US.Peaceファーム農業体験会(田んぼの草取り) @ 埼玉・小川町

 2015年7月4日(土)は、時折小雨がぱらつくなか、10時前に東武東上線・小川町駅に到着。
 ホームには七夕祭りの飾り付け。4月にユネスコ無形文化遺産に登録された細川紙の幟もあります。
 駅を出ると20名程の人が集まっていました。US.Peaceファーム主催の農業体験会に参加する人達です。
 (有)US.Peace(ユーエスピース) は、手づくりIT会社(有)ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所(USP研究所)の社会コミュニティ活動を支える会社で、ここ小川町に新規就農された方達の販路確保を支援するための「おいしいお野菜届け隊」、小川町の有機野菜を使った一流シェフによる食事会「シェフズテーブル」等とともに、年数回、農業体験会を開催しています。、
 この日の体験会は、4月の田植えに続いて今年2回目です(私は昨年10月の稲刈り以来です)。
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 車に分乗して着いたところは旧下里分校
 子どもが減って廃校となったのをNPO霜里学校が体験学習や交流の場として活用しています。TVアニメ「のんのんびより」の舞台のモデルとなっているそうで、門のところにはノートが置かれていました。
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 着替えなど準備を終えて校庭に集合。
 出迎えて下さったのは、現地での受け入れ窓口をして下さっているNPO法人生活工房「つばさ・游」の高橋優子さんと、農作業を指導して下さる農家の松永崇史さん。
 今日の作業内容やスケジュール等の説明(午前、午後とも水田の草取りが中心になるそうです。)を受けた後、歩いて田んぼに向かいました。
 どんよりとした曇り空。
 時折、細かい雨が落ちてきますが、カンカン照りに比べれば、むしろ農作業には好天と言えます。
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 途中で渡った槻川(つきがわ)は、豊富な水量をたたえています。
 徒歩5分ほどで目指す田んぼに着きました。4月には参加者みんなで手植えをしたそうです。
 田んぼの脇に置かれている見慣れない道具が、気になります。
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 まず、松永さんが田んぼに入って雑草の説明をしてくれました。
 稲株の間にびっしりと草が生えているのが見えます。コナギといって秋には綺麗な紫色の花をつけるのですが、稲の生育にとっては大きな害を及ぼすそうです。
 農薬を使わない松永さんは、深水管理(ふかみずかんり。水深を深くすること。)等により雑草の発生を抑えていますが、コナギは水中でも生育が旺盛です。
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 ここで、気になっていた新(?)兵器の説明。
 まずは「田ころがし」。フロートの後方に2つの回転する爪があり、これで稲の苗を挟むようにして前後に転がしながら進むことで、雑草の根を切って浮かせたり、あるいは土の中に埋め込んだりする道具です。
 明治時代からあったそうですが、近年、農薬を使わない稲作りが増えてきたのに伴い、アルミ製の新しいタイプが普及しつつあるとのこと。
 松永さんが実演してくれました。前後に何度かこするようにしつつ前進していきます。なかなかの勢いです。
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 次なる新(?)兵器は、チェーン除草機。
 2メートルほどの木の棒に、すだれのように金属製の鎖(チェーン)が取りつけられていおり、紐を持って引っ張ることによって、泥をかき回して雑草を浮かせる効果があるそうです。
 先ほどの田ころがしは、田植えをした方向(条間、タテ方向)にしか使えませんが、これは株の間(ヨコ方向)も除草できます。
 これも昔はよく使われていた器具で、現在も色々な地域で使われているものを東北農業研究センターの方が整理し、そのアイディアを活用して小川町でも用いているそうです(有機農業のネットワークの力です)。
 
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 早速、田んぼに入って作業開始。
 長靴を履いてきたのですが、泥田の中では足が抜けなくなるため、裸足になりました。
 田ころがしは、見ていた以上に腕の力が必要です。コツをつかまないと、なかなか前進しません。チェーン除草機も、それなりの重さがあります。
 USPの若手男性達が大活躍。ふだんコンピュータ相手にSE等をされている方達が、田んぼで活き活きと作業されています。
 並行して手を使って、器具で取り切れない雑草等を抜き、あるいは浮いた草を取り除いていきます。なかなかの労力です。
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 田んぼの回りには色々な虫たち。オタマジャクシやカエルもたくさんいて子ども達は大喜び。
 有機栽培の水田は、生物多様性も育んでいます。
 ホソオチョウというアゲハの仲間は初めて見ました。これは後で調べてみると、外来種とのことです。
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 12時を回って、お昼の休憩。
 下里分校で待っていてくれたのは、地元産の夏野菜がたっぷり入ったカレーです。ご飯は羽釜で炊いたものです。
 地元のお母さんが作って下さったジャガイモや野菜の付け合わせも。家庭菜園でとれた枝豆を持参して下さった参加者の方も。
 校庭に敷いたブルーシートの上で、みんなで頂きました。何とも気持ちのいい、豊かで美味しい昼食です。
 この間、参加者から自己紹介。小川に魅せられた常連さんも多数参加されています。
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 午後はまず、近くの畑へ。スイートコーンやトマトが植えられています。
 ところが、松永さんの奥様によると鳥獣害(イノシシ、ハクビシン、アライグマ、シカ等)が深刻だそうで、昨年は収穫目前のスイートコーンが一夜のうちに全滅だったとのこと。
 そこで、今年はソーラーパネルと電気柵を設置することにしたそうです。
 力持ち組は、ここでパネル設置のための杭打ち作業に従事することとなり、残りは再び田んぼへ。
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 残りの2枚の田んぼで、同じように田ころがしとチェーン除草機、それに手を使って除草作業の続き。
 15時を回って少し雨が落ちてきましたが、何とか予定の面積は終了しました。
 とはいえ、しょせんは素人の作業。果たしてどれだけ成果が上がったか心許ない面はあります。かえって迷惑をかけている面もあるかも知れません。
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 下里分校に戻り、着替えて後片付け。
 150704_13_convert_20150705214345.jpg その合間に、七夕の短冊に願い事。
 細川和紙(ユネスコ有形文化遺産に登録)で有名な小川町では、毎年、賑やかに七夕祭りが開かれます。
 今年は7月25日(土)~26日(日)の予定だそうです。
 ところで、下里分校の脇の畑は貸し農園になっていて、小川町・しもざと有機野菜塾が開催されています。
 小川町では、霜里農場の金子美登(よしのり)さんが全国的にも先駆的に有機農業に取り組み、多くの研修生を受け入れ、小川町のみならず全国各地で就農されています(松永さんもそのお一人です)。
 有機農業とは、法律では化学合成肥料や農薬を使わない農業等と定義されていますが、本来の意味は、人と人、生産者と消費者とを有機的につなげる農業という意味です。
 薬剤を使わないで行う除草がいかに大変か、わずか半日の体験でしたが、その苦労を想像することができました。同時に、改めて食べものの価値、有難みも理解できたように思います。
 US.Peaceファームの皆さん、現地の皆さま、今回もお世話になりました。
 この農業体験会は、今年はあと2回(10月11日(日)の稲刈り、11月28日(土)の麦まき、収穫祭)を予定しているそうです。
 ここ小川町を拠点に、有機農業を仲立ちとした人々のネットワークがさらに広がっていくことが期待されます。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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