図21 米を購入するために必要な労働時間


◆ F.M.豆知識
 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 今回は、再びお米を取り上げます。
 主食と呼ばれるお米ですが、1人当たりで1年間にお米に対して支出している金額はどの位でしょうか。
 今回は、消費量と価格に分けて、その推移をみてみます。

 年間1人当たりの米消費量(供給純食料)は、1962年の117kgをピークに減少傾向で推移しており、1978年の時点では82kgでした。それが2010年には60kg弱にまで減少しています(下記リンク先のグラフの1番上の緑の折れ線)。

 一方、米の小売物価(2kg当たり)は、1978年の806円から上昇基調にありましたが、前年が戦後最悪の不作であった1994年(1232円)をピークに低下傾向に転じ、やはり不作の影響を受けた1993年にはいったん上昇(921円)したものの、2010年は696円まで低下しています(2番目の青色の折れ線)。

 その結果、年間1人当たりの米に対する支出額(量×価格)も、この間、ほぼ一貫して減少傾向で推移しており、1978年の65,770円から2010年には41,388円へとなりました(オレンジ色の折れ線)。

 次に、この米を買うために必要な労働時間を計算してみます。
 赤い折れ線が最低賃金です(1時間当たり、全国加重平均)。1978年の時点では315円だったのが一貫して上昇しており、2010年は730円となりました。

 そして、水色の棒グラフが、米を購入するために必要となる年間労働時間(米に対する年間消費額÷最低賃金)です。1978年の時点では209時間(約26日)だったのが、2010年には57時間(約7日)へと、約4分の1に減少しているのです。

 もっとも、今回のグラフをもって、働く人にとって食生活に対する負担が減少していると、単純に一言えるものではありません。
 米の消費が減少した分、肉類や油脂、あるいはそう菜や弁当(いわゆる「中食」)に対する支出額は増加しています。また、そもそも最低賃金の水準自体が適正かどうかという議論もあることにも、留意が必要です。

[参考]
 農林水産省「食料需給表」
  http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/zyukyu/index.html
 総務省「小売物価統計」
  http://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/3.htm
 厚生労働省 最低賃金関係資料
  http://pc.saiteichingin.info/
  http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0921-8g.html
 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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