種(タネ)の話 -①モンサントの不自然な食べもの

 「種(タネ)」について考える機会が続きました。
 
0906-1_convert_20120912224832.png 9月6日(木)19時から、渋谷でドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」を鑑賞しました。
 評判の映画で、自分で電話した時には既に予約で一杯と断られたのですが、知人が予約してくれていたのです。
 アップリンクという映画館は初めてでしたが、開場前にすごい行列。男女は半々、若い方が多いようです。広いとはいえない会議室のようなスペースにスツールが並べられています。
 映画の主人公は、今や世界の遺伝子組換え作物(GM)市場の90%を握るというグローバル企業のモンサント社。
 その利益追求優先の企業体質が、丹念なインタビューや内部文書等により描かれていきます。
 例えば、危険性が分かっていながらPCBを販売継続し被害が拡大したという事件、データの捏造と告発しようとする研究者への圧力、「回転扉」人事交流を介した政府との癒着、そして交雑したタネを栽培した農家に対する訴訟(理由は特許侵害)の様子など。
 さらに、GMトウモロコシの輸入や生産の拡大が、北米自由貿易協定(NAFTA)下のメキシコにおいて主食を支えてきた在来種と小規模農家が危機に瀕している様子、パラグアイでの住民が農薬被害を受けている状況も描かれています。
 迫力のある映像に心を揺さぶられつつも、上映終了後の感想はモヤモヤしたものでした。
 今やアメリカにおける大豆やトウモロコシのGM比率は90%以上、安価で便利な食生活を求め続けた日本は、世界最大のGM輸入国なのです。一企業を糾弾するだけで、事態が変わるわけではありません。
0906-2_convert_20120912224904.png そのようなことを考えている内に、この回、特別に準備されていたトークが始まりました。
 登壇されたのは、ジャーナリストで「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」代表で、日本消費者連盟の共同代表でもある天笠啓祐さんです。
 天笠さんからは、モンサント始め3社で世界の種子の半分が生産されていること、日本で売られている種子のほとんどは海外産であること、日本の種苗会社はGMを扱っていないものの、こぼれ落ちた輸入GM菜種と在来植物との交雑が進んでいること等の解説がありました。
 会場から、映画で描かれていたように政府と結託した大企業に抵抗することの無力感を訴える意見が出されたのに対し、天笠さんからは、現在、米国においてはGM食品の表示義務化要求が社会現象となっており、11月にはカリフォルニア州で州民投票が予定されていることの紹介がありました。
 さらに、自ら弁当を作っているという天笠さん、「自分たちは毎日3回、何を食べるかで世界を変えられるチャンスを持っている」との力強い発言があったのです。
 タネをめぐる情勢は、厳しいものといわざるを得ません。しかし、失望するのではなく、自分たち消費者が主体的に選択していくことの意義と重要さを、改めて噛みしめる必要があることが実感されました。
 ところが2日後、タネをめぐって、さらに深刻な話をお聞きすることとなります(次回掲載)。
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