今、この状況におけるお笑いの底力-「おしどり」さん

0916-1_convert_20120917101612.png 9月16日(日)は南西諸島・九州に台風が接近、午後は東京地方も雨が断続的に降りました。不安定な天候です。
 14時から西東京市の柳沢公民館において、「「市民目線」の記者誕生?-原発報道の現場では」と題する学習会が開催されました。
 タイトルだけ見ると固い内容のようにも見えますが、この日のゲストは夫婦音曲漫才「おしどり」のお2人です。
 吉本興業所属の芸人でありながら、昨年3月の震災と原発事故直後から東京電力の記者会見に貼りつき、「市民目線」で鋭い質問と取材をされてきたお2人です。確かに市民目線のジャーナリストであることは間違いありません。
 開会に当たり、主催団体の「市民自治井戸端会議」代表の柳田さんから挨拶。
 西東京市民(旧保谷市・田無市)が中心となって、情報公開請求や学習会の企画・開催など、住民自治の活動を進めておられるそうで、今回、その一環として学習会にお呼びしたのが「おしどり」のお2人です。
 お2人は、紹介も待ちきれないように元気に立ち上がり、トークが始まりました。
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 マコさんは神戸、ケンさんは大阪のご出身で、地元で阪神・淡路大震災を経験されています。
 そのお2人が昨春、活動の拠点を東京に移されたとたんに東日本大震災と原発事故が起こりました。
 怖くて避難しようと思っても子ども向けの仕事が入っていて動けなかったこと、心の内部と仕事とのジレンマ。
 そしてお2人は、インターネットで配信される東京電力の記者会見の内容に満足できず(知りたいことを誰も聞かない等)、自ら記者会見場に乗り込んだそうです。
 この時期、みんなが多かれ少なかれパニック状態にあり、マスコミの報道にも不満を感じていたのですが、それなら自分で情報収集しようと行動に移されたところがすごいところです。
 そこで知ったことは、大企業や政府の情報管理の体質と、記者クラブ等の不合理なシステム。それでもマコさん達は、めげずに質問を続け、東京電力から様々なデータを引き出します。
 それらの取材等の成果は、ブログ「おしどりマコ・ケンの『脱ってみる?』」にまとめて発信されました。
 このブログは本当に内容が充実していて(おしどりのお2人の情報収集の成果です)、現在まで、被災地の方々を含めて、貴重な情報源となっています。
 この日の話の内容は、福島県が進めている子どもの甲状腺検査の問題点、チョウに遺伝的な異常が出たとする調査結果、「原発推進派」の様々な取組、原発作業員の現状など、深刻な話ばかりです。にも関わらず、しばしば会場は爆笑に包まれます。
 何しろ、早口でまくしたてるように話すマコさんに、要所要所に、とぼけたような合いの手を入れるケンさん。息はぴったり、まるで漫才師ようなのです(あ、プロの漫才師さんでしたね)。
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 後半は質疑応答。会場から多くの質問が出されました。
 ちなみにこの日の参加者、地元の方が中心かと思われますが、若い方から年配の方まで様々です。
 偶然、隣に座った若いお母さんは、小学生低学年位の子どもを3人も連れておられました。騒がれると嫌だなと思っていたら、最後まで大人しく座って聞いていました。話の内容は難しくとも、笑いの出る楽しい雰囲気に退屈しなかったのかもしれません。
 さて、会場からの質問の1つ。「芸能人として、原発問題の活動をすることに圧力やデメリットはないのですか」。
 機微に触れるであろう問に対する答は、確かに以前は脱原発を口にするだけで仕事が減ったのは事実。バラエティや雑誌の記事が直前になって取り止めや差替になったことも。しかし今は、原発そのものを口にすることは昔ほど問題にはさらない。ただし、避難や被ばくについては話題にしにくい、とのこと。
 また、さる硬派だった週刊誌、この春に編集長が変わってスキャンダルやスクープを追う編集方針に変わり、社会問題に取り組んできた記者が戸惑っているものの、逆に販売部数は大幅に伸びているとのこと。それが日本の読者のニーズという現実。
 別の方からの質問、「福島の生産者のことをどう考えればいいか」。
 自ら米に検査結果を付した上で、これでよければ買ってくれますかと言ってくる真摯な生産者の方もおられれば、自分の子どもに食べさせられないものは売れないと廃業された方もおられる。また、汚染度を下げるための農法の研究と実証試験も進められている。
 難しい問題だが、消費者と生産者がお互いに話し合って双方が納得できるやり方を模索していくことが大事では、との回答。
0916-4_convert_20120917101740.png あっという間に終了予定の16時半を過ぎてしまいました。
 もっと話を聞きたいという10数名のために、引き続き近くの喫茶店へ。次の予定も入っておられたようですが、18時頃まで付き合って下さいました。
 ところで、マコさんがずっと付けておられたの胸元のペンダントは、ケンさんのキーホルダーとともに、福島の女の子が作ってくれたものだそうです。
 深刻な状況にあるであろう被災地の皆さんにも、おしどりさん達の「お笑い」の力は届いています。
 原発を含め、巨大科学技術が私たちの生活から縁遠いものとなり、根拠のない信頼の上に安住していたことの問題が、今回の原発事故で明らかにされました。
 一人ひとりが、自らの問題として捉えていくことが必要ですが、自分で資料を集めて分析することは普通の人には大変です。誰かが代わって分かりやすく伝えて行くことは何よりも貴重で、しかも「お笑い」というオブラートに包んで伝えて行くことができる「おしどり」のお2人は、今の世の中にとって本当に大切な方達だと思います。
 さらには余談ながら、お2人が所属する会社の懐の深さにも感嘆の意を禁じ得ません。
 個人的な経験ながら、両親が共働きの子どもの頃、吉本新喜劇を子守唄代りに身近に感じてきた身に取っても、嬉しいことです。
 お2人のますますのご活躍を期待したいと思います。
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2 Replies to “今、この状況におけるお笑いの底力-「おしどり」さん”

  1. SECRET: 0
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     早速ご感想をアップしていただき、楽しく読ませていただきました。当日の様子が過不足なく伝えられていて感じ入りました。 恥ずかしながら主催者のメンバーは、カタブツ(?)ばかりで、誰もおしどりさんの実演を見たことがなく、ブログや雑誌で好感を持ちお呼びしたものです。
     さすがに、深刻な問題も歯切れよくお笑いのまな板にのせて、切り口もシャープ。これからもドンドン活躍していただきたいお二人ですね☆
     ご参加の皆様の活発な質疑もあり、楽しく学習ができました。コーヒーショップでの交流会までご参加いただきありがとうございました。
     また機会がありましたらいらしてください!

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    柳田様
     コメントを有難うございました。
     お陰さまで、大変ためになる、かつ楽しい時間を過ごさせて頂きました。有難うございました。
     私の地元の近くで、このような真面目で地道な活動をされている方皆様がおられることは、これまで存じ上げませんでした。
     今後とも、色々と情報提供など頂ければ幸いです。よろしくお願いします。
    >  早速ご感想をアップしていただき、楽しく読ませていただきました。当日の様子が過不足なく伝えられていて感じ入りました。 恥ずかしながら主催者のメンバーは、カタブツ(?)ばかりで、誰もおしどりさんの実演を見たことがなく、ブログや雑誌で好感を持ちお呼びしたものです。
    >  さすがに、深刻な問題も歯切れよくお笑いのまな板にのせて、切り口もシャープ。これからもドンドン活躍していただきたいお二人ですね☆
    >  ご参加の皆様の活発な質疑もあり、楽しく学習ができました。コーヒーショップでの交流会までご参加いただきありがとうございました。
    >  また機会がありましたらいらしてください!

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