「ふたみんちゅ」達の地域づくり-愛媛県伊予市の事例-

 ふう、このところ暑い日が続いています。
 涼しい朝のうちに勉強会、という訳でもありませんが、8月2日(木)は、朝8時から東京・虎ノ門で開催された「地域力おっはー!クラブ」主催の勉強会に参加してきました。
 月1回程度、地方と国の公務員や民間の人が参加して開催されているもので、運営には学生さん達も参画しています。
+tobidasu+mikyan_convert_20120806231512.png
 この日の講師は、愛媛県中予地方局勤務の前神有理(まえがみゆり)さん。
 その多彩で積極的な活動の様子は、かねてより「地方に飛び出す公務員」メーリングリスト等でお聞きしており、日本で最も著名な地方公務員の一人かも知れないと私は思っているのですが、その前神さんに、初めてお会いし、直接ご本人からお話を伺う機会に恵まれた次第です。
 頂いた名刺には、愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」(右図)が印刷されていて、嬉しくなりました。
 確かML上では口の悪いメンバーから「珍獣」(失礼)と呼ばれていたように記憶していて、どんな方かと思っていたら、今治のタオルマフラーにたくさんの缶バッジを着けた衣装で壇上に上がられた前神さんは、笑顔がチャーミングな方でした。
+tobidasu_convert_20120806231220.png
 この日の話の主な舞台は、今は合併して伊予市の一部になった旧双海町でした(以下、文責中田)。
 松山市から南西に約30km、伊予灘に面した旧双海町は、昭和30年代と比べると人口が半減しているような過疎地域で、住民は「田舎には何もない」と嘆いてばかりいたとのこと。
 そのような中、当時、町職員だった方がリーダーシップを発揮し、集落から寄付金を集め、あるいは手伝いに来てもらい、ユニークな地域づくりに取り組み始めました。そのイベントの一つが、無人駅となったJR予讃線下灘駅を舞台にした「プラットフォーム夕焼けコンサート」。海がすぐ近くに見えるという景観を生かし、手作りのコンサートを始めたのです。
 「青春18切符」のポスターや有名シリーズ映画のロケ地に選ばれたこともあって、訪ねてくる観光客が増えてくるに伴い、住民たちの意識は「やったらできるやん」と次第に変わり、老人会が自主的に駅周辺の環境美化(草抜き等)を始めたり、名産のキウイを使ったジュースやカクテルを提供する飲食店を開業するなど、取組が拡がってきました。
 そして今は、「しずむ夕日が立ちどまる町」をキャッチフレーズとして、地域の人たちを中心に、ユニークな活動が拡がっています。元町職員の方が人材育成のために運営されている「人間牧場」というのもあるそうです。
 「JR下灘駅フィールドミュージアム運営委員会」も活動主体の一つです(以下はフェイスブックページ)。
+tobidasu+simonada_convert_20120806231256.png
 また、最近、都会で広告代理店に勤めていた方が移住してきて地域づくりに参画しているそうで、その娘さんの5歳の女の子が移り住んできただけで、引きこもりがちだった近所の高齢者が家から出てきて元気になったというようなエピソードも紹介されました。
 そして今、行政(前神さんもそのお一人ですが)が住民から釘を刺されることは、「勝手に補助金を取ってくるな」ということだそうです。
 優れたリーダーが地域住民をその気にさせ、主体性を持つように巻き込み、それを行政がサポートする。この地域も、他の活性化が成功している地域と同様、双海の人(ふたみんちゅ)達による独自性、自主性に根差した活動が展開されていることが伺われます。
 今後、モニターツアーも開催されるとのこと。伊予市、旧双海町の取組は、ますます拡がっていきそうです。
 そして、県職員である前神さんが、本来業務の一環として、本当に楽しそうにその活動に参画されていることが伝わってきて、羨ましくも感じた次第です。
IMG_3952_convert_20120806234732.jpg 以下は付録。
 8月1日(水)のお昼は、職場の生協で扱っている「ワーカーズ フェアビンデン」のお弁当。600円はちょっと高いですが、国産にこだわり野菜もたっぷり。ご馳走様でした。
 (↓よろしかったらクリックして下さい。)

人気ブログランキングへ