シェフズテーブル:銀座で味わった小川町の野菜

 2015年7月は3週連続の福島シリーズ(広野町での車座交流会会津・山都町相馬野馬追)のお陰で、8月1日(土)、自宅近くに借りている市民農園に足を運んでみると、まさにジャングル状態。
 何度も書いていますが、夏の日本の植物生産力の高さには脱帽です。
 福島・いわきから頂いてきた綿(オーガニックコットン・プロジェクト)は、今年も清楚な花をつけてくれていました。
 東京・檜原→奈良産のゴマ(ゼロワンプロジェクト)もピンクの花を咲かせています。
 落花生の黄色い花も。
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 病気に打ち克った加賀太キュウリは、花は咲かせますがなかなか実がつきません。大浦太ゴボウは雑草の間で何とか頑張っています。
 GWに新宿御苑で求めた内藤唐辛子の実は、赤く色づいてきました。トマトは沢山の実をつけています。
 昼前1時間ほどの除草作業で、汗みずくに。
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 今年も咲いたヒマワリ(福島ひまわり里親プロジェクト)に見送られ、翌8月2日(日)は銀座5丁目にある「Bouchon d’Or」(ブション・ドール)へ。
 リヨンの伝統的な家庭料理が頂けるフレンチのお店だそうです。
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 この日11時30分から開催されたのは、US.Peaceファーム主催の「シェフズテーブル」。
150801_4_convert_20150806015727.jpg 埼玉・小川町での農業体験会、新規就農者の販売をサポートする「美味しい野菜届け隊」と並ぶUS.Peaceの活動の柱の一つで、霜里農場(金子美登さん)の野菜を使った一流の料理人による料理を味わうという、贅沢な食事会です。
 ちなみに有機農業のカリスマ・金子さんの野菜は、直接の提携先以外で頂ける機会はほとんどないとのこと。
 テーブルの上には、事務局の方の手作り(可愛い茄子のイラスト付き)のプログラムとプログラムが並べられています。
 参加者は30名ほど。
 小川町の農業体験会で顔見知りの方達は、いつもの長靴スタイルとは見違えるお洒落なファッション。新酒を楽しむ会でご一緒した名古屋のご夫妻は、今回はお嬢さんとともに参加されています。
 まずは、USP研究所の當仲寛哲代表から乾杯の音頭とご挨拶。
 「IT(情報技術)が発展するに連れて、心ある消費者と生産者との間の距離は間違いなく近くなっていく。新しい関係を作り出し、繋がっていくことを大事にしていきたい」等と心強いお言葉。
 さて、シェフズテーブルは単なる食事会ではありません。毎回、小川町から生産者の方をお招きしてお話を聞いています。
150801_13_convert_20150806233812.jpg 金子さんが来られることが多いそうですが、今回のゲストは若き新規就農者(後継者)の横田岳さん。
 横田さんの話に先立ち、私から、食料自給が低下し耕作放棄地が増加している状況の中で、フード・マイレージも紹介しつつ、地産地消や有機農業の意義(提携10カ条)等について説明させて頂きました(説明資料はこちら)。
 続いて横田岳さんの出番です。
 1989年生まれ。ひどいアトピー性皮膚炎だったことをきっかけに、ご両親は有機農業を始められたとのこと(横田農場)。
 ご自身もその思いを引き継ぎ、弟さんとともに2年前に収農されたそうです。今年の4月からUS.Peaceファーム「おいしい野菜届け隊」の野菜もつくっておられます。
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 小川町にある農場の様子、地元の方達のスライドを映写しながらのお話は、臨場感と迫力があります。
150801_7_convert_20150806015832.jpg 「近年、国際的な穀物価格上昇の影響でオカラや米ぬかなどの有機資源が手に入りにくくなってきた。化学肥料の原料はほとんど海外に依存しており、この面からも日本の食料自給率は極めて低い」
 「その一方で、獣害が酷くなっている。これは山の資源を利用しなくなったため。落ち葉も重要な資源で、苗床づくりや土づくりに活用している」
 「一般的なF1種(一代雑種)は肥料の多投が前提。それに対して在来種や固定種はやせた土地でもよくできる。在来種等を守ってこられた地元の方達から種を頂き、自家採種しつつ栽培している」
 そして最後は、「なるべく町外の資源に頼らない循環的な農業を続けていきたい」と締めくくられました。
 そしていよいよ、霜里農場の野菜がふんだんに使われている食事が配られ始めました。
 若いシェフらしく、ユニークで意欲的なメニューです。
 前菜は「サーモンマリネと泡キュウリのテリーヌ」。泡立てられたキュウリ(!)は、しっかりとキュウリの味と香り。
 続いて大皿に「霜里農場の野菜いろいろ盛り合わせ」。彩りも鮮やかです。
 そして今日のスペシャリテは、熱々の「オニオングラタンスープ-霜里農場のタマネギがたっぷり」。
 熱々。白ワインがススム君!
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 「トマトとナスと鱸(スズキ)の重ね焼き」はハーブで香りが付けられています。
 「バターナッツかぼちゃと鶏ムネ肉のパイ包み焼き」。なかなのボリュームです。
 紙袋に入ったままで出されたのは「スモークの香りをまとったキタアカリのフリット」。がしゃがしゃと振ってから頂きました。
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 最後のデザートは「赤シソのグラニテと無農薬ぶどう」。コーヒーとともに頂き、大満足。
150801_9_convert_20150806015915.jpg シェフの藁谷(わらがや)和紀さん(1980年生まれ)からご挨拶。
 普段から長野・八ヶ岳等に出掛けられてご自身で食材を調達されているそうですが、今回の野菜は個性が強く、緊張もされたそうです。
 その個性を引き出した素晴らしい料理ばかりでした。ご馳走様でした。
 主催者のお一人でもあるNPO生活工房「つばさ・游」の高橋優子さんからは、11月8日(日)に開催予定の「小川町オーガニックフェス2015」の紹介がありました。
 15時過ぎに終了。お店を出ると、銀座はまだまだ猛暑の中。
 東京駅・丸の内南口前の商業施設KITTEへ。 
 ここで昨日から2日間、「にっぽん伝統野菜フェスタ」が開催されています。
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 江戸東京野菜のブースでは、江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂代表と、江戸東京野菜コンシェルジュ協会の方たちとお会いすることができました。
 寺島茄子、雑司ヶ谷茄子など、江戸東京野菜の生産も広がりつつあるようです。
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 他にも、全国各地の珍しいナスも。
 江戸東京野菜である「内藤とうがらしプロジェクト」も出展されていました。学習院女子大学の皆さんが栽培や加工に取り組んでおられます(翌日のNHKでも紹介されたそうです)。
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 自宅の畑、小川町の野菜、そして江戸東京野菜など各地の伝統野菜と、野菜三昧の週末でした。
 暴力的な暑さが続いていますが、8日(土)は暦の上では立秋です。皆さま、どうぞご自愛ください。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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