学校給食の現場で。

hina_convert_20130226063741.png 2月も終わりに近づき、梅の花も咲き始めました。
 花粉が飛散する憂鬱な季節でもあり、加えて今年は隣国からの大気汚染部室の飛来も懸念されています。
 新政権で初の日米首脳会談も行われ、世の中の動きが慌ただしくなってきました。
 さて、2月15日に金沢市で開催された石川県栄養教諭・学校栄養職員講習会に参加して頂いた志賀町学校給食共同調理場の堀栄子先生から、給食だより「すくすく」を頂いたことは、前回のブログでも触れました。
 堀先生とは、昨年3月の「金沢エコネット」主催のセミナー(写真)で事例報告して頂いたのがご縁で面識を頂き、今回の講習会も、その堀先生のご推薦があったとのことです。
HORIsensei_IMG_2777_convert_20130224113513.jpg A4版で1頁、毎月出されているという給食だより「すくすく」を、改めて読ませて頂くと、食材や栄養、料理の知識、現場での衛生管理の取組等に加え、調理師さん達の工夫とご苦労、子ども達の心温まるエピソードが満載でした。
 ご本人の了解を得て、その内容を一部、紹介させて頂きます。
 平成22年11月19日号のタイトルは「心を込めた『ごちそうさま』でした。」
 あちこちを駆け回って(馳走して)もてなして下さったことへの感謝の気持ちが込められているという言葉の由来に続き、地元・志賀町産の柿を給食に出した時のエピソードが紹介されています。
 あまりに身近すぎて、子どもたちに食べてもらえないのではと心配した堀先生、このような話をされたそうです。
 「この柿は、昨日収穫されたものです。風が吹いてとっても寒かったけれど、少しでも新鮮なものをと、生産者の方は寒くて冷たいのを我慢して収穫してくれたものです。」
 また、生産者の方に豊漁のフクラギ(ブリの若魚)を提供された時は、普段の1.5倍の量で食べ残しが出るのではと心配されたそうですが、いずれも、生産者の方々の心配りを伝えることで、子ども達はしっかりと食べたそうです。
 23年11月22日号は「エエッ!! オスとメスとで、顔が違うの?」
 シイラ(魚の一種)給食の日の朝、学校の玄関に、県水産総合センターの方が苦労して集めて配達してくれたシイラを展示したのを見た子どもが発した驚きの言葉です。
 本物を見ることができ、興味を持って食べていたとのこと。
 22年6月15日号は「マヨネーズ焼きは鮭、鯖は味噌煮に決まっとるやろ!!」
 これは、その日の献立の組み合わせから、マヨネーズ焼きにいつもの鮭ではなく、鯖を使わざるを得なかった日に、食べ終わった男子生徒にかけられた言葉。
 手間をかけたメニューにこだわる気持ちが、生徒に通じたと感じたそうです。
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 23年3月16日号は「私の肥やし」。
 そぼろご飯の日、ある男子生徒がお代わりを欲しいとお茶碗を持ってきました。ところが残りは一人分しかありません。続いて2人が来たのに気づいた男の子、ちゃんと3等分して盛ったそうです。
 別の卵焼きの日には、最初の子どもが「ぼく、いつもお代わりしているから」と次の子どもに譲ったそうです。
 
 「給食時間は、お腹が満たされることはもちろんですが、健康で豊かな人間性を育む実践が展開されていることを目のあたりにできた場面でした。
 思い出す度、こころが暖かくなります。私の肥やしです。」と、堀先生は記されています。
 文部科学省『学校給食実施状況調査』(平成22年)によると、学校給食を実施している国公私立学校(小学校、中学校、特別支援学校、夜間定時制高等学校)数は全国で32,051校、実施率は94.2%(小学校は99.2%)。
 そして、約1万2千人の栄養教諭・学校栄養職員、約6万人(公立学校のみ)の調理員さんが、この学校給食を支えています。
 学校給食が実施されるのは年間190日程度、しかも原則、昼だけですから、学校給食のウェイトは2割弱(190回/(1095回=365日×3))でしかありません。
 その意味では、食育の主役は、やはり家庭ということになるのかも知れませんが、食に対する正しい知識や望ましい食習慣を身に付ける上で、学校給食に対する期待は大きいものがあります。
 厳しい衛生管理が前提で、必要な栄養量を確保しつつ、数と規格を揃え、しかも食材費にも制約がある中、現場の学校給食に携わる方々のご苦労は、想像も及びません。
 日本全国の学校給食の現場で、堀先生のような多くの方たちが、子ども達の食育を、すなわち未来の日本の食を支えて下さっていることに、感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。
 
【ご参考】
 ◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 ◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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