大賀米づくり隊(仮称)田植え

150524_0_convert_20150527064439.jpg 2015年5月23日(土)は、新潟・上越市吉川区の大賀集落へ。
 有志のグループ「大賀米づくり隊」(仮称)主催の田植えイベントに参加させて頂いたのです。
 朝の7時に高田馬場駅前に集合。
 たかったー氏の車に乗せて頂き、関越道を北へ。
 途中、埼玉・上里SEで幹事のみずかさんと合流。朝食で頂いた地粉うどんの麺は絶品でした。
 車はさらに北へ。
 雪の残る上越国境の山並みが迫ってきます。
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 六日町ICを降りて国道253号を西へ。
 十日町、松代を経由し、上越・大島区の「青空市場」で、夕飯の食材の買い出しと昼食。
 手打ち蕎麦。これも美味。
 さらに進み、「人情あふれる米つくりの里・大賀入口」の看板を左へ。いよいよ大賀に到着です。
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 「大賀米づくり隊」(仮称)は、ここに通い始めて6年目になるそうですが、私は昨年9月の稲刈り以来2回目です。
 まずは、私たちの受け入れの窓口であり、農作業の「師匠」でもあるNさん宅にみずかさんがご挨拶。
 ハウスの中には、びっしりと水稲の苗。
 12時半すぎ、今夜、泊めて頂く集会所(普門庵)へ。今回もお地蔵さまが迎えて下さいました。
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 ここで、今回の参加者11名が集合。
 みんなで掃除しているうち、顔を出して下さったN師匠から今日の段取りなどの説明を受けます。
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 昨年、東京から移住されてきた女性も、1歳になる娘さんを連れて顔を出してくれました。
 そして、改めてN師匠が軽トラに水稲の苗を一杯に積んで来て下さり、14時頃、いよいよ田植えに向かいます。
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 集会所の裏手の山道を下っていきます。
 むせるような初夏の緑のなか、水が張られた棚田の光景は、昨年秋とはまた違った美しさです。
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 途中、道端には様々な野草が花を咲かせていました。
 アザミにはハナグモ、シャガには小さなバッタの姿。はかなげに舞うのはウスバシロチョウです。
 おっと、あちらこちらに茶褐色の大きな毛虫。ヒトリガの仲間でしょうか。異常発生しているようです。
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 昨年、稲刈りをした棚田に到着。
 N師匠は田植え機に苗のシートをセットしつつ、手植えのやり方を伝授して下さいます。
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 全て手で植えられれば「体験」としてはいいのでしょうが、何しろ、この時期は田植えの最盛期。時間的な余裕はありません。中山間地の棚田は、一枚一枚の面積は小さいながら、枚数が多く手間がかかるのです。
 N師匠が田植機で植えていくのですが、ところどころクラッチを外して苗を植えないようにします。その空いたところに、私たちが手で補植していくというやり方です。
 これでは、かえって時間と手間がかかるだけで、全く「お手伝い」にはなりません。
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 田植えは初めてという女性を含め、田んぼに入ります。歓声が上がります。
 泥に足をとられて移動するのも一苦労。
 前後左右をみながら3~4本ずつ植えていくのですが、後からみると条(スジ)は曲がり、なかには消えたり一緒になったりしている箇所も。
 最後に、ベテランの2人が補正作業。
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 もう一段下の棚田でも、同じように作業。
 好天ながら風が心地よく、蒸し暑くありません。作業量も多くはなく、ほとんど汗もかかないままに16時過ぎに作業は終了です。
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 ところで、田んぼのあちこちに不思議なかたまりが。しかも、うごめいています。
 近くに寄ってみると、これがオタマジャクシの集団。ものすごい数です。
 足が生えていてジャンプして逃げるもの、すっかり大人(蛙)になった姿のものも。
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 下りてきた道を逆に、集会所の方に登って戻ります
 陽が西に傾く中、数時間前とも、また違う景観です。
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 集会所に戻ると「小昼(こびる)」を準備して下さっていました。
 緑色の大きな朴葉(ほおば)が、取り皿代りに並べられています。包まれているのを開くと、赤飯のおむすび。
 タケノコやフキ、厚揚げのお煮しめなどと一緒に頂きました。
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 近くの温泉施設に行く人達は車に分乗して出発。残りは夕食の準備など。
 私は、温泉は昨年行ったし、集会所にあるお風呂(内装は木がふんだんに使われており、薪を焚いて沸かします)に入りたかったので残留組に。
 もっとも、あまりお手伝いもせず、早めに風呂を頂いて一人で周辺の散策に出ました。
 次第に暗くなってくるなか、少し山を登った浅間神社に参拝。祭神はコノハナサクヤヒメという女神。特に女性の守り神だと、東京から移住された女性が教えて下さいました。
 小さな祠が、この集落の歴史と人々の信仰を、確実なかたちで今に伝えてくれています。
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 西の空が赤く色づいてくるのに引きつけられるように、集会所の脇を素通りして(食事の準備の真っ最中だったかと思います。スミマセン。)坂道を下りていくと、棚田の向こう側に陽が沈んでいくのが見えます。
 しばし、畔の草の上に座って眺めていました。
 次第に蛙の鳴き声が大きくなります。鳥の声、風の音も。
 山の端に隠れ始めたので、集会所の方に坂を登っていくと、他の方達も出てきて夕日を眺めていました。
 気がつくと日本海が見えます。水平線の少し左の山の後ろに、真っ赤な、真ん丸な太陽が落ちていきました。
 生涯で二度と見られないような、素晴らしい夕焼けでした。(新潟だけに、一期(越後)一会。)
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 19時前に集会所に戻ると、食事と懇親会の準備が整っています。
 直売所で求めてきた野菜など(ご自身で多摩地区で栽培したホウレン草を持ってきて下さった方も)の料理が並びます。
 地元の方から、ワラビの煮付け、食紅で色づけした五目炊き込みご飯などを差し入れて下さいました。
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 上越市・吉川地区は「杜氏の郷」として、つとに有名です。
 杜氏修行のために東京から移住されてきた方(1歳の女の子のお父さんです。)は、地元の純米酒を持ってきて下さいました。N師匠からは、氷室で熟成しているというお酒も。
 何とも華やかな、ふくよかな香りと味です。
 改めて自己紹介を含め懇談。
 新潟の美味しいお酒と心づくしのお料理で、次第に気持ちは天国状態に。
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 N師匠からは、兼業農家に支えられている中山間地域の米作りの大変さ、大切さについて話を聞かせて頂きました。
 師匠も、もとは役場に勤めておられたそうです。偶然、懇親会で隣になった男性は、JRの運転士をされながら農業を続けておられるとのこと。
 棚田での米作りは、確生産性(コスト)だけみると、およそ海外と競争できる水準にはありません(品質や為替など色々な要素はありますが)。
 しかし、このような条件不利地域で米作りが続けられていることで、農業生産だけではなく、地域の景観、生物多様性、さらに伝統や歴史が今まで継承されていることは、紛れもない事実です。
 おカネだけでは測れない(一般的な経済学の範ちゅう外の)価値です。
 東京など都会に住みながら、地方の農業に関心のある人たちと、そのような人達を(経営面を度外視して)受け入れて下さるNさん達とのような、有機的な人間同士の繋がりこそが、これからのこの国の「農」と「食」を支えていくのかも知れません。
 キーワードは消費者と生産者との有機的な関係性。
 (大賀だけに)「おーが」ニックな繋がりの中に、これからも参加させて頂ければと思っています。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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