F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.073

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.73; 2015.7/16(木)[和暦 水無月朔日]発行

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 和暦では水無月(みなづき)に入りました。

常夏月、蝉の羽月、鳴神月という別名もあります。真夏の太陽と雷を

ともなう激しい夕立が、稲の生育を助けます。

 7月23日(火)は大暑。猛暑が続きます。どうぞご自愛ください。

 

 時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と

十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は水無月朔日

の配信です。

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  F.M.豆知識

 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げて

いきます。

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 ここしばらく、近年、エンゲル係数が上昇に転じている状況について

考察してきました。

 そのなかで、前回は収入規模別に食料費支出をみたところ、収入の低

い階層では、カップめん、調理食品(弁当など)、ハンバーガーに対す

る消費支出の割合が高くなっていることが明らかとなりました。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/30_shotokukaisou2.pdf

 

 これら品目を多く消費することが、ただちに健康上の問題を引き起こ

すわけではないのですが、厚生労働省『国民健康栄養調査』(2010年)

では世帯の所得を3区分して生活習慣等との関連について分析しています。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/31_shotoku_eiyou.pdf

 

 これによると、肥満者の割合は、男性では差がみらないものの女性で

は低所得層の方が高くなっています。また、習慣的な朝食欠席者の割合

は、男性、女性ともに低所得層ほど高くなっています。

 さらに、野菜の摂取量は、低所得層で少なくなっています。

 

 また、図にはありませんが、習慣的に喫煙している者の割合は低所得

層の方が高くなっています。

 

 これらの結果をみると、所得の少ない世帯では食生活の面で相対的に

大きな問題を抱えている恐れがあることが伺えます。

 

[出典等]

 厚生労働省『2010
国民健康・栄養調査』

   http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb.html

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達を紹介させて頂いています。

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 「女性の活力を社会の活力に(JKSK)」という認定NPO法人があります。

 明治時代、日本女性もこれからは教育が必要であるとして、渋沢栄一

や伊藤博文らにより設立された「女子教育奨励会」がその前身です。

 2001年、栄一氏のひ孫である渋沢雅英氏と元労働大臣官房審議官・元

国連大使の木全(きまた)ミツ氏(現JKSK会長)が出会い、21世紀版の

NPOとして誕生し、2010年には認定NPO法人として認定されました。

 

 JKSKでは、21世紀の日本女性の国際化・社会参画の促進及び女性リー

ダーシップ育成のため、ワークライフバランスに関する研究・提言、奨

学生支援など様々な事業に取り組んできましたが、20113月の東日本大

震災の発生を受け、直後の5月に被災地支援のための「結結(ゆいゆい)

プロジェクト」を立ち上げたのです。

 これは、東北の女性リーダー達が持てる能力を存分に発揮し、取り組

もうとしている復興活動を共に考え、協力・応援をしていこうというも

のです。

 

 その具体的な取組の一つが、車座交流会です。

 これは、首都圏在住の復興支援への高い志を持つ女性エキスパート達

が被災地を訪ね、そこで復興に取り組む女性リーダー達との間で意見交

換と対話を行い、具体的な行動開始に向けて検討するという場です。

 

 20117月の第1回(宮城・亘理町)からスタートし、本年7月には福島・

広野町で第8回が開催されました。

 一時、全町避難となった広野町では、現在の町民の帰還は4割程度に留

まる一方、多くの原発作業員の宿舎が建てられています。今回の車座交

流会では、広野町に賑わいや仕事を創出し、女性や子ども達が安心して

楽しく暮らせる地域を取り戻し、さらには双葉8町村の復興を加速させる

ための方策等について意見交換が行われました。

 

 また、2013年からは「ふくしまオーガニックコットン・ボランティア

バス」を運行しています。

 これは、いわゆる風評被害に苦しむ福島でコットンを有機栽培し、製

品化するためのプロジェクトを支援(苗の定植、草取り、収穫等)しつ

つ、地元の方々と交流する機会を持とうというものです。

 

 さらには、仙台での「東北の美しい未来創造塾」の開催、メディアと

連携した継続的な情報発信(東京新聞連載『東北復興日記』等)などに

も取り組んでいます。

 

 JKSK理事長の大和田順子さん(一般社団法人ロハス・ビジネス・アラ

イアンス共同代表、立教大学兼任講師)は、被災地の復興を考えること

は日本全体の復興にもつながるとしつつ、次のように語られています。

 

「人と人、年と農山漁村との交流のベースには信頼関係(ソーシャル・

キャピタル)が存在します。顔の見える人からエネルギーや農産物を購

入すること(「縁需」)が望ましいのです。

 都市部には生産拠点はないので農山漁村とつながらないと生きていけ

ません。地域の力と連携する力を掛け合わせることで、持続可能な地域

社会の実現に向かうことができるのではないでしょうか」

 

[参考]

 認定NPO法人
女性の活力を社会の活力に(JKSK

  http://www.jksk.jp/j/

 JKSK「結結プロジェクト」

  http://www.jksk.jp/j/yyp/index.html

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 新しい食と農のモデル @ 東京・八王子 (07/01)

  http://food-mileage.jp/2015/07/01/

 

 US.Peaceファーム農業体験会(田んぼの草取り)

   @ 埼玉・小川町 (07/05)

  http://food-mileage.jp/2015/07/05/

 

 筆者が説明者として参加予定のイベントです。

 参加を希望される際には必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 第10回 US.Peaceシェフズテーブル

 日時:82日(日)11301500

 場所:銀座「Bouchon d’Or ブジョン・ドール」(中央区銀座5-9-5

 主催:US.Peace

 (詳細、お問合せ等

  http://www.uspeace.jp/user_data/event.php

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 福島ツアー 会津・山都を丸ごと味わう

 日時:718日(土)1130現地集合〜19日(日)1600現地解散

 場所:福島県喜多方市山都町

 主催:CSまちデザイン

 (詳細、お問合せ等

  http://cs-machi.com/?p=2229

 

 第3 地域から考える持続可能な食と農「半農半Xという生き方」

 日時:719日(日)13301630

 場所:クリエイトホール11
視聴覚室(八王子市東町56号)

 講師:塩見直紀氏(半農半X研究所)

 主催:八王子市民のがっこう・学びつなぐひろば

 (詳細、お問合せ等

  http://67653c01aeec5902.lolipop.jp/?page_id=1000

 

 共奏キッチン
55
@自由が丘シェア奥沢

 日時:720日(月)16002100

 場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢2-32-11

 主催:共奏キッチン

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1458775184443262/

 

 脱成長ミーティング 7 公開研究会

   「脱成長と社会保障〜脱成長の下で税収と福祉はどうなるのか」

 日時:82日(日)13:3017:00

 場所:ピープルズ・プラン研究所(有楽町線「江戸川橋」徒歩5分)

 主催:脱成長ミーティング

 (詳細、お問合せ等

  http://umininaru.raindrop.jp/datsuseichou/tuo_cheng_zhangmitingu/ci_hui_kai_cui_jiang_zuo.html

 

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* 今号のコツコツ小咄。

 「浮き草は、1人呑みとおんなじね」

 「えっ」

 「ただ、酔う(漂う)ばかりだもの」

 

* 次号No.74は、730日(木)[水無月十五日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也