図25 消費者物価指数の増減


◆ F.M.豆知識
食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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最近、エンゲル係数(消費支出に占める食料費支出の割合)が上昇している要因の一つに、食料価格の上昇があることを前回、説明しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/24_CPI.pdf

今回は、前回も少し触れましたが、品目別の消費者物価指数(総務省)の動向を少し詳しくみてみます。

図25の赤い折れ線は、エンゲル係数が上昇に転じる前の2005年を基準に、2014年の消費者物価指数の増減率を表したものです。

これによると、全体の消費者物価指数(総合)は2.4%上昇しているのに対し、食料品は6.8%上昇しています。つまり、食料品価格は、物価全体に比べて3倍く大きく値上がりしているのです。

主な品目別にみてみましょう。
小麦粉は26%、チーズは42%、マーガリンは50%、チョコレートは33%等と、特に大きく値上がりしています。
調理食品(10%)や外食(7%)も値上がりしています。
そのなかで、主要品目の中ではほとんど唯一、米だけが値下がり(▲9%)しています。

先ほどの図25には、緑色の棒グラフで自給率(カロリーベース)を重ねて表示しています。
これによると、自給率が低い品目ほど(海外からの輸入に依存している品目ほど)、近年、価格が大きく上昇している傾向がうかがえます。
この背景としては、直接的には為替レートが大きく円安に振れていることがありますが、中国など人口超大国の経済発展、世界各地での天候不順等による国際的な穀物価格の上昇という事情もあります。
ちなみに米については、主食用についてはほぼ全量を国内で自給しており、為替レートや国際需給の影響を受けない品目です。

戦後の経済の高度成長の過程で、食料の多くの部分を海外に依存する構造がつくられ、現在も続いています。これは、安価で安定的に海外から食料が調達できるという前提があって、初めて合理的かつ可能であった選択肢でした。
最近のエンゲル係数の上昇は、このような前提が崩れつつあることを示しているのかも知れません。

[参考]
総務省『消費者物価指数』(長期時系列データ、品目別、全国、年平均)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001033700&cycode=0

農林水産省「食料自給率の推移」
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/pdf/himoku1.pdf

FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/category/豆知識/

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