連続講座「再検証-敗戦70年/原発震災から4年」第4回 @ PP研

 2015年10月3日(土)。年度後半の最初の週末は好天に恵まれました。
 東京都下・H市の自宅近くに借りている市民農園へ。
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 福島・いわきから頂いてきた綿の花は、まだまだ咲いています。コットンボールも次々とできています。
 ホームセンターで調達したブロッコリ、白菜、キャベツの苗も順調に育っています。
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 江戸東京野菜の亀戸大根、東京長カブの種も植えました。
 内藤唐辛子はまだ沢山の赤い実をつけています(これ、ホントに辛いです)。
 葉を茂らせている落花生は、土中に茎を伸ばして実をつけ始めました。
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 その日の夕方は、江戸川橋駅近く(東京・文京区)にあるPP研(ピープルズ・プラン研究所)へ。
 この日開催されたのは、連続講座「再検証-敗戦70年/原発震災から4年」の第4回。
 ウェブサイトにある「講座趣旨」には、「沖縄戦と広島・長崎への原爆投下が生みだした敗戦の『廃墟』。それから70年、『復興と成長』の戦後の歩みのゴールに3・11福島原発震災が、もう一つの『廃墟』を生みだした。戦後史70年を震災後4年と重ねて『再検証』してみたい」等とあります。
 これまで新左翼運動、象徴天皇制、「在日」といった硬質のテーマに正面から取り組んできた本講座の4回目は、「戦後の経済成長70年」。参加者は10名ほどです。
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 まず、大河慧さん(大学教授、経済学)から、「戦後の経済成長70年-高度成長期を中心に」と題した問題提起がなされました(以下、文責・中田)。
 「高度成長期(1950年代半ば~70年代初、ただし終期には諸説あり。)は、今日までつながる戦後日本の原型が形成された時期でもある。
 高度成長については、政治的背景(米国の対日戦略の変化、左右両派統一等)と、経済的背景(農村人口の都市への流入、旺盛な設備投資、生産性向上)の両方があった。
 国民は、豊かな生活への願望とともに、結果的に一億総中流化が進んだこと等から経済成長を積極的に支持。このため、経済成長は大事というb意識が日本人に植え付けられた」
  「現在も『成長戦略』がそれなりに支持されているが、資産価格は好況であるものの格差が拡大しつつあるのが現状。
 『豊かさ』へのオールタナティブを提示する必要がある」
 戦後の日本経済史と、そこからつながっている現在の課題を、簡潔かつ骨太に総括して下さいました。
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 続いて、PP研の白川真澄さんから「経済成長とは何であったのか」と題して問題提起。
151003_6_convert_20151005221658.jpg 「戦後の経済成長は、日本社会の『統合の原理およびシステム』となった(労使協調、財政支出等)。その結果、経済成長こそが豊かさを生み、社会問題を解決する万能薬であるという成長神話(幻想)が社会全体を覆うこととなり、これが現在まで続いている」
 「左翼勢力や労働組合は高度経済成長に対して全く有効な批判を行えなかった。しかし、公害と開発に対して地域住民運動が盛んとなり、経済成長には限界があるという考え方も提起されたが、社会を変えるまでには至らなかった」
 「そして、現政権は経済成長の幻想をばらまくことで高い支持率を維持しているが、急激な人口減少社会に入りつつあるなかで経済成長は実現不可能。グラフにあるように、長期的にはゼロか1%成長が精一杯。
 『脱成長』の下で、循環型のローカル経済や、税と社会保障サービスのあり方等が構想される必要がある」
 その後、参加者との間で質疑と意見交換。
 経済成長と国際収支との関係、生産性向上の統計的把握の困難さ、近年は欲しいものがなくなったのが低成長の要因ではないか、等について話し合われました。
151003_7_convert_20151005235643.jpg 大河さんや白川さんに比べると素人のような私からは、僭越ながら次のような発言をさせて頂きました。
 「アベノミクスが目指しているのは実質2%。見かけ上の数字だけみれは、脱成長(0~1%)と大して変わらない。今後、ローカルな循環型経済を目指すこと等が必要なのは2%でも1%でも同じ。その意味で『脱成長』は対抗軸になりえないのではないか」
 これに対しては、1%と2%では実質的には差は大きい、成長を目的として経済運営するという姿勢自体が間違い、日本の社会システムそのものを変えていく必要がある、等の指摘(反論)がありました。
 一方で他の参加者の方からは、「脱成長」に変わるキャッチフレーズ(公平な分配を意識する言葉)を考えるべきでは、といった意見も出されました。
 PP研では、別途、「脱成長ミーティング」の公開研究会も開催されており、私も何度か参加しました。
 「脱成長」という言葉は耳触りも良く、ある意味、ブームになっているような面もあります。私もその考え方や概念自体は大いに評価していますが、一方で、この考えを世の中に広めていくためには、その具体的な内容(想定する成長率の水準等)について、しっかりと整理しつつ、議論を深めていくことが必要と思っています。
 ということで、議論を続けるために近くの中華料理店に移動。
 翌朝は早く出かける用があったのですが、この日も「脱アルコール」は実践できず・・・。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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