「第一回白熱教室ならぬ白熱実験」

2012年1月7日(土)午後、横浜駅前のかながわ県民センターで開催された「第一回白熱教室ならぬ白熱実験」、会場のホールは立ち見を含む多くの参加者で一杯でした。
 企画・運営されたのは(色々と経緯があったようですが)、吉本興業所属の夫婦音曲漫才「おしどり」のお二人。針金アートとアコーディオンがネタらしいのですが、最近は原発事故と被災地支援の関連で活躍中です。
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 前半は、この日のゲストである福島県の飯舘村から愛沢卓見さん、いわき市から新妻邦嗣さんのお二人からのご報告。
 愛沢さんからは、飯舘村の住民の中には、最終処分場を誘致しようという話もあり、住民の意向がまとまっていないとの報告。さらには、これまで自主独立で「までい」の村づくりを進めたこにも関わらず、全村避難に陥ってしまっている現状に対する無念さが言葉に滲んでいます。
 新妻さんからは、肉親を癌で亡くされたという個人的な経験を踏まえ、現在も高い放射線量の下でマスクもせずに子ども達にサッカー等をさせていることの問題点を強く指摘され、さらには、いわき市には2月頃からは放射性物質を含む杉花粉が大量に飛散する恐れがあることについて指摘がありました。
 お二人の話の合間には、おしどりマコさんが突っ込み。おしどりケンさんは体を張った日本地図等でフォロー。
 お二人は、震災直後から東京電力や政府の記者会見に参加し、現地の方たちとの情報交換しながら市民目線で東電等に質問を投げかけること等を通じて、様々な情報公開等を実現されていることが、ゲストのお二人のお話から改めて知ることができました。
 後半はタイトルにもある「白熱教室ならぬ白熱実験」として、会場の参加者も含めた意見交換会。
 会場に向かって愛沢さんが問を投げかけますが、それは答を期待してのものではありません。
 愛沢さん曰く、今必要なことは、まず適切な問いを立てること。色々な人が飯舘村に来て心配してくれるのはありがたいものの、正直、ポンと正解を提示されても困る。まず設問を明らかにすべき。そして、問に対してみんなで注釈をつけていくことが、今、重要なことではないかと。
 最初の問は「望まない被曝を受けた住民にどのような保障をすべきか」。補償ではなく「保障」、科学者は影響は証明できないとするなかで、どのような注釈をつけて行くべきか、と会場に投げかけます。会場からは、それは科学ではなく政策の問題ではないか、拳証責任は被害者ではなく加害者にあるようにすべき、等の意見。
 愛沢さんは「自分自身の中に偏見、被害者意識、思い上がりがある」と自らの心情を吐露されつつ、そのような個人の感情を乗り越えて倫理、正義について議論をする場が必要と訴えておられました。これこそが、この日のテーマであり、1回目の「実験」だったのです。
 ステージ上の恵泉女子学園大、帝京大の学生さんも討論に加わりました。
 重く幅広い課題であり、時間も足らず、私自身も、とても短いブログでまとめることはできません。
 ユーチューブを録画されていたようなので、それがアップされれば改めて見たいと思います。また、2回目以降の開催に期待したいところです。
 時間が超過して慌ただしく会場から出されましたが、本当に多くの参加者の皆さんがそのまま帰らず、ロビーのあちこちで一所懸命に、真剣な面持ちでアンケートに記入されていた姿が印象的でした。
 ゲストのお二方、おしどりのお二人、それにボランティアで運営を手伝って下さっていた学生さん達、有難うございました。