福島「健康に対する権利」に関する国連調査

 去る2月26日(火)の夕方、東京・麻布台で開催されたソーシャル・ジャスティス基金(SJF)主催の「アドボカシーカフェ」に参加しました。
130226_1_convert_20130301235051.png 「アドボカシー」とは「代弁」という意味です。
 そして「アドボカシーカフェ」は、様々な社会課題とその解決策を議論し、マイノリティーを代弁して提案に繋げていくという趣旨で、様々なテーマで開催されています。
 私は昨年11月(テーマは福島の有機農業)、本年1月(原発子ども・被災者支援法)に続いて3回目の参加です。
 今回のテーマは、「福島『健康に対する権利』に関する国連調査を政策転換につなげるために~ふくしま・市民社会・国連をつなぐ~」。
 ゲストは、NPOヒューマンライツ・ナウ(HRN)事務局長で弁護士の伊藤和子さんと、SJF運営委員長の上村英明氏(恵泉女学園大学教授、市民外交センター代表)です。
130226_2_convert_20130301235128.png 昨年11月、国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏が日本を訪れ、福島第一原発事故後の人々の健康に関する権利の実施状況を調査しました。
 「特別報告者」とは国連人権理事会によって選任される独立専門家で、世界中の健康に対する権利の侵害や問題状況に関し、事実調査・勧告を行う権限を有しています。
 グローバー氏の調査結果は3月中に取りまとめられた後、6月の国連人権理事会に報告され、日本政府への勧告が出されるというのです。
 このようなことについて、私は全く知りませんでした。マスコミ等の報道も少なかったそうです。
 報告の内容について意見を受け付けているとのこと。
 グローバー氏の日本に招へいに中心的に活動された伊藤弁護士からは、以上のような経緯等を説明されるとともに、現在も多くの避難者が先の見えない生活を強いられているという独自の調査結果、他のNGOと共同で出された「福島原発事故後の女性と子どもの健康と生命に関する権利の保護のため、緊急な対処を求めるNGO声明」について紹介されました。
 その後、会場の参加者との質疑応答。
 福島の農業に関わっておられる方からは、紹介されたNGO声明に「食の安全が深刻」とあるが、米の全袋検査でも基準値を超過したものはほとんどなかった現実をみても、慎重な表現が必要ではないか、との意見。
 伊藤さんからは、米以外はサンプル調査であり、現地で聞き取りをした結果に基づく表現であること、風評被害を恐れるあまり言いたいことが言えなくなることは問題ではないか、との発言。
 これから深夜バスで郡山へ行くという女子学生からは、国連に意見を出す具体的な方法についての質問(HRNのウェブサイトを参照頂きたいとの回答)。
130226_3_convert_20130301235332.png さらに、国内で声を上げていく、伝えていくためにどのように行動すればよいか、との質問には、NGOのネットワークがあり、原子力規制庁や復興大臣との面会、院内集会等の活動をしている。ただ、最近は一時期に比べ、参加者もメディアの取り上げも少なくなってきている。まずは多くの人に関心を持って頂きたい、との回答。
 上村氏からは、人権とは健康だけではなく総括的で幅広い。国連には法的強制力はないが、国内でのプロセスとは違い、国際的な場でロジカルに議論していく必要があるという意味で、有意義であるとの指摘。
 会場には、昨年11月のアドボカシーカフェで講演された福島県有機農業ネットワーク代表の菅野正寿さんも参加されていました。
 福島の一部だけを切り取るのではなく、現地の複雑さ、多様さを理解してもらいたい。耕す権利も理解してもらいたい。福島の問題は都市生活者の問題でもあり、ぜひ、足を運んで現地の人たちの声を聞いて欲しい、との発言がありました。
 また、3月16日に東京・下北沢にアンテナショップをオープンされることも紹介頂きました(詳細は、追って本ブログでもお知らせします)。
 最後に伊藤さんは、国連の勧告の件がほとんど知られていなことは残念、多くのNGOの活動を結集させて政策の転換に繋げていく努力が必要、と述べられました。
 間もなく、東日本大震災から丸2年が経過します。
【ご参考】
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“福島「健康に対する権利」に関する国連調査” への2件の返信

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    ソーシャル・ジャスティス基金主催 アドボカシーカフェ
    ~福島・市民社会・国連をつなぐ 第2回~
    原発事故をめぐる「健康に対する権利」、国連人権理事会勧告を考える
    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
     国連「健康に関する権利」特別報告者のアナンド・グローバー氏が、ジュネーブで開催された国連人権理事会で、正式な報告書と日本政府に対する勧告を発表しました。国連人権理事会の特別報告者は、独立・公平かつ自由な調査・勧告の権限を持っており、人々の健康を守るための国際基準に照らした数値と人権の視点で、分断や対立を超えた包括的な見地から指摘した報告をしています。また、被害者・住民を当事者として重視し、聞き取りを丁寧に行った点でも画期的なものといえます。しかし、この勧告に対して日本政府は反論する答弁を発表し、「勧告に従う義務はない」と閣議決定し、拒否をする姿勢を示しています。
     そこで私たちは、国連報告者の調査をサポートし、国連の場で発言をしてきた国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士をゲストにお迎えし、この勧告の持つ意味と、健康に関する権利を守るために被害者を含めた市民ができることを考えたいと思います。そして盛況だった第1回と同様に、主要な論点を確かに受け止め、新たな一歩を探る対話の場にしたいと思います。 
    ■ゲスト: 伊藤 和子 さん
     国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長。1994年弁護士登録。早稲田大学法学部卒業、米ニューヨーク大学ロースクール留学。東京三弁護士会 陪審制度委員会副委員長、日本弁護士連合会 司法改革実現本部幹事として、刑事司法改革・裁判員制度に携わる。ジェンダー法学会理事、日弁連 両性の平等に関する委員会委員なども務める。
     ◆コメンテーター: 三木 由希子 さん(NPO法人 情報公開クリアリングハウス 理事長)
    ■日 時: 7月18日(木)18:30~21:00 (18:15開場)
     ◆終了後、会場近くにて懇親会を開催します。どうぞご参加ください。
    ■場 所: 文京シビックセンター  4階シルバーホール
     東京都文京区春日1-16-21(丸ノ内線・後楽園駅1分、三田線/大江戸線・春日駅1分) 
        http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html
    ■資料代: 一般1,000円  学生 500円
    ■お申込: Webサイト https://socialjustice.jp/20130718.html
    (メール info@socialjustice.jp 電話 03-5941-7948  FAX 03-3200-9250)
      ◆Webサイトでのご案内はこちら  
    http://socialjustice.jp/p/20130718/  (http://socialjustice.jp/p/)
      
    ■主 催:ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)
    〒160-0021 新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル501 認定NPO法人まちぽっと
    Twitter :   https://twitter.com/socialjusticef
    Facebook:   https://www.facebook.com/socialjusticefundjp
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    ソーシャル・ジャスティス基金御中
     日頃よりお世話になっています。
     コメント(アドボカシーカフェのお招き)有難うございました。
     生憎と当日は東京を不在にしており、今回は参加できませんが、
    国連人権理事会勧告については、引き続き注目していかなければと
    考えています。
     今後ともよろしくお願いします。

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