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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇
No.3; 2012.11/14(旧暦神無月朔日)発行,「べりカフェ」3周年記念号
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フード・マイレージや伝統野菜等について様々な情報を発信しつつ、
読者の皆様からのご意見や投稿も積極的にお受けし、食と農の未来につ
いて、ともに考えていきたいと考えています。
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◆ F.M.豆知識 (3)輸入食料のフード・マイレージの「試算」
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎
回少しずつ取り上げていきます。
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前回は、フード・マイレージを取り上げたねらいについて、個人的な
思いも交えつつ、紹介しました。
それは、大量の輸入食料によって支えられているという現状に、地球
環境問題という新たな側面から光を当て、改めて考えてみようというも
のでした。
そこで、輸入食料の大量・長距離輸送に伴う二酸化炭素の排出量を明
らかにするため、まず、輸入食料全体のフード・マイレージの「試算」
に取りかかったのです。
フード・マイレージとは、輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標です。
例えば20トンの食料を50km運んできた場合のフード・マイレージは、20
トン×50km=100t・km(トン・キロメートル)となります。
このように計算方法は極めて単純で、輸入相手国別の輸送量(輸入量)
に、その国からの距離を掛け合わせて累積すれば、輸入食料全体のフー
ド・マイレージが求められるのですが、実際に計算しようとすると、様
々な課題に直面しました。
まず、輸入量については、財務省「貿易統計」で把握することができ
るのですが、食料の範囲をどう取るかが難問になりました。
貿易統計では、HSコード(商品の名称及び分類についての国際的な統
一システム)に基づいて全ての商品が分類されており、統計表では9桁
ベースまで細かく表示されています。
しかし、この時の試算では、あまり時間はかけずに、まずはフード・
マイレージという考え方を世の中に紹介することを優先するため、HSコ
ードの2桁ベース(類)で捉えることとしたのです。
具体的には、第2 〜4、7〜12、15 〜24 類の全体をを食料と取り扱う
こととしました。
このため、第1類に含まれる「生きた牛」、第13類に含まれる「ホッ
プの液汁」など、食料であっても試算の対象から外れてしまった品目が
ある一方、第15 類に含まれる「グリセリン」など、食料ではない品目
が一部含まれるという結果となりました。
なお、直接には人間の口には入らない飼料用とうもろこし(畜産物
として間接的に消費)や油糧種子(国内で搾油され油脂として消費)は
「食料」として試算の対象としました。
また、輸入相手国についても全ての国を対象とすると作業が煩雑とな
るため、まずは品目(2桁ベース)ごとに上位15ヵ国に限定することと
しました。
このため、カバーできたのは食料輸入額全体の82%と、やや過小なも
のとなり、輸入量は、合計で約5,300 万トンとなりました。
(これらは、最初の「試算」の時の計測方法であり、後に見直しを行っ
て再計算したものが、現在、広く知られている数値になります。)
さて、フード・マイレージの計測のためには、以上のように求めた輸入
相手国別の輸入量に、その国からの輸送距離を掛け合わせることが必要
なのですが、この距離の計測が、大きな課題として立ちふさがったので
す。(次号に続く)
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◆ オーシャン・カレント −潮目を変える−
食や農の閉塞状況を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り
組んでおられる方達を紹介します。
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埼玉県小川町は、東武東上線で池袋から1時間と少々、外秩父の山々に
囲まれ、和紙や建具など伝統文化も豊かで、有機農業の盛んな地として
も著名です。
その小川町駅から徒歩2分、小川町民会館・リリックの向かい側に「べ
りカフェ」がオープンしたのは、ちょうど3年前の2009年11月14日でした。
小川の野菜が主役のレストランで、NPO「生活工房 つばさ・游」が企画
運営しています。
また、「日替わりシェフ」というシステムのために、曜日ごとに担当
(献立)が変わり、何れの日も、食材には地元の有機農家(新規就農され
た方を含む。)が生産した野菜等がふんだんに使われています。
「べりカフェ」の「べり」は「おしゃべり」の「べり」とのこと。
世代を超えてみんなが集まる「たまり場」になって欲しいとの願いが込
められているそうです。
店内の壁の一面には大きなコミュニティ・ボード(掲示板)が設置され
ており、地域で開催されるイベント等のチラシが張られ、パンフレット等
が置かれています。
誰でも自由に持ち込んで掲示することができるとのこと。
また、バリアフリーの店内にはベビーベットが置かれ、小さな子ども連
れのお母さん達が食事を楽しみやすいように心配りされています。
このように、「べりカフェ」は、生産者と消費者をつなげるだけではな
く、地域のコミュニティづくりの場としての役割も果たしています。
NPO「生活工房 つばさ・游」の高橋優子理事長は、この「べりカフェ」
以外にも、食とエネルギーの地産地消モデル創造に向けて、様々な活動を
精力的にこなしておられる方です。
その高橋さんの、開店3周年を迎えるに当たっての決意です。
「美味しい物を美味しいと感じることができる幸せをみなさんと共有した
い。これからも小川の美味しい有機野菜を皆様に食べて頂けるよう、
がんばって、次のステップを目指したい」。
関心を持たれた方、お近くに行かれた方、どうぞお気軽にお立ち寄り下
さい。
毎日、営業時間は11:30からで、閉店時間は曜日によって異なります。
「べりカフェ」→ http://blog.goo.ne.jp/seikatukoubou_1953
電話番号 090-4453-6355
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◆ 情報ひろば
食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ウェブサイトやブログ
の更新情報、読者の方からの投稿(告知等)をお知らせします。
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▼ ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」更新情報
○ 江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座(第2期第4回)における説
明資料を掲載しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/121110_Edocon.pdf
○ 管理者の当面の予定です。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-profile.html
12月 2日(日)10:30〜、埼玉県新座市西分集会所
「わいがや勉強&交流会」
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/121202_waigaya_tirasi.pdf
▼ ブログ「伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報
○ 11月11日付け「映画『よみがえりのレシピ』」
多くの方に薦められていた映画は、期待以上の 素晴らしさでした。
伝統作物の種を守り、未来に繋いでいく人たちのドキュメンタリー。
食に携わる人、関心のある人には必見の映画です。
http://food-mileage.jp/2012/11/11/yomi/
○ 11月13日付け「江戸コン講座『地産地消とフード・マイレージ』」
江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座(第2期第4回)の模様です。
食の大きな変化とそれがもたらした問題点、地球とつながる私たち
の食、地産地消の意義等について説明し、後半では、晩ご飯のフード・
マイレージと輸送に伴うCO2排出量を計算するグループワークも実施し
ました。
http://food-mileage.jp/2012/11/11/edo/
▼ 管理者が参加予定または関心のあるイベント等の情報
○ 秋季研究会「フード・コミュニケーションの未来」
日時:11月17日(土)13:00〜17:50
場所:東京大学弥生講堂
主催:日本フードシステム学会
(詳細、お問合せ等↓)
http://www.fsraj.org/?action=common_download_main&upload_id=289
○ シンポジウム「原発事故から1年8ヶ月 持続可能な未来をどう創り
出すか」(仮題)
日時:2012年11月17日(土)13:00〜18:00
場所:國學院大学渋谷キャンパス
主催:エントロピー学会
(詳細、お問合せ等→)http://entropy.ac/
○「土と平和の祭典」
(和太鼓バンドなどライブ、トーク、ファーマーズマーケット等)
日時:2012年11月18日(日)10:00〜
場所:日比谷公園
主催:種まき大作戦 実行委員会
(詳細、お問合せ等→)http://tanemaki.jp/saiten2012/
○「第2回 greensmile『全快野菜屋ちゃん』in 青物横丁」オープン
(東京本土唯一の村「檜原村」の新鮮野菜の販売、試食等)
日時:2012年11月18日(日)10:00〜16:00
場所:品川法人会館(京急青物横丁駅から徒歩4分)
主催:greensmile
(詳細、お問合せ等↓)
http://www.facebook.com/#!/events/418110834910871/
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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
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◆ 発行者:中田哲也(フード・マイレージ資料室 管理者)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/