年の瀬になって少々風邪気味。
2014年12月21日(日)は、前日の冷たい雨の日と打って変わって晴天に。品川に向かいました。
品川神社の石段を登ると、境内には200人近い人たちが集まっています。
この日は「第3回品川蕪(カブ)品評会」の開催日。まずは参加者全員で本殿に参拝、お祓いを受けました。
境内には、品川蕪がずらりと並べられています。形も大きさも、まちまちです。
出品しているのは、区内を中心とした幼稚園、小中学校、児童センターや福祉関連施設、市民農園利用者など26団体・個人。文京区や北区の学校からの出品もあります。
一本一本に栽培した生徒の名前が付けられているものも。
多数の来賓を迎えての式典が始まります。
品川蕪とは、江戸時代に品川宿周辺で栽培されていたという長カブの一種で、見た目は大根のようにみえます。品川区での栽培は絶えていたのですが(何しろ品川区には農地そのものがありません)、近年、街おこしや食育の一環として栽培が復活しているのです。
その取組の中心人物であり、この日の祝賀会の主催者でもある地域の有志グループ(東海道品川宿なすびの花)代表の大塚好雄さんからの挨拶で開会。
「学校等に品川蕪の種を配り、子ども達に育ててもらう取組は6年目になる。せっかくなので、みんなで大きな収穫祭をしようと品評会を始めた。今年で3回目。取組は全て地域の仲間で運営している。今日は子ども達もたくさん来てくれて嬉しい。これからもみんなで楽しく品川蕪を作っていきたい。」
山田副区長始め来賓の方々から挨拶。与野党の国会議員も来られていました。
江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂さんからは「大塚さんが品川で播いてくれた種が、東京の他の区にも広がっている」等の挨拶。
式典の間も、いい匂いが漂ってきます。
境内の一隅では、江戸東京野菜の普及に取り組んでおられる野菜ソムリエの方達が、大きな鍋で料理を準備して下さっています。
正面脇には、金~銅賞のクリスタルのトロフィーが並べられています。
大塚さんから、形や大きさ、葉の色、全体のバランスなど審査のポイントを説明。
「品評会といっても26団体の順位をつける訳ではなく、野菜を育てることの楽しさ、食べ物への感謝の気持ちを伝えていくことが目的」との言葉を受け、10名の審査員による審査に入りました。
一画には、江戸東京野菜コーナーも設けられています。
品川蕪のほか、大蔵大根、練馬大根、小松菜(後関晩成)、のらぼう菜、滝野川ごぼう等が展示されていました。
出展して下さった東京シティ青果(株)の方からのミニ講座も開かれました。
レストラン経営者の方からの挨拶も。品川蕪普及の輪は、様々な方達の間に広がっているようテす。
料理も振舞われました。「品川汁・品川version」というそうです。
品川汁とは青森の郷土料理。江戸時代に品川沖で難破した青森の漁師たちが救助され温かい汁をふるまわれたことに由来するそうです。
青森では呉汁(大豆をすりつぶしたもの)だそうですが、この日は品川蕪が(実も葉も)はじめたくさんの野菜が入り、豆乳仕立ての「品川version」アレンジされたとのこと。
ほっこりと体の芯から暖まりそうな優しい味です。
千寿ネギの串カツとネギ焼きも頂きました。
子ども達も父兄の皆さんも、思い思いの場所で楽しんでいます。
そしていよいよ品評会の結果発表。子ども達もドキドキして発表を待ちます。
まずは、出展者全員に参加賞が贈呈されました。記念品のクリスタルの置物とミカン一箱。代表の子どもや父兄の方が受け取っていきます。
続いて上位3賞の発表へ。集計表をみた大塚さん、「え~っ、本当?」と一言絶叫。
「順位をつけたく無いんだけどね」と言いながら、最後の金賞は、品川区立小中一貫校品川学園と発表。
瞬間、大きな歓声とため息。発表前から待ち構えていた子ども達が大塚さんの前に殺到します。
一番大きなトロフィーと高級ミカン1箱(参加賞とは値段がだいぶ違うそうです。)が手渡され、子ども達の歓喜の輪ができます。
大塚好雄さんの本業は、北品川本通り商店街にある八百屋さん「マルダイ大塚好雄商店」です。
大塚さんは10年ほど前から江戸東京野菜に魅せられ、大竹さんと出会い、江戸東京野菜の普及をライフワークとされています。
店では積極的に江戸東京野菜を扱い、いつも店頭には江戸東京野菜の名前や由来を記した大きなパネルが掲げられています。
そして、地元の地名がついた品川蕪の種を、区内の学校や福祉施設等に無料で配布し、校舎の屋上や商店街の道路脇のプランター等で品川蕪の栽培を広げる活動を続けられてきました。学校等に足を運んで、ご自身で栽培の指導もされてきたそうです。
地域の商店等とも連携し、品川蕪を使ったケーキや餃子、まんじゅう等の商品化も進められているとのこと。
今や、地域の子ども達にも大人気の大塚さん。品評会の開始前も途中も終了後も、子ども達に取り囲まれ盛んに話しかけられている大塚さんの笑顔が印象的でした。
伝統野菜や在来種が持つ地域をつないでいく力は、農村も都会でも変わらないようです。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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