F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.079

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.79; 2015.10/13(火)[和暦 長月朔日]発行

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 和暦の長月に入りました。

 長月とは「夜長月」の略。日ごとに夜が長くなり、冴え冴えとした

月が輝きます。秋の味覚が本格化するとともに、日々、肌寒さが増し

てくる季節です。皆さま、どうぞご自愛を。

 

 時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)

と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は長月朔

日の配信です。

 

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  F.M.豆知識

 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げ

ていきます。

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 本欄では、ここ数回にわたり、総務省『家計調査』の都道府県庁所

在地ごとの支出額を基に、食料の消費パターンの地域的な特徴をみて

きました。主食、肉類について、今回は外食を取り上げます。

(主食)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/35_todoufuken.pdf

(肉類)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/36_nikurui.pdf

 

 下のリンク先の図は、2014年における世帯員1人当たりでみた外食へ

の支出額の上位5都市(県庁所在地)を示したものです。

 これによると、一般外食(学校給食を除いた値です。)への支出額

が最も多いのは東京都区部で、続いて名古屋、横浜等となっています。

逆に少ないのは(図にはありませんが)青森、鳥取、那覇で、総じて

大都市部ほど外食への支出が多い傾向があるようです。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/37_gaishoku.pdf

 

 品目別にみると、さらに地域毎の特徴(あるいは、ちょっと意外な

こと)が明らかになってきます。

 例えば、日本そば・うどんの消費額は高松が断トツに多くなってい

ます。さすが、讃岐うどんの本場です。ところが、ちょっと意外なこ

とに、高松はハンバーガーへの支出額も日本一です。うどんという日

本型ファストフードが普及している風土と関係があるのでしょうか。

 

 中華そばの消費額日本一は、山形でした。山形は日本そばのイメー

ジが強いのですが、山形では日本そば屋さんにもラーメンのメニュー

があるそうです。

 

 これもやや意外だったのが、すしの消費額が最も多いのは海無し県・

栃木の宇都宮。ふだん家庭で鮮魚を食べる機会や習慣が比較的少ない

ため、せっかくの外食ならすしを、ということでしょうか(ちなみに

宇都宮の生鮮魚介の購入額は全国33位です)。

 飲酒代は、高知が他を引き離してトップです。これは何となく納得

できるような。

 

 さらに全体を通じて、名古屋の健闘(?)が目立ちます。

 前述のとおり、全体(一般外食)でも東京都区部に次いで2位ですが

和食・中華・洋食ではトップです(特に中華は他を引き離しています)。

喫茶代も断トツで多くなっています。そういえば数年前に自宅近くに

名古屋発祥の喫茶チェーンの店舗がオープンしたのですが、いつも盛

況のようです。

 名古屋には独特の食文化があり、美味しいものがたくさんあること

も、外食支出の多さにも現れているのかもしれません。

 

 なお、このランキングは年によって変動があります。また、あくま

で金額ベースのランキングであり、物価水準は考慮されていないこと

に留意下さい。

 

[出典等]

 総務省「平成26年家計調査」(都市階級・地方・都道府県庁所在市

別1世帯当たり支出金額,購入数量及び平均価格)(2人以上の世帯)

 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001129409

 

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達を紹介させて頂いています。

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 近年、アメリカ等でCSAと呼ばれる取組が拡がっています。

 “Community Supported Agriculture”の頭文字を取ったもので、

「地域支援型農業」「コミュニティで支える農業」等と訳されることが

多いようです。

 これは、消費者が地域の生産者との間で農産物の購入契約を結ぶので

すが、一定期間の(例えば1年間の)代金を一括して前払いする点が特徴

です。農業生産は天候に左右されるために不作等のリスクが常につきま

といますが、そのリスクを消費者と生産者でシェア(危険分担)するの

です。

 

 消費者は、信頼できる生産者から農産物を安定的に供給してもらえる

安心感を得ることができ、一方、生産者は安定的な販路が確保されるこ

とから安心して農業生産に専念することができるというメリットがあり

ます。

 CSAは、単なる農産物(商品)の取引契約に留まるものではなく、消費

者と生産者との間の交流、顔の見える関係作りや信頼関係の醸成のため

の方策とも位置付けられます。

 

 実は、このCSA1970年代の日本で始まった「提携」運動が原点といわ

れています。公害や食品安全への問題意識を背景に生協等と有機農業生

産者の間で取り組まれていたものが、80年代以降、米国に「輸出」され、

急速に発展しました(ヨーロッパでも同様の取組が広がりつつあります)。

これが、近年「逆輸入」され、日本の各地で様々なCSAの取組が盛んと

なっているのです。

 

 これらの中で、わが家が数年前からお世話になっているのが、

US.Peaceファームが主催する「美味しいお野菜届け隊」。有機農業が盛

んな埼玉・小川町の新規就農者を応援しようという企画です。

 現在、201511月から4月までの分(12回または10回)について新規募

集中とのこと(締め切りは1023日(金))。一括前払いのためまとま

った会費が必要ですが、毎月2回程度、中高年3名のわが家では食べきれ

ないほどの野菜が届きます。

 生産者さんの思いのこもった美味しい野菜を頂くことが、小川町で有

機農業に取り組む新規就農者をサポートすることにつながるのです。

 

 なお、US.Peaceファームでは生産者訪問や農作業体験等のイベントも

開催し、「顔の見える関係作り」にも取り組んでいます。

 詳細は以下のリンク先をご覧ください。

 

[参考]

 US.Peaceファーム「おいしいお野菜届け隊新規募集について」

 http://uspeace.jp/user_data/event.php

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 古民家再生ワークショップ @さいはら(第1回) (09/29)

  http://food-mileage.jp/2015/09/29/

 

 「はじめての福島学 in 駒場 3rd @ 番來舎 (10/01)

  http://food-mileage.jp/2015/10/01/

 

 大賀米づくり隊(仮称) 稲刈り @ 新潟・上越
(10/03)

  http://food-mileage.jp/2015/10/03/

 

 連続講座「再検証敗戦70/原発震災から4年」@ PP (10/06)

  http://food-mileage.jp/2015/10/06/

 

 稲刈り&バーベーキュー @ 福島・広野町箒平 (10/10)

  http://food-mileage.jp/2015/10/10/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 蔦谷栄一さんによる森林環境保全研究会&懇親会

 「地域資源活用で中山間イノベーション!」

 日時:1013日(火)19:0021:30

 場所:「3×3 Labo」(千代田区大手町2-6-2

 主催:農業情報総合研究所/森林環境保全研究会

 (詳細、お問合せ等

  http://m-motegi.at.webry.info/201509/article_2.html

 

 九品仏のレストランにて

 「自家農園の有機野菜が主役のレストラン」研究会&懇親会

 日時:1017日(土)15:0017:30

 場所:九品仏(世田谷区奥沢)/ベジモやさいKitchen

 主催:農業ビジネス研究会

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1016927188358031/

 

 西原・古民家再生ワークショップ第2

  家の土台となる基礎を修復しよう

 日時:1018日(日)820JR上野原駅集合〜17:10解散

 場所:山梨・上野原市西原(さいはら)地区

 主催:長田ファミリーと近所のおじさん、NPO法人ECOM

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/npo.ecom/posts/868576963219833:0

 

 A SEED
JAPAN
 25周年アニバーサリーセミナー

  ROOTS TO SEEDS〜社会貢献を仕事にした人たち

 日時:1021日(水)19:0020:45

 場所:A SEED JAPAN(台東区上野5-3-4

 主催:A SEED JAPAN

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1528140667476495/

 

 ぴたらファーム5周年収穫祭!

 日時:1031日(日)11:3016:00

 場所:ぴたらファーム(山梨・北杜市白州町)

 主催:ぴたらファーム

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1621901591395409/

 

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* 今号のコツコツ小咄。

「稲架(はさ)がけのお米が美味しいのは、子どもの感想文が心を打つ

のと同じだね」

「えっ、どういうこと?」

「どちらも、自然な感想(乾燥)だもの」

 

 注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛

 (?)投稿中です。

  https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7

 

* 次号No.801027日(火)[長月十五日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

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