図32 米とパン(小麦)に対する支出額と年間供給量


◆ F.M.豆知識
 食や農について(特に私たち消費者にとって)、ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 本稿では、近年、エンゲル係数が上昇に転じている状況について、主として総務省「家計調査」のデータを基に紹介してきました。

 家計調査といえば、2年ほど前、パンの消費が米を上回るという記事が注目されました。
 確かに2人以上の世帯についてみると、米(リンク先の図の橙色の折れ線)に対する支出額が下落傾向で推移する一方、パン(緑色の折れ線)に対する支出額がゆるやかな上昇傾向で推移してきた結果、2010年当たりからグラフはほぼ重なるようなり、2014年においては、米に対する1世帯当たり年間消費支出額が25,108円であるのに対して、パンに対する支出額が29,210円と、完全に逆転しています)。

 それでは、主食の地位が米からパンに移行したのかというと、そういうことでもないようです。
 農林水産省「食料需給表」によると、2013年の1人当たり年間供給量(食べ残し等を含む消費量)は、米が56.9kg、小麦(めん用等も含みます。)が32.7kgと、依然として米の方がかなり多くなっています。

 このように2つの調査が相反するような結果となっているのは、家計調査が金額ベースの調査であること、米を消費する外食や弁当は別の項目として調査していることといった理由があります。

[出典等]
 総務省「家計調査」(2人以上の世帯)
  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001135068
 農林水産省「食料需給表」
  http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html
 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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