロン活動等をされている「ほっとふる柳瀬」について。福祉のまちづくりのための活動が進められています。