F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.041

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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信 ◇◆◇

     No.41;2014.3/31(月)[和暦 弥生朔日]発行

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 カレンダーは年度末、明日から新しい年度がスタートします。

 和暦では弥生に入りました。草木がいよいよ生い茂る「いやおい」の

月です。桜はじめ花々が咲き誇り、雁は北へ帰り、代わって燕が飛来す

る季節です。

 

 時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と

十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は和暦・弥生

朔日の発行です。

 ちなみに今号で41号。モーツァルトの(番号のついている)交響曲数

に並びました(較べる意味はありませんが)。


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  F.M.豆知識

  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎

 回少しずつ取り上げていきます。

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5 フード・マイレージ基礎知識

(6) 地球環境問題と地産地消

 日本は大量の輸入食料を長距離輸送しているため、輸入食料のフード・

マイレージは韓国・アメリカ等と比べて突出して大きくなっています。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-1_FM1.pdf

 

 日本は、大量の輸入食料を長距離輸送する過程で約16.9百万トン

1世帯当たり約380kg)の二酸化炭素を排出していると見積もられます。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-1_CO2.pdf

 

 また、これは、家庭でできる地球温暖化防止のための取組に比べて、

相当量の二酸化炭素を排出していることを、前回は説明しました。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-2_CO2_2.pdf

 

 さて、食料輸送に伴う環境負荷の低減を考える際に、キーワードとな

るのが「地産地消」です。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/3-1_CHISAN.pdf

 

 近年、多くの地域において地産地消の取組が盛んになっています。

 地産地消とは、一般的に地域で生産されたものを地域内で消費するこ

とを指しますが、その「地域」の範囲等については、必ずしも明確な定

義はありません。

 地産地消が盛んになっている背景には、消費者、生産者双方のニーズ

があります。まず、消費者にとっては、新鮮な食材の入手という面だけ

ではなく、安心を求めているという面があります。近年、中国産冷凍餃

子による健康被害やレストランにおける偽装表示など、食の安全と信頼

を脅かす事件・事故が頻発しており、消費者は食に対して大きな不安を

感じています(現下の最大の問題は放射能汚染ですが、これは稿を改め

たいと思います)。

 

 これら事件・事故の直接的な原因はそれぞれにありますが、共通する

背景として、食卓(食)と食料生産の現場(農)との間の距離が拡大し

ているという事情があります。

 消費者にとって地産地消は、この食と農の間の距離を縮め、顔の見え

る関係を取り戻し、食に対する安心感を得ようとする行動と位置づける

ことができます。

 一方、女性や高齢者を含めた生産者にとっては、規格が不ぞろいで、

少量・多品種の生産であっても、直売所に持っていくなどすれば現金収

入が得られ、地域社会の活性化につながるというメリットがあります。

 なお、地産地消は、国としての食料政策や学校教育の面でも重要視さ

れるようになっています。

 

 さらに、地産地消は、食料の輸送距離が短縮されることを通じ、輸送

に伴う環境負荷を低減するという効果もあります。

 フード・マイレージ指標を用いると、地産地消の取組により輸送に伴

う二酸化炭素排出量をどの程度低減できるかを、簡単に試算することが

できます。

 次回は、その具体的な試算例を紹介したいと思います。

 

[参考]

 フード・マイレージ関係資料(F.M.豆知識)

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組

 んでおられる方達を紹介するコーナーです。

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 森良(もり・りょう)さんは、ソーシャルアドボケイタ(社会を

変える提案者)。

 NPO法人エコ・コミュニケーションセンター(ECOM、東京・西池袋)

代表で、NPO法人としまNPO推進協議会の理事、「持続可能な開発のため

の教育の10年」推進会議(ESD-j)の理事(地域ネットワークプロジェク

トリーダー)等も務められています。

 

 これまで永年にわたり、子どもたちの自然教室のボランティアリーダ

ーとして環境教育の教材やプログラム作りに取り組むとともに、環境ま

ちづくりへの市民参加、都市・農山漁村交流等の活動に関わってこられ

ました。

 現在は、日本とアジア地域でのコーディネイター人材育成にも力を注

がれています。

 

 このように幅広く活躍されている森さんですが、一貫しているのは、

コーディネイター(現場のつなぎ手)を育て、コミュニティ・エンパワ

ーメント(一人ひとりが自己決定の力をつけることにより地域が問題解

決の力をつけること。)を促進するという視点です。

 

 環境教育やファシリテーション等に関する多くの著作もあります。

 本年2月には『交流のデザイン実践ガイド』を刊行されました。ECOM

3年間実施した「生命地域再生コーディネイター養成講座」(地球環境基

金助成)のエッセンスを取りまとめた実践的なハンドブックになってい

ます。

 

 そのような森さんと私との個人的な接点は、主に「しごと塾さいはら」

での活動を通じてです。

 

 「しごと塾さいはら」とは、山梨・上野原市の西原地区で農作業やもの

づくりを学び、地元の方たちと交流するというプロジェクト(小誌No.2 ;

2012.11/7付けでも紹介)ですが、実はECOM201013年にかけて開催し

たセミナー「都市・農山漁村交流しごと塾」から生まれたもので、森さん

は、言わば生みの親なのです。

 

 このように、都市農村交流等の分野では間違いなく第一人者である森さ

んですが、しごと塾の様々なプログラムに率先して参加し、時にはスタッ

フの一人として立ち働いて下さいます。

 獅子舞を見学した際に、真っ先に踊りの輪の中に飛び込んで行かれたの

も森さんでした。

 

 森さんの両眼は、いつも少年のように輝いていますが、その輝きは、自

然の中、地域の中では、さらに増すようです。

 

 都市でも農山漁村でも少子高齢化が進む中、交流を通じた地域再生に向

けて、理論と実践の両面を通じた森さんの指導的役割に、大いに期待して

いるところです。

 

 参考

  NPO法人エコ・コミュニケーションセンター(ECOM

   http://www12.ocn.ne.jp/~ecom/index.html

 

  しごと塾さいはら

   http://shigotojyuku-saihara.jimdo.com/

 

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  情報ひろば

  食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各

 種イベントの開催情報等をお知らせします。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 勇吾クンと勇気クンの物語 (03/15)

 映画『銀の匙』の八軒勇吾クン、小説『神去なあなあ日常』の平野勇

気クンに、農林業の厳しくも明るい未来を感じました。

  http://food-mileage.jp/2014/03/15/

 

 埼玉・小川町での農家見学会 (03/18)

 「おいしいお野菜届け隊」でお世話になっている生産者の方の産地見

学会、改めて2月の大雪被害の深刻さを伺いました。霜里農場の見学も。

  http://food-mileage.jp/2014/03/18/

 

 蔦谷栄一先生・出版記念演奏会&パーティー (03/20)

 銀座で農的社会デザイン研究所・蔦谷栄一先生の新著『地域からの農

業再興』の出版記念演奏会・パーティーが開催されました。

  http://food-mileage.jp/2014/03/20/

 

 しごと塾さいはら・収穫祭 (03/23)

 山梨・上野原市西原を拠点に活動しているプロジェクトの報告会と試

食会など。さいはらが池袋に出現しました。

  http://food-mileage.jp/2014/03/23/

 

 春の「共奏キッチン@シェア奥沢
(03/26)

 いつもの自由が丘で開催された「共奏キッチン」は、初参加の方も

多く、いつもに増して盛り上がり。美味しい料理も。

  http://food-mileage.jp/2014/03/26/

 

(謝辞:記事数が300に達しました。読者の皆さんに感謝です。)

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

 POCO
A POCO
農園さんの初春の畑をお手伝おう!

 日時:45日(土)10:50JR水郡線・静駅集合

 場所:ポコアポコ農園(和知さん、茨城県那珂市)

 主催:週末農風

 (詳細、お問合せ等

   https://www.facebook.com/events/592103714206469/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

 若手八百屋対談〜八百屋を起業してお客様に伝えたいこと〜

 日時:49日(水)19:0021:00

 場所:ちよだプラットフォームスクウェア(千代田区神田錦町3-21

 主催:農業ビジネス研究会

 (詳細、お問合せ等

  http://m-motegi.at.webry.info/201403/article_2.html

 

 ついに始動【種まき&開墾】東京ゴマ01 in 檜原村2014

 日時:412日(土)9:30 JR武蔵五日市駅集合

 場所:東京都西多摩郡檜原村

 主催:グリーンスマイル

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/707679802588344/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

まち食サミット】&【おたがいさま食堂#009−5歳児でもわか

 る「たのしい・おいしい」から、はじめるまち食”−

 日時:420日(日)14002000

 場所:阿佐ケ谷市庭スタジオ(杉並区阿佐谷南3-37-10

 主催:阿佐谷もちより食堂

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/690088261054070/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

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* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は、全て筆者の個人的なものです。

  ご意見、ご質問、投稿等をお待ちしています。

 

* 次回は414日(月)(和暦 弥生十五日)の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/