江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座

 2013年11月23日(土)も快晴です。
 かつて金沢に赴任していた頃、冬季に東京に帰省するたびに青空の有り難さを感じたことを思い出します。しかし空気は乾燥し、風邪が流行っています。
131123_1_convert_20131126002913.png 10時過ぎに新宿駅南口に近い「東京アグリパーク」へ。
 JA東京南新宿ビルにある東京の農林水産業の情報発信拠点です。
 この3階会議室において「江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座」が開催されました。3日間、7コマに及ぶ第3期総合コースの最終日です。
 参加者は20名ほど。熱心で意欲も高い方ばかりのようです。
 過去2日間(6コマ)の講師は、江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂会長をはじめ、料理研究家、種子流通等の研究者、野菜ソムリエ、食育活動にも取り組んでいる生産者、東京の食材にこだわっている飲食店経営の方など錚々たるメンバー。
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 江戸東京野菜の歴史や由来、食文化と料理方法、生産や流通の現状など、専門的な講義が行われた後の最後のコマが私の受け持ちです(私自身の都合で変更してもらった結果ですが)。
 やや迂遠で抽象的な内容ながら、日本の食料や農業に関する様々なデータを提供しつつ、その中で、伝統野菜等の復活・普及の取組がどのような意義があるか等を説明させて頂きました。
 タイトルは「フード・マイレージと地産地消」。
131123_3_convert_20131126003004.png 個人的な見解・意見と断りつつ、この半世紀で日本人の食生活が大きく変化したこと(外部化・簡便化、米消費の半減と畜産物・油脂の消費急増)が、栄養バランスの崩れ、食料自給率の低下のみならず、地球環境への負荷も増大させている状況を説明。
 そして、地産地消は輸送に伴う環境負荷削減のためにも有効であり、大根を素材にフード・マイレージ等の計算例を紹介し、後半はグループワークを実施しました。
 4~5名ずつで5グループに分かれてもらい、食材カードを使って晩ご飯の献立を考え、フード・マイレージと輸送に伴う二酸化炭素排出量等を計算することを通じて、望ましい食生活のあり方、自分が何をできるかを話し合ってもらおうという趣旨です。
 20分程度の予定が、計算と熱心な話し合いが終わらず30分に延長。
 それでも収まり切りませんでしたが時間の都合で打ち切り、各グループの代表者から発表。
 さすが、意欲と熱意のある方ばかりです。
 2パターンの献立について計算した上で、和食を選ぶことがフード・マイレージの縮小と同時に栄養バランス面でも望ましいものとなることが理解できた、距離だけではなく輸送手段によって二酸化炭素排出量は大きく異なることに驚いた、地産地消だけではなく旬の食材を選ぶことも重要ではないか、等の発表がありました。
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 まとめの説明。
 伝統野菜等の復活・普及の取組は、ブランド化等を通じた経済的な面に留まらず、地域の風土や歴史、食文化等を見直すきっかけとなり、学校での食育、地域づくり等の面でも大きな効果が期待されること。
 また、今後の持続可能な社会の実現に向けて、食は一つの重要な切り口になり得ることなど、私の考えを説明させて頂きました。
 予定の13時を10分ほど超過して終了。
 事務局のお一人で野菜ソムリエでもある上原恭子さんが、馬込三寸人参、伝統小松菜、練馬大根、品川カブ等を使った料理を並べて下さり、みんなで試食させて頂きました。
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 その後は、昼食を挟んで検定試験が実施されてこの日の講座は終了。
 さて、翌日の日曜日は、オプションとして小金井市での現地見学と意見交換会が開催されました。
 この日はさらに暖かく、小春日和です。
 私は高円寺(ミック入来さんのライブ。これは別の機会に報告します。)に立ち寄ったため、勉強(見学)はサボって懇親会だけの参加という、よくあるパターンになってしまいました。
 武蔵小金井駅南口からほど近い「農工大通り」にある「くりやぶね」では、江戸東京野菜をふんだんに使った料理を頂けるほか、弁当やそう菜を買うこともできます。
 日曜日は定休日ですが、この日は、現地見学に参加された10名ほどによる意見交換会のために場所を貸して下さったのです。
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 くりやぶね特製のお弁当。
 しんとり菜の信田巻、金町小カブの一夜漬け、伝統小松菜の煮びたし、亀戸大根菜の茶飯など。
 事務局の松島さんが調理された伝統大蔵大根(風呂吹き肉味噌添え、葉とシラスのペペロンチーノ風、皮とひじき、ツナの和えもの)、それに、内藤唐辛子と自宅の柚子を使った手製の柚子胡椒も。
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 この日の見学を受け入れて下さった生産者の井上誠一さんも、2種類のニンジンを持って顔を出して下さいました。
 長いのは大塚ニンジン(千葉・市川市の在来種とのこと。)、短いのはアロマレッドという品種だそうです。早速、切って生で試食させて頂きました。
 前者はニンジン本来の濃い味、後者はフルーティーな香りと甘みが特徴です。
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 ビールに、解禁されたばかりのボジョレーヌーボーの赤白も頂きました。
 江戸東京野菜に関心を持たれたきっかけ、講座や検定試験の感想、年末に向けてのイベント等についての情報交換で盛り上がりました。
 食料自給率(カロリーベース)は国内最低の1%という大都会・東京において、多くの熱心な方が江戸東京野菜に関心を持ち講座に参加して下さったことは、日本の食と農の将来にとって大きな意義があると思われます。
 参加者の皆さまの今後の活躍に期待したいと思います。
 
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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