NHK「里山資本主義」を見て未来を考える会(最終回)

 2014年2月13日(木)は、久しぶりに北陸へ。
 越後湯沢から十日町にかけては日本有数の豪雪地帯。先週末の東京の「大雪」など比べものになりませんが、上越新幹線もほくほく線も平常運転。
 ところが翌14日から15日にかけて関東地方ではさらに記録的な大雪となり、上越新幹線を含めて鉄道や道路は寸断、物流も途絶え、多数の孤立した地域が出てしまう状況。お世話になっている山梨・上野原市西原(さいはら)地区や東京・檜原村も心配です。
 普段、あまり降らないところに大雪が降ると大きな被害が発生します。日本に限らず、世界各地で異常気象が続いているようです。
140213_1_convert_20140218012408.png
 さて、2月17日(月)夕方、都心の歩道にも多くの雪が残る中、雑司が谷・がんばれ子供村に向かいました。
140217_1_convert_20140218012446.png ECOM (NPO法人エコ・コミュニケーションセンター)主催の「NHK広島『里山資本主義』を見て未来(あす)を考える会」の3回目(最終回)が開催されたのです。
 3回シリーズのこのイベント、私は2月3日の初回に続いて2度目の参加です。この日の参加者は13名ほど。
 番組では、中国地方の山間部等において、市民レベルの草の根ネットワークがグローバルに拡がっている様子が描かれます。
 例えば、広島・世羅町に移住したスペイン人と日本人夫妻が経営するカフェでは、地元産野菜をふんだんに使ったスペイン風ピザが客をもてなしています。
 森林再生に取り組む岡山・西粟倉村には、ある日突然、ラオスの副農業大臣が視察に訪れ、技術協力が始まっているとのこと。
 ローカルな話題を取材していたはずがグローバルなネットワークの拡がりが明らかとなり、進行役の藻谷浩介さんが「思いがけず巨大な自然薯を掘り当ててしまったようだ」と述べていたのが印象的でした。
140217_2_convert_20140218012508.png
 番組の合間には、4名ほどのグループに分かれてのワークショップ。
 最初は自己紹介と、番組の感想(印象に残ったこと等)から。途中でメンバーは交代して多くの人と話せるように工夫されています。 
 本物を見極める「目利き力」が必要では、との意見。一方、何が「本物」かは難しいとの意見も。
 エネルギーや食料を海外に依存している日本には、やはり経済成長は必要ではないか。番組にあったように、311を経て今は時代の分岐点にあると感じる、との感想も。
140217_3_convert_20140218012531.png
 ワークショップの最後は、まず、各自、ワークシートを埋めていきます。
 「何を」「どうしたい」「どうやって」、そして「なぜ」「どこで/だれと」という枠を、なるべく具体的に埋めていきます。そしてグループで話し合い。
 この日の会合の主催者でもあるECOMの森良さんのアイディアは、「アンテナショップのネットワークを作る」というもの。小規模の「生産する人」と「消費する人」を直接つないで、「食える人」を増やしていく、という趣旨だそうです。
 開発教育がご専門の大学の先生からは、「地元(所沢)を里山資本主義化する」。ちなみに開発は growth(経済成長)ではなく、development (閉じられているものを開くとの意)とのミニ講義も頂きました。
 さらに若い方たちからは、「販路まで確保したうえで耕作放棄地を活用する」「中山間地の雑穀を使ったおむすび等を提供するカフェを開業する」といったアイディアも。
140217_4_convert_20140218012552.png
 最後に全員で意見や感想をシェア。
 グローバルかローカルかという対立ではなく、マネー資本主義とは異なる新しいグローバル化を肯定的に捉え、説得力のあるモデルを作りあげていくことが必要、との意見。
 市民団体の女性からは、一人ひとりの意識を変えていくことが必要、気付いた人から動いていくしかない、との意見。
 さらに若い男性からは、成長か脱成長かという二者択一ではなく、一人ひとりが考えて選択していけることが大事、との感想。
 森さんが書き出したホワイトボードは、たちまち様々なアイディアで埋め尽くされました。
140217_5_convert_20140218012614.png
 この「『里山資本主義』を見て未来(あす)を考える会」は、今回で終了です。
 アーカイブはインターネットで自由に見られるのですが、一人ではなくみんなで見て話し合いができるという意味で、理解も深まり、多くの新しい気づきも生まれます。非常に意義深い企画でした。
140217_6_convert_20140218012636.png ECOMでは、今後、「里山資本主義」を実践しているような地域へのツアー等も企画されているそうで楽しみです。
 また、ECOMでは、この度、3年間の地球環境基金助成事業「生命地域コーディネイター養成事業」の集大成として、ハンドブック『交流のデザイン実践ガイド』を刊行されました。
 ここでは、里山等の資源を活用した様々な交流の進め方等について、豊富な実践事例を含めて整理されています(お問合せはECOMまで)。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキングに参加しています。よろしかったらクリックして下さい。)

人気ブログランキングへ