大阪発のビジネス版CSA

 2月3日(金)は快晴。新幹線の車窓からは、青空を背景に雪を被った富士山がくっきりと望めました。
 ところが名古屋当たりから次第に日は陰りはじめ、あちこちに雪が残っています。そして関ヶ原にかかる頃には、ついに風景は一面の雪。徐行運転する新幹線の側面に、除雪のためのスプリンクラーの撒水がだっ、だっと当たります。滋賀県に抜け平地になると雪は消え、京都、大阪は再び青空。日本は狭いと言われますが、短い時間の内に快晴、雪、晴れと変わり、気候は多様性に富んでいます。
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 結局、新幹線は42分の遅れ、早めの電車だったので遅刻はせずにすみましたが、新大阪駅のきつねうどんはお預けに。
 
 この日、新大阪に近いホテルでは、「100%オーガニック宣言」を標榜する株式会社ビオマーケットの「作付会議」が開催され、全国から契約農家や事業者の皆さんが集まっておられました。
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 有機農業は特に手間のかかる農法であるため、需要サイドと生産者の間で話し合って生産計画を立て、それに沿って契約して農家に栽培を委託することにより、生産者は販売先が確保され、需要者は安定的な供給が確保されるというものです。
 その生産計画を立てるため、年2回「作付会議」を開催されているとのことです。アメリカで広く行われているCSA(Community Supported Agriculture)の、ビジネス版と言えるかも知れません。
 代表取締役の関信雄氏からの挨拶に続き、私からは相も変わらずのフード・マイレージを中心とした話。
 フード・マイレージは輸送に伴う環境負荷に着目した考え方ですが、実は食料全体のライフサイクルからすると、CO2が最も多く出るのが生産段階です。有機農業は、化学合成農薬や化学肥料の不使用等を通じ、その生産段階の環境負荷を低減する取組とも言えます。
 続いて茨城の生産者の方から、放射能の関係でのご報告。
 この方の農場自体の線量はそれほど高くはありませんが、法に基づく汚染状況重点調査地域に指定された市町村内にあるとのこと。自ら計測した結果、除染作業の状況等について報告がありました。
 それを受けて、会場の参加者の皆さんとの間で積極的かつ切実な意見交換。有機農業に関わる生産者、事業者、そして有機農産物を求める消費者は、元々食品の安全性に強い関心を持つ方達であることから、今回の事故の影響は、より深刻とも言えます。
 この日集まられた生産者、事業者の方たちは、消費者に安心できる食品の供給を第一義としつつも、福島、東北の生産者を応援したいという、難しい2つの課題の同時解決に苦闘されています。日本の食と農を支えてくれている方たちの真剣な姿に、胸を打たれる思いでした。
 会議終了後、久しぶりに故郷・徳島へ。
 舞子から乗った高速バスはあっと言う間に2つの橋を渡り、23時過ぎに徳島駅前着。遅い時間にも関わらず親戚の方に出迎えてもらい、土日をかけて無沙汰をしていた方々に挨拶回り。
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 市中心部にある新町川は「青石」を積んで整備されている一方、かつて人で溢れていたアーケード街は閑散。
 故郷は変わったようで、それでも変わっていないようにも。