F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.060

================================================================

◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信− ◇◆◇

     No.60; 2015.1/5(月)[和暦 霜月十五日]発行

================================================================

 2015年が明けました。

 昨年は各地で多くの自然災害が発生しました。また、東日本大震災と

福島第一原発の事故からは310カ月が経とうとしていますが、現在も多

くの方々が避難先等での生活を強いられています。

 少しでも平穏な年となることを祈りたいと思います。

 

 時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と

十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ(今回は霜月十五日

の配信です)も、区切りの60号となりました。

 

 昨年を振り返ると、ちょうど元日のNo.35の配信以降、着実に月2回、

合計25本をお届けすることができました。お付き合い下さった読者の皆

様に感謝申し上げます。

 今号は、2014年を振り返る総集編です。

 

—————————————————————-

  F.M.豆知識

—————————————————————-

 本欄では、食や農に関わる話題について、毎回、ポイントとなるグラ

フとともに紹介してきました。グラフは拙ウェブサイトの「FM豆知識」

のページにまとめて掲載してあります。

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

 No.361/15付け)からNo.382/14)までは、輸入食料のフード・マ

イレージ(総量、1人当たり、輸入量と平均輸送距離)を紹介しました。

 No.393/1)では輸入食料の輸送に伴い排出されている二酸化炭素排

出量の試算値を紹介し、この量は、例えば「冷房の温度を1高くする」

取組で削減できる量の12倍に相当することを説明しました(No.40; 3/15)。

 

 No.413/31)からは数回にわたり、食料輸送に伴う環境負荷の低減を

考える際のキーワードである「地産地消」を取り上げました。

 二酸化炭素排出係数について説明(No.42 ;4/14)した後、地産地消の

取組による二酸化炭素削減量についてのケーススタディとして、小金井

市の伝統小松菜(No.43; 4/29No.44; 5/13)、加賀野菜を使った「ネ

オ和食」(No.45; 5/29)、阿蘇のあか牛(No.46; 6/12)、地産地消弁

当とコンビニ弁当の比較(No.47; 6/27)について紹介しました。

 

 一方、フード・マイレージ指標の限界についても紹介しました。

 No.487/11)では、日本における貨物輸送の多くが二酸化炭素排出量

が相対的に大きいトラックにより担われている現状から、輸送段階にお

ける二酸化炭素排出量削減のためには、地産地消以上にモーダルシフト

の取組が重要であることを説明しました。

 さらに、生産から消費に至るライフサイクル全体での環境負荷を計測

するカーボンフットプリントの概念と、試算事例として、生協の加工食

品(No.49; 7/27)、ニュージーランドの乳製品(No.50; 8/10)、トマ

トの雨よけ/加温栽培の比較(No.51; 8/25)を紹介しました。

 

 続くNo.529/8)〜No.5510/24)では、これら限界を踏まえつつ、

フード・マイレージ指標には、産地や生産者のことに想像を及ぼす

「よすが」となるという意味で有用性があることを説明しました。

 

 その後は、フード・マイレージを離れて「雑学」的な話題を取り上げま

した。

 No.5611/7)では世界の人口大国と穀物自給率の現状について取り上

げ、日本も1億人を超える人口大国であるにもかかわらず、穀物自給率は

諸外国(途上国を含む。)に比べて非常に低い水準にあることを紹介し

ました。

 さらにNo.5711/22)では、日本の農産物の純輸出入額が世界の中で

最大であること(輸出入が特異なほどアンバランスであること)を紹介

しました。

 

 最後の2回は、米産地で概算金の水準が大きく低下していることに関連

し、お米の値段について取り上げました。

 No.5812/6)では、米の生産者価格、コスト、消費者の購入価格等を

比較・整理したのに続き、No.5912/22)では、他の物価と比べて米の

価格が相対的に低下してきているという事実を紹介しました。

 

 本欄では、これからも食や農について、(特に消費者にとって)

ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回、

こつこつと取り上げていきたいと思います。

 

[参考]

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

—————————————————————-

  オーシャン・カレント −潮目を変える−

—————————————————————-

 本欄では、食や農の閉塞感を打ち破るために様々な活動に取り組んで

おられる方達を紹介させて頂きました。

 

 僭越ながら、元NHK解説委員の中村靖彦先生を紹介させて頂いたのは

No.5510/24)です。現在は著作集の出版を通じ、複雑な農業・食料問

題について引き続き分かりやすく解説して下さっています。

 

 一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス(LBA)共同代表、認定

NPO法人JKSK(女性の活力を社会の活力に)理事長等として幅広い分野で

活躍されているのは、大和田順子さんです(No.46; 6/12)。個人的には、

ふくしまオーガニックコットン・ボラバスの関係でも大変お世話になり

ました。

 

 ソーシャルアドボケイタ−(社会を変える提案者)である森良さん

NPO法人エコ・コミュニケーションセンターを紹介させて頂いたのは

No.413/31)です。

 リタイアされた後も「keiさん」という愛称で呼ばれ、地元で、あるい

は各地で様々な活動をされている桂政彦も紹介させて頂きました

No.44; 5/13)。

 

 きき酒師、焼酎アドバイザー、日本酒学講師の大西美香さんを紹介さ

せて頂いたのはNo.37 1/31)です。仲間の皆さんと主催された被災地

支援の取組「呑みます、ニッポン」には何度も参加させて頂きました。

 杉本鉞子『武士の娘』という素晴らしい本を教えて下さったのは、市

民研究家の釘島浩子さんです(No.47; 6/27)。

 

 ユニークな手法で地域活性化に取り組んでおられる方達も紹介させて

頂きました。

 長野・小布施町の「まちとしょテラソ」の花井裕一郎さんは、公立図

書館を拠点にしたまちづくりに取り組んでおられます(No.38 ; 2/14)。

 NPO法人グリーンバレー理事長の大南信也さん(徳島・神山町)は、

「やったらええんちゃう?」をキーワードに、中山間地の条件不利を逆

手に取った活動を進められています(No.57; 11/22)。

 山形県では、内発的発展と循環型社会の構築をめざす「置賜自給圏構

想」がスタートしています。構想の立役者である菅野芳秀さんとともに

紹介させて頂きました(No.58; 12/6)。

 

 棚田オーナー制度など都市住民との交流活動に積極的に取り組んでい

NPO法人「大山千枚田保存会」を取り上げさせて頂いたのは、No.54

10/8)です。

 

 伝統野菜の関連では、講演会の講師や小学校での出前授業等に積極的

に活動されている東京・小金井市の農業生産者である高橋金一さんと井

上誠一さんを紹介させて頂きました(No.39 ; 2014.3/1)。

 また、熊本の伝統野菜の復活・普及に取り組む「ひご野菜ブランド協

議会」を紹介させて頂いたのはNo.361/15)です。

 

 まちづくりや地域のコミュニティづくりの関連では、まず、多摩美術

大学教授の堀内正弘先生を紹介させて頂き(No.40; 3/15)、その堀内先

生が運営されている東京・自由が丘の「シェア奥沢」(No.48; 7/11)も

取り上げさせて頂きました。

 

 そのシェア奥沢での「共奏キッチン」を主宰されているのは高田彰

一さん(No.49; 7/27)。本業はシステムエンジニアですが「たかったー」

というニックネームで様々な「対話」や「コミュニティ」に関わる活動

をされています。

 

 同じシェア奥沢で自主上映会を開催したドキュメンタリ映画『ある精

肉店のはなし』と、その時に参加して下さった纐纈(はなぶさ)あや監

督も紹介させて頂きました(No.53; 9/24)。

 

 東京・阿佐ヶ谷の齊藤志野歩さんは、みんなでご飯を作ってみんな食

べることをまち食と呼び、広めておられます(No.43; 4/29)。

 また、東京・国立のみやけようこさんは、学生と地域のみんなが一緒

にご飯を作って一緒に食べる「おかんめし。」を主宰されています

No.45; 5/2)。

 これら取組が様々なメディア等に取り上げられ、認知度が急速に拡が

りつつあるのは嬉しいことです。

 

 熊本で毎月1回発行されている『ドリ一ム』も紹介させて頂きました

No.52; 9/8)。編集に当たっておられる高木正三さんや佐藤洋子さん

により、10年以上にわたって発行され続けている同人誌です。

 熊本の関係では、設立20年を迎えた「環境ネットワークくまもと」

(愛称・かんくま)について、故・原田正純先生への個人的な思い出と

ともに紹介させて頂きました(No.56; 11/7)。

 

 地球環境問題を考える日・アースデイを紹介したのはNo.424/14

です。

 

 震災や原発事故からの復興の関連でも、何人か紹介させて頂きました。

 (失礼ながら)ご高齢にもかかわらず、宮城・石巻市等での市民ボラ

ンティア活動に取り組んでおられる吉永鴻一さんの姿には、背筋が伸び

る思いがします(No.50; 8/1)。

 大震災を忘れないために毎月11日に新宿で開催され続けているイベン

ト「結イレブン−新宿と福島を結ぶ復興カフェ」(主宰・鈴木亮さん)

の取組も紹介させて頂きました(No.51; 8/25)。

 2014年の最終回で取り上げたのは、ふくしまオルガン堂(東京・下北

沢)と、開店以来尽力された前店長の阿部直実さんです(No.59; 12/22)。

新天地での活躍をお祈りしたいと思います。

 

 このように、2014年も多くの方達を紹介させて頂きました。

 内容については、極力、事前にご本人の確認を頂くようにしています

が、不正確・不十分な点があるとすれば、当然ながら全て筆者の責任で

す。

 

 素晴らしい方達とのご縁を頂いたことは、何より私自身にとっての財

産ですが、これら方達の取組内容等についてより多くの方達に知って頂

きたいという気持ちで、微力ながら、僭越ながら、紹介させて頂いてき

たつもりです。

 2015年も多くの方達との出会いがあると思うと、期待に胸が膨らみま

す。

 

—————————————————————-

  情報ひろば

  食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各

 種イベントの開催情報等をお知らせします。

—————————————————————-

ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 第3回品川蕪品評会
(12/23)

  http://food-mileage.jp/2014/12/23/

 

 ふくしまオルガン堂 感謝祭 (12/24)

  http://food-mileage.jp/2014/12/24/

 

 ミシュカの森2014-世田谷事件から14(12/29)

  http://food-mileage.jp/2014/12/29/

 

 恒例・市民研クリスマス会(12/30)

  http://food-mileage.jp/2014/12/30/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 Chisako ABE初個展 @ 新橋

 日時:128日(月)11:00125日(日)17:00

 場所:元氣計画治療院(新橋駅烏森口より徒歩2分)

 主催:Chisako ABEさん

  https://www.facebook.com/events/1540275989545657/

 

 「脱成長ミーティング」公開研究会

   脱成長と自由貿易批判−TPPへのオルタナティブ

 日時:111日(日)14:0017:00

 場所:ピープルズプラン研究所(地下鉄有楽町線「江戸川橋」徒歩5分)

 主催:「脱成長ミーティング」

 (詳細、お問合せ等

  http://www.peoples-plan.org/jp/modules/news/article.php?storyid=457

 

 おかんめし。の新年会2015

【古民家でお餅つきtoつるつる温泉toもしかしたらジビエ料理】

 日時:117日(土)0910 JR武蔵五日市駅集合

 場所:古民家
滝本(東京都西多摩郡日の出町大久野 4807

 主催:おかんめし。

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/770252369708843/

 

 共奏キッチン♪50thスペシャル

 日時:118日(日)93021:00(昼の部、対話の時間、夜の部など)

 場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢 2-32-11

 主催:共奏キッチン

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1412256765732019/

 

 銀座農業政策塾/第4期/プレ講座

  「食と農に興味のある人のためのTPP、農協改革、企業参入」

 日時:121()19:0021:30

 講師:蔦谷栄一さん(農林中金総研客員研究員、農的社会デザイン研究所代表)

 場所:銀座会議室三丁目(中央区銀座3-7-10 松屋アネックスビル)

 主催:NPO法人農業情報総合研究所、NPO法人銀座農業環境イニシアティブ

 (詳細、お問合せ等

  http://kansyokunouken.seesaa.net/article/410821907.html

 

 小学生と大学生がお米について一緒に考えるワークショップ第3

 日時:124()13:0014:30

 参加対象:小学36年生(保護者の方も見学可)

 場所:東京農業大学「食と農」の博物館(世田谷区上用賀2-4-28

 主催:NPO法人農業情報総合研究所

 (詳細、お問合せ等

  http://kansyokunouken.seesaa.net/article/410622385.html

 

 第13回も・の・が・た・り展−テーマ「ビ————-ム」

 日時:211日(水)〜15日(日)

 場所:目黒区美術館
区民ギャラリー(JR目黒駅から徒歩10分)

 主催:NPO法人
子ども未来研究所

 (詳細、お問合せ等

  http://www.cof.or.jp/event.html

—————————————————————-

* 今年は未年だけに、多くの人たちが集う一年になることを期待しま

 す。「ひつじだよ、全員集合!」なんちゃって。

 

* 次号No.61120日(月)[和暦
師走朔日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています(2015年版も発売中)。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

================================================================

 F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997

================================================================

  発行者:中田哲也

http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/