-分け隔てなくオープンであること
-安心して自分にも相手にも正直でいられること
-和して属せず、群れずにつながること
これら「共奏イズム」を実践し、無農薬・無肥料栽培の自然農法によるシェア・ファーム(共奏ファーム)を創っていこうという取組がスタートしたのは、2014年4月29日(火、祝・みどりの日)です。
前日の予報では雨、荒れ模様とも言われていました。しかし、当日13時に東武東上線・高坂駅に集合した時は、どんよりとした曇り空ながら雨は落ちてきていません。
この日の参加者7名のうち女性2人が「雨女」と「晴れ女」だそうで、2人がせめぎ合っているようです(メグさん頑張れ)。
主催者のケイさんとご友人のお2人が出迎えて下さり、路線バスに乗車、10分ほどで下りて徒歩で畑に向かいます。
この林の中の道が素晴らしい。
清々しく、汚れちまった心までもが洗われるようです。萌えて笑うような新緑の中、コントラストも鮮やかな藤の花の紫色が目を楽しませてくれます。
実は、ケイさん達は早く車で来て畑の脇に停めていたのですが、この道の快適さを私たちが体験できるよう、わざわざバスで駅まで出迎えに来て下さったのでした。
小川のせせらぎ、小さな畑と田んぼ。「冬みず田んぼ」に取り組んでいたようで、まだ田んぼの一部には水が残っています。
この辺りは子ども達の自然学習のフィールドにもなっているようで、NPO法人比企自然学校による看板が立てられていました。
心地よい道を20分ほど楽しみ、やがて「共奏ファーム」の畑に到着。
2年ほど前、ケイさんが耕作放棄されていたこの畑を借り、友人の方とお2人で農作業をされてきたそうです。その経験を踏まえ、いよいよ今日、「共奏ファーム」として立ち上げることになったのです。
着いた時は、正直、びっくりしました。
「元」耕作放棄地とは伺っていましたが、ちょっと見たところでは「現役の」耕作放棄地です。
促されて畑の中に入り、ケイさんに案内・説明してもらうと、確かに、ここかしこに作物が植えられています。
もっとも雑草を根から取り除いてしまう訳ではないので、雑草の間にタマネギ等の作物が顔を出しているような状況です。雑草と作物が共生しているのです。もちろん、除草剤は使っていません。
これが、自然農法とのこと。
農薬はともかく、肥料を入れなければ養分の補給ができないと思ったのですが、あちらこちらに野ウサギの糞が転がっていて、これが良質の肥料になるそうです。
いわゆる有機農業は、化学肥料は使わないものの、堆肥等を他から持ってきて「土づくり」をするのが一般的です。ここが自然農法と異なるところだそうです。
畑のあちこちには、モグラの穴もありました。たくさんの動物や虫が生息している証拠です。
さて、この日の作業はトマトの定植。
さころが、この日のために100本ほど準備されていた苗は生育が遅れているそうで、結局、この日植える苗は6本だけでした。これらは秩父の農業高校から分けて頂いたものとのことです(ケイさん、農法の勉強のために農業高校に通っておられるそうです)。
スコップで地面に穴をあけ(石ころも多くて固い)、ポットから苗を移して片側に寄せるようにして土をかぶせ、手でしっかりと押さえます。
その後、茎にヒモを3回ほど回して支柱にゆわえました。誘引という作業で、成長に連れてつけ替えるそうです。
最後に木酢液、焼酎、酢を希釈した水をかけて作業は終了。なお、生育中は水も基本的にやらない(雨次第)というのが自然農法だそうです。
福島・いわきの方に頂いた綿の種もまいてみました。しばらく自宅で水に浸していたのですが、なかなか芽が出てきません。無事に発芽すればいいのですが。
綿を植えた回りを竹で囲むと「結界」のような姿になってしまいました。
作業とも言えないような作業は終了。
移動のための車を待つ間、ゆったりとした時間を堪能できました。テントウ虫、それに大きな褐色のバッタもいました。成虫で越冬する種類のようです。
ちなみに参加者の一人・たかったー氏は、この間、畑に座り込んで宿題のレポート書き。
通りかかられた自然学校の方(ケイさんとは旧知とのこと)が、タケノコを差し入れて下さいました 後日、ワカメと炊いて頂きました。美味しかったです。有難うございました。
車3台に分乗して移動を始めた途端、見計らったように雨が落ちてきました。
ケイさん他3名が宿泊される予定の温泉施設は、すごい混雑です。露天風呂に打たせ湯(痛い!)、薬湯風呂(肌がヒリヒリ)を楽しんでから宴会場へ。 大音量のカラオケを聞きながら、ビールや焼酎で盛り上がってきましたが、適当に切り上げて別の広間に移動。
ここからが本番、畳に座って(時々寝転んで)、今後の企画・運営についてのミーティングです。
みづかさん(雨女)が、話し合いの内容を次々と模造紙に書き込んでいってくれます。時々、イラストも入ります。
いくつかの方向性が決まる頃、気が付くと20時を回り、日帰り組は退散することに。
雨が強くなるなか、横浜からレンタカーで来られたコーさんが最寄りの駅まで送って下さいました。
ところで主催者のケイさんは、現役時代は大手の通信会社や旅行代理店勤務のバリバリの企業人。
定年退職後は、自然農のみならず、商店街での居場所づくりや農山村との交流活動など、精力的に取り組んでおられます(翌日は長野・佐久だそうです)。
そのケイさんが自ら探し、地主さんからお借りして2年間温めていた畑は、本当に心地よいフィールドです。 この地でしっかりと「共奏イズム」が根付き、発展していくことを期待したいと思います。