図20 1年以内にした年中行事(「食」関連)


◆ F.M.豆知識
 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 今回は「行事食」について。
 私たちの生活の中には、季節ごとの行事やお祝いの日(ハレの日)に、家族の幸せや健康を願って特別の料理(行事食)を頂くという習慣があります。

 ところが近年、これら行事食の習慣は薄れつつあります。
 博報堂生活総合研究所「生活定点調査 1992-2012」によると、正月にお節料理を食べた人の割合は1992年には87%だったのが、2012年には75%へと低下しています。
 同様に、同じ時期に七草粥を食べた人は34%から26%に、節分に豆まきをした人は55%から44%に、冬至の行事をした人は35%から29%へと減少しているのです。
 ちなみにクリスマスを祝った人は、2000年代に入って増加傾向です。

 ここで話は大きく変わりますが、近年、親などによる子どもの虐待が深刻な社会問題になっています。
 全国の児童相談所が児童虐待相談に対応した件数は、1992年には1,372件だったのが2012年には66,701件へと大きく増加し、これまでで最多となっています。

 仮にこれらグラフを重ねてみると、あたかも行事食の習慣が廃れるに伴って児童虐待が増加しているように見えます。
 両者の因果関係を証明することは難しいでしょうが、家族が一緒に行事食を頂く機会が減ることが、家族関係を不安定にしている一因となっている可能性は否定できないのではないでしょうか。

 ところで、前掲のグラフによると、近年、食べる人が増えている行事食が一つだけあります。それは節分の「恵方巻」。
 もともと大阪など一部地域での慣習だったのが全国に拡がりつつあることをコンビニの商業主義と批判することは簡単ですし、また、恵方巻を食べたからといって児童虐待が減るわけでもないでしょうが、食文化や行事食に対する関心が拡がることに、目くじらを立てる必要はないと思います。
 
[参考]
 博報堂生活総合研究所「生活定点調査 1992-2012」
 (注:行事食については「02暮らし向き」カテゴリーにあります。)
  http://seikatsusoken.jp/teiten/
 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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