F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.040

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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信 ◇◆◇

     No.40;2014.3/15(土)[和暦 如月十五日]発行

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 東日本大震災から3回目の311日が廻ってきました。

 改めて犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに、今も「被災」

が継続されている方々にお見舞いを申し上げます。現在もなお、267

人の方が避難されているとのことです。

 314日(金)未明には、愛媛県等で最大震度5強の強い地震がありま

した。

 

 本メルマガは、時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日

=新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。

 今号は和暦 如月十五日の発行です。季節は本格的な春に向かい、21

(金)には春分を迎えます。

 


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  F.M.豆知識

  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎

 回少しずつ取り上げていきます。

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5 フード・マイレージ基礎知識

(5) 輸入食料の輸送に伴う環境負荷の大きさ

 これまで紹介してきたとおり、日本の輸入食料のフード・マイレージ

(食料の輸送量×輸送距離)は、総量でも一人当たりでみても、韓国・

アメリカ等と比べて大きくなっています。つまり私たちの食は、長距離

輸送されてきた大量の輸入食料によって支えられているのです。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-1_FM1.pdf

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-2_FM.pdf

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-3_FM.pdf

 

 また、この輸入食料の輸送の過程で排出されている二酸化炭素の量は

16.9百万トンと見積もられ、これは、日本国内における食料(輸入食料

も含みます。)の輸送に伴う二酸化炭素排出量の2倍近くに当たります。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-1_CO2.pdf

 

 この約1700万トンという量は、実際にはどの程度のものでしょうか。

仮に世帯数で単純に割ってみると、1世帯当たり約380kgとなります。

 

 環境省の地球温暖化防止パンフレット「家庭でできる10の取組」によ

ると、「冷房の温度を1℃高く、暖房の温度を1℃低く設定する」ことに

より、1世帯当たり年間で約33kgの二酸化炭素排出量が削減されるそうで

す。

 同様に「15分間のアイドリングストップを行う」ことにより約39kg

「シャワーを11分家族全員が減らす」ことにより約69kg、「テレビ番

組を選び、11時間テレビ利用を減らす」ことにより約14kgが削減でき

るとされています。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-2_CO2_2.pdf

 

 つまり、ふだん私たちは意識していませんが、大量の輸入食料を長距

離輸送することによって、「冷房の温度を1℃高くする等」の取組の12倍、

11時間テレビ利用を減らす」取組の27倍の二酸化炭素を排出してい

るという計算になります。

 言い換えれば、食べものの産地に注目し、なるべく近くでとれた食料

を消費するように心がけるだけで、暑さ寒さ、あるいは見たいテレビを

我慢することに比べても、相当の二酸化炭素排出量の削減効果があるの

です。

 

[参考]

1 フード・マイレージ関係資料(F.M.豆知識)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

 

2 「食料の総輸入量・距離(フード・マイレージ)とその環境に及ぼす

 負荷に関する考察」[農林水産政策研究 No.5, 2003

 http://www.maff.go.jp/primaff/koho/seika/seisaku/pdf/seisakukenkyu2003-5-2.pdf

 

3 環境省『身近な地球温暖化対策家庭でできる10の取組』

 http://www.challenge25.go.jp/information/magazine/tm62009_b1/

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組

 んでおられる方達を紹介するコーナーです。

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 堀内正弘先生は、多摩美術大学
造形表現学部 デザイン学科の教授。

建築学、都市工学、デザインがご専門です。

 その堀内先生の胸の中には、常に「シェア」というキーワードがある

ようです。

 

 東日本大震災の発生直後、首都圏でも計画停電が実施され、夏にはさ

らに大変な状況になると言われるなど重い空気に包まれていました。

 そのような中、遅れて始まった最初のゼミで、堀内先生は「東京にい

るデザイナーや学生に何ができるだろうかができるだろうか」と学生た

ちに投げかけたそうです。

 そこで出てきたアイディアが「クールシェア」という取組に結実しま

した。家庭のエアコンを停めて、カフェや公共施設など涼しい場所にみ

んなで集まって楽しく過ごすことが、結果としてピーク電力消費を削減

することに繋がるというものです。

 

 この取組は、「eco
japan cup 2011
」のグランプリ、グッドデザイン

賞、低炭素杯など多くの賞を受賞し、冬期における「ウォームシェア」

とともに、各地に広がっています。

 

 また、堀内先生は、現在の日本の都市計画は公共施設整備など「顔」

は立派になっても中身が伴っていないとして、人々が快適で幸せに暮ら

せる街づくりのためには、絵を描く前のコミュニケーションが重要とさ

れ、行政との連携によるコミュニティづくりにも実践的に関わっておら

れます。

 

 その堀内先生が、新しい取組を始められました。

 堀内先生のご自宅は、東急・自由が丘駅から徒歩5分ほどの閑静な住宅

街にあります。この木造の広い建物を改装し、コワーキングシェアスペ

ース(みんなで一緒に様々な活動ができる場)等として開放されている

のです。

 この「シェア奥沢」の板敷きの広間では、映画の上映会、音楽会、ヨ

ガの体験会、さらに、みんなで料理を作って一緒に食べ語り合うという

「共奏キッチン」など様々なイベントが開催され、地元の方を含め、

多くの人の交流とコミュニケーションの場になっています。

 

 330日(日)(予定)には、「食」を語る会(仮称)の1回目の開催

が予定されています。私からも話題提供させて頂き、参加者の皆さんと

「より豊かな食の未来」のあり方等について話し合うこととしています。

 

 世田谷区という大都会・東京の真ん中にある「シェア奥沢」から、農

(生産段階)も視野に含めた新しい食の取組が発展していきそうです。

 

(参考)

 クールシェア・ウォームシェアのすすめ

  http://all62.jp/ecoacademy/18/01.html

 シェア奥沢

  http://share-okusawa.jp/

 多摩美術大学アーバンデザインラボ

  http://urbanecology.jp/

 

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  情報ひろば

  食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各

 種イベントの開催情報等をお知らせします。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 雪の下に合った野菜たち(03/01)

  市民農園のトンネルは大雪で潰れましたが、しっかりと作物は育っ

 ています。被害の大きかった埼玉・小川町からも野菜が届きました。

  http://food-mileage.jp/2014/03/01/

 

 第10回・気仙沼を食す会 (03/04)

  三軒茶屋で開催された会には、地元の水産加工会社の女性工場長さ

 ん、ロータリークラブの方をゲストに迎えて開催。

  http://food-mileage.jp/2014/03/04/

 

「東京ゴマ01プロジェクト2014」がスタートしました。 (03/09)

  大雪被害の大きかった東京・檜原村で今年もゴマプロジェクトが始

 動。大根、ほうれん草はしっかり芽を出していました。

  http://food-mileage.jp/2014/03/09/

 

 3年が経過しました。 (03/13)

  東日本大震災から3年が経過した日は新宿の「結-YUI-」へ。毎月11

 日には「集う会」が開催されています。

  http://food-mileage.jp/2014/03/13/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

 写真展「気になる樹」

 日時:33日(月)〜31日(月)

 場所:高円寺ノラや(杉並区高円寺南3-69-1

 主催:Photographer武藤奈緒美さん

 (詳細、お問合せ等

 http://www.mu-cyo.com/

 

 蔦谷栄一氏『地域からの農業再興』出版記念演奏会&パーティ

 日時:317日(月)18:3021:00

 場所:紙パルプ会館1Fラウンジパピエ(銀座3-9-1

 主催:発起人有志

 (お問合せメールアドレス

 info@sp-senryaku.org (担当/茂木さん)

 

 コミュニティカフェ研究会「共奏キッチン」の魅力とは?

 日時:320日(木)19002100

 場所:公益社団法人長寿社会文化協会(WAC)研修室

   (港区芝公園2-6-8 日本女子会館1階)

 講師:高田彰一さん(共奏キッチン主宰者)

 主催:WAC
コミュニティカフェ事務局

 (詳細、お問合せ等

 http://blog.canpan.info/com-cafe/archive/477

 

 しごと塾さいはら収穫祭「手しごとをとおして暮らしを見つめる」

 日時:321日(金・祝)16002000

 場所:みらい館大明(豊島区池袋3-30-8

 主催:しごと塾さいはら

 (詳細、お問合せ等

 https://www.facebook.com/events/1401319290130670/?ref=2&ref_dashboard_filter=upcoming

 

 共奏キッチン

 日時:324日(月)18:0022:00.

 場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢2-32-11

 主催:共奏事ム局

 (詳細、お問合せ等

 https://www.facebook.com/events/614227851978959/?ref=2&ref_dashboard_filter=upcoming

 

 第1回「食の会」(仮称)予定

  日時:330日(日)夕刻〜.

  場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢2-32-11

  (詳細等は、追ってFB等で公開予定)

 

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* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は、全て筆者の個人的なものです。

  ご意見、ご質問、投稿等をお待ちしています。

 

* 次回は331日(月)(和暦 弥生朔日)の配信予定です。

 

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  発行者:中田哲也

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