図11 輸送機関別輸送分担率の推移


◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎回少しずつ取り上げていきます。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(11) フード・マイレージ指標の限界-1 (輸送機関)
地産地消は、食材の輸送に伴う環境負荷を低減する効果があります。
このことを定量的に明らかにするため、東京・小金井市の伝統小松菜、金沢市の加賀野菜等を用いた献立、阿蘇・産山村のあか牛、身近なお弁当についての4つのケーススタディを紹介してきました。

http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/5_komatuna.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/8_kagayasai2.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/9_ubuyama.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/10_bento.pdf

フード・マイレージは単純で分かりやすい指標です。
しかし、地産地消にさえ心がければ、地球環境問題の解決に向けて必ず貢献できるという簡単なものではありません。
フード・マイレージ指標には限界や問題点もあります。

その一つは、どのような機関(輸送手段)によって運ぶかによって、輸送に伴う二酸化炭素排出量は大きく異なるということです。
本メルマガNo.42(2014.4/14発行)で「二酸化炭素排出係数」について紹介しています。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/4_CO2keisu.pdf

これによると、1tの食料を1km輸送する際に排出される二酸化炭素の量は、普通トラックの場合は180gと、鉄道(約22g)、ばら積み外航貨物船(約10g)等と比べて非常に大きくなっています。

つまり、輸送に伴う二酸化炭素排出量を削減するためには、地産地消によって輸送距離を短くするよりも、トラックによる輸送から、二酸化炭素排出係数が小さな鉄道や船舶で運ぶように変更していくこと(「モーダルシフト」といいます。)の方が、直接的な効果は大きいのです。

しかし、現実の日本国内における輸送に占めるトラック(自動車)のシェアは増加傾向で推移しており、現在は約6割となっています。特に食料については9割以上がトラックにより輸送されているのが現状です。
(国土交通省資料)

これを鉄道や船舶輸送にシフトしていくために、納入期限など商慣習の見直し、貨物駅や港湾などインフラの整備など、多くの課題を解決していく必要があります。

さて、フード・マイレージの限界の2点目(こちらがより重要です。)については、次回、説明します。

[参考]
F.M.豆知識
http://food-mileage.jp/category/fm豆知識/
国土交通省「モーダルシフト等推進官民協議会中間とりまとめ」概要
http://www.mlit.go.jp/common/000172415.pdf
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