コミュニケーションの力学

 初夏の陽気に恵まれた2014年5月11日(日)。
 武蔵境での「まち暮らしカンファレンス」(充実した内容でした。)を中座して向かったのは自由が丘。
 着いたのは16時前、まだ日射しはまぶしく、緑道のベンチも日蔭の方から埋まっています。
 シェア奥沢へ。
 庭は前日、有志の人たちにより片づけられたそうで、すっきりとしています。自然農の菜園ができる予定です。
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 この日開催されたのは、第1回「コミュニケーションの力学」ミーティング
 これまでシェア奥沢で実際に行われたイベントを題材に、場の中で何が起こるか、場をどう読むか等をシェアし、場を動かすためのノウハウ等について話し合おうという趣旨です。
 この日集まったのは、オーナーの堀内正弘先生、進行役の「まこちゃん」さん(水谷誠さん)始め8名。
 冒頭、今日のミーティングの目標「場づくりのポイントをまとめること」が明確化されました。
 これまでシェア奥沢等で開催されてきた様々なイベント等で得られた現時点でのノウハウ等を、一度まとめてアウトプットしたい、との説明です。
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 続いて「チェックイン」というプロセスに。
 A4版ほどの厚紙を2つ折りにした左側に、この場に対する期待や何を持ち帰りたいかを各自、キーワード的に記載。その後、30秒から1分ほどで発表。
 「街づくりへのヒント」「火種をどうすれば炎になるか」「コミュニティを作るためのプラットフォームづくり」「いかにして『ごく普通の人』を場にお誘いするか」「ビジネスとは直接結び付かない自己成長の場づくり」等の発言がありました。
 私からは、「自分の話の内容を、より相手に伝えるためのにはどうすればいいか」。前回の「食と農の会」での反省を踏まえたものです。
140511_2_3_convert_20140515214519.png 続いて「まこちゃん」さんからコミュニケーション理論等について、ご自身の経験を踏まえて説明。話し合いの「呼び水」としての位置づけとのこと。
 充実した資料を色々と準備して下さってます。 
 例えば、「グループの状態と変化」に関する社会心理学者ジャック・ギブの理論。受容、コミュニケーション、目標、リーダーシップの4つに着目することにより、グループの状態(初期~成熟)を具体的に知ることができるとのこと。
 また、ブルース・タックマンによると、グループの成長には「形成」「混乱」「規範」「遂行」の4段階があるとのこと。このうち「混乱」とは違いが明らかになることで、違いを認識することが創造的なプロセスにつながるそうです。
 さらに、 「人間関係の精巧な仕組み」についても説明がありました。
 人間関係をよりよく変えていく(心理的距離を近づける)上での会話(何を話すか、どれほどの時間を使うか)の重要性について、モノローグ、ナレーション、ダイアローグの概念の違いを含めて説明がありました。
 前回の「食と農の会」において行われたコミュニケーションや対話の様子についても、ペーパーにまとめて下さっていました。参加していない人にも、雰囲気は的確に伝わったようです。
 これらをシェアした上で、場づくりのポイント等について「思いつくままに」話し合い。
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 「日本人はディベートが苦手。欧米人のように、話は話、終わればフレンドリーといった割り切りが下手。欧米の理論だけではなく、日本人の特性を活かしたコミュニケーション手法があるのでは」 
 「啓蒙と実践の距離感が重要。色んな人にとって実践ができる分野を考えてもらうために情報の伝達が必要。自分と関係のない話は安全で満足感が得られるが、総評論家ではダメ」
 「自然農の力は素晴らしい。いつも青い顔をしている学生が、土に触れて表情が一変した」
 「日本人がいう自然とは、全くの自然(天然)とは違うのでは」
 「医療の分野でのメディカル・カフェ等の手法が参考になるのでは」
 「モヤモヤを言語化していくノウハウが必要」「会の名称や人数、場のデザイン、見せ方も重要な要素ではないか」「会の目的を明確化し、事前に資料を読んできてもらうなど、レディネスを揃える工夫が大事」等々。
 気が付くと、窓から見えていた気持ちの良い庭も、すっかり暗くなっています。テーブルに広げられた何枚もの模造紙は、書き込みと付箋で一杯になりました。

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 最後に堀内先生から、「シェア奥沢で取り組んでいることは一つのモデル。各地で様々なケースが育っていくために、反省例も含めてシェアし、参考にしてもらえるといい」とのまとめがありました。
 「食と農の会」の具体的な進め方(会の名称も含め)についても、引き続き検討していくことに。
 今日はこれで終了の予定だったのですが、時間がある人は簡単な食事をと、先生が玄米を炊いて下さり、「まこちゃん」さんが料理を作って下さいました。
 イカとネギの炊き合わせ、油揚げと人参の煮物、水菜のお浸し(2種類)など。
 食事をしながら映画『ダンス・ウィズ・ウルブス』(1990)のDVDを上映。まこちゃんさんによると、コミュニケーションの観点からも興味深い作品だそうです。
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 私自身、「共奏キッチン♪」等に参加する機会はありましたが、コミュニケーションや場づくりのあり方については、あまり考えたことはありませんでした。
 「まこちゃん」さんの理論と経験を踏まえた説明は、分かりやすく、多くの学びを得ることができました(とても全ては理解しきれてはいませんが)。有難うございます。
 これで充実した日曜日が終了。
 後で振り返ると、私にとって転機となった一日ということになるかもしれません。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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