「共奏キッチン♪」50th スペシャル

 2015年1月18日 (日)。東京地方は抜けるような冬晴れの一日。
 午前中の自由が丘は、いつも来るタ方から夜とは違って、人も少なく、閑静です。
 11時過ぎにシェア奥沢に到着。
 ドアには「本日の会にご参加の方は呼び鈴を押さずにお入り下さい」との張り紙。
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 中に入ると、キッチンでは何人もの若い男女が調理の真っ最中。
 この日は、2015年最初の「共奏キッチン♪」が開催されるのです。
 見知らぬ者同士が、みんなで料理を作って一緒に食べ、語り合うというイベントが、50回目の節目を迎えました。
 誰でも参加できるオープンなイベントて、毎回3割くらいが初参加とのことです。
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 この日の野菜は、茨城・那珂市で自然農を営む和知さん(ポコ・ア・ポコ農園)から届いたもの。
 多くの品種を生産されている和知さんらしく、この日届いた野菜も、黒紫だいこん、菊いも、紫いも、ルタバカ (スウェーデン燕)など、珍しいものも。
 人参は鮮やかな橙色と黄色の二種類。
 和知さんは、昨年6月の「共奏キッチン♪」にご家族とともに参加され、色々とお話を伺いました。
 お目にかかり、直接話を伺った方が生産された野菜と思うと、有機や無農薬ということだけではなく、安心感や信頼感があります。もちろん、美味しさも格別です。
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 色鮮やかな野菜は、サラダのほか、鍋で煮込んでスリランカ・カレーに。
 いも類はきんぴら、小松菜等はお浸しになりました。
 N先生は、白菜と豚バラ肉のミルフィーユを作って下さいました。
 昨年、大学の先生を退職されてから、この日は久しぶりのご参加。再会を喜びました。
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 一方、広間のテーブルでは、Mさん(昨年9月、新潟・大賀集落での稲刈り等でお世話になった方です。)の指導によるベーグル作りが進んでいます。
 小麦粉は、アースディマーケットで調達されたという国産の農林61号。
 これに塩、砂糖、イースト菌を計って、さらに水を加えてこね(かなり力が必要)、かたちを整えてラップをかけて30分ほど寝かせます(発酵して膨らんできます)。
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 その後、沸騰手前のお湯で茹でた(片面30秒ずつ)後、フライパンで焼きます(こちらは片面10分ずつ)。
 フライパンの蓋を開けると、美味しそうな焦げ目と香りに歓声が上がります。
 待ち切れず試食させてもらうと、外はパリパリ、中はもっちりで、また歓声。
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 13時近くになって料理が揃い、一番遠くから来られた北海道の方の音頭で乾杯(ワインも持参して下さいました。ご馳走様でした)。
 金沢から夜行バスで来られた方も。「共奏キッチン♪」の参加者は全国規模に拡がりつつあります。
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 各自、好みの飲み物を手に、しばらく料理を楽しみつつ歓談。
 常連の方も、懐かしい方も、初めてお目にかかる方も、ここでは分け隔て無く話ができます。
 白菜と豚バラ肉のミルフィーユは、たくさんの野菜を頂けます。
 スリランカ・カレーは、お好みでライムを絞り、パクチーを添えて。
 ベーグルは生ハムやチーズ、野菜を挟んで頂きました。レーズンやサツマイモ入りのものも。
 お祝いと、たくさんのシフォンケーキを届けて下さった方も。
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 食事が一段落したところで、みんなで食器やテーブルを片付け。
 N先生が持参して下さったケーキには、50回記念にちなんで5本のろうそく。
 何故かみんなでハッピーバースディを歌った後、主催者のたかったー氏が吹き消して拍手が沸きます。
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 その後は、板の間に座布団を敷いて対話の時間。
 最初は3人ずつ位で、後は全員で話し合い、イベント等のシェアをします。
150118_11_convert_20150119230142.png 「共奏キッチン♪」のユニークさ、素晴らしさについては、本ブログでも何度か触れてきました(例えば2013年12月の記事)。
 一緒に食べることの重要性について、霊長類学・人類学の山際寿一先生(京都大学)は、次のように述べておられます。
 「サルや類人猿は、食べものを他者と共有することはない。一緒に食事することで、人類は類人猿と別の道を歩み始めた。」
 「近年、食の社会性が破壊され、ファストフードや孤食が増えた。食事が人間に豊かな社会性をもらすものであることを再認識して、新たなコミュニケーションの場として食の世界を広げてほしい。」
 (『いま「食べること」を問う』、2006、農山漁村文化協会より)
 一度でも「共奏キッチン♪」に参加すれば、食が、いかに人と人とを繋ぐ力を持っているかを実感することができます。
 他にも、食を仲立ちにした新しいコミュニティづくりの取組が各地で盛んになっています(例えば、阿佐谷もちより食堂おかんめし。地域リビングプラスワンなど)。
 2015年、これら取組がどんどん地域で拡がっていけば、「無縁社会」といった嫌な言葉は死語になっていくことでしょう。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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