久松達央さん出版記念パーティー

 2013年9月14日(土)、原発で働く方達の話を伺った後は赤坂に回りました。
 氷川神社の祭礼の提灯が飾られている赤坂通りを、乃木坂方面へ10分ほど歩いたところにある「分店・なかむら食堂」の看板には「本日貸切」との張り紙。
 路地を曲がると、長い列ができています。
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 この日、17時30分から、茨城・土浦市の有機農家・久松達央(ひさまつたつお)さんの出版記念パーティーが開催されたのです。
 久松さんは1970年生まれ、大手企業を脱サラして29歳の時に農業を始められた方で、現在、茨城・土浦市にある「久松農園」では、3ha強の農地で50品目以上の露地野菜を有機栽培し、消費者や飲食店に直接販売しています。
 会費を払うと、出たばかりの『キレイゴト抜きの農業論』(新潮新書)が1冊ついてきました。
 会場は70名ほどの参加者で一杯、すでに思い思いに飲み物をとって談笑中。懐かしい方も含め、何人もの知人の顔が見えました。
 新潮社の方の乾杯の挨拶で正式にスタート。
 普段は赤いTシャツが似合う久松さんですが、この日は久々に新調されたというスーツをびしっと着こなされています。
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 この「分店・なかむら食堂」は食材等にこだわった居酒屋で、常時、久松農園の野菜を取り扱っているのですが、今日の料理は特別バージョンとして全ての献立に久松農園の野菜が使われているそうです。
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 宴半ばには「久松達央検定」と題したゲーム。
 何カ所も設置されているモニターに映写しつつ、様々な久松さんのエピソードについての四択問題に、手を上げて答えていくもの。
 ユーモアある問題と進行に一同爆笑しつつも、これまでの久松さんの多彩な経歴を改めて知ることができました。
 ちなみに優勝者は、私も旧知の野菜ジャーナリストの女性。自称「久松氏のストーカー」だけのことはあります。なお、この方は翌日夕方のテレビに出演、活躍の幅がさらに広がりそうです。
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 終了近く、久松さんの奥様が、「家族からの手紙」ということで、お母様からの手紙を代読。
130914h_5_convert_20130920020516.png 久松さんにもサプライズだったようで、それまでの弾けるような笑顔が、一転、神妙になり、目を潤ませておられました。
 最後に久松氏から、微力ながら、これからも期待に応えられるよう頑張りますとの力強い決意の挨拶。
 もっとも、後日、FBで本人が白状したところでは「家族からの手紙」で戦意喪失、いいことを言おうと思って準備していたスピーチがグダグダになってしまったそうです。
 小学校時代の同級生や元会社の上司の方も見えられていたそうで、久松さんの豊かな交流関係と人間性がしのばれる素晴らしい会でした。
130914h_6_convert_20130920070534.png 最後に、出口で久松さんが一人ひとりをお見送り。
 余韻冷めやらず、一緒に記念写真に納まる人など、なかなか列は進みません。
 この日のために作ったという人参とトマトのジュースのセットをお土産に頂きました。パッケージの箱にも凝っています(デザインは、同じ新潮新書の某ベストセラーにあやかったそうです)。
 さて、『キレイゴト抜きの農業論』、帯にも刺激的な言葉が並んでいます。
 「有機=美味で安全、農家=清貧な弱者、農業=体力が必要。これらは全部カン違いです」。
 久松さんの主張は明快です。例えば、
130914h_7_convert_20130921100003.png 野菜の味を決めるのは3要素(栽培時期(旬)、品種、鮮度)。有機栽培は結果としてこの3要素を満たしていることが多いから美味しいので、「有機だから」美味しい訳ではない。
 有機野菜は安全な野菜ではなく「健康な野菜」であるべき(「エロうま」と表現)。
 多くの農家がソーシャルメディア等で発信力を持つことが、結果として「風評」を減らすことにもつながる、等々。
 そして、
 「農業ほどクリエイティブで知的興奮に満ちた仕事はない。
 僕の話を聞いて、日本中のあちこちで面白い農業をする人が増えたら、農業は大きく変わる、と確信しています」と結ばれています。
 多くの議論を巻き起こすきっかけになりそうな本です。
 農業以外のビジネスや起業にも参考になると思われ、多くの方に読んで頂きたい力作です。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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