「ユギムラ牧場 だらだらまつり」@東京・八王子

 2015年11月3日(火・祝)。
151103_9_convert_20151105070727.jpg 前日はかなり強い雨だったのですが、文化の日は陽射しのまぶしい秋晴れに。一昨日の日曜以上の好天です。
 京王堀ノ内駅(東京・八王子市)で下車。
 多摩ニュータウンの中心地です。斬新なデザインの駅の周辺には、郊外型の量販店等が林立。
 交通量の多い平山通りを北へ10分ほど歩くと、短いトンネルがあります。
 そのトンネルを抜けると、道路の左側の高台には住宅が立ち並んでいますが、右側には対照的に昔ながらの農村・里山の風景が残されています。
 芝生の公園をの脇を数分歩くと畜舎があります。この辺りは、東京・多摩地方の酪農の発祥の地だそうです。
 さらにその向こうの建物周辺は、多くの人たちで賑わっています。
 ここがユギムラ牧場。新規就農された方達が農業を軸にした持続可能な地域づくりに取り組む(株)FIOの事務所も置かれています。
151103_1_convert_20151105070811.jpg
 この日、11時から開催されたのは「ユギムラ牧場 だらだらまつり~つくる・たべる・まなぶ~」と題するイベント。
 「持続可能な食、農、地域、エネルギー、そして平和について、ワークショップや上映会などを気ままに楽しみつつ、美味しいものを食べながら、交流できるゆる~いお祭り」とのこと。 
 様々な作物が植わっている畑の向こうの高台の上には、びっしりと住宅が並んでいます。畑の脇には太陽光パネルも。
 ちなみにユギムラ牧場の堆肥舎の屋根の上には、(一社)八王子協同エネルギー(はちエネ)の市民発電所第1号機のパネルが設置されいます。
151103_2_convert_20151105011915.jpg
 旧畜舎(現在は改装されてイベント等のスペースになっています。)の脇ではマルシェが開かれ、食べものや飲みものが販売されています。
 ロケットストープづくりのワークショップも開催されていました。
 FIOの直売野菜は、すでにほとんど完売です。
151103_3_convert_20151105011938.jpg
 14時過ぎからはメインイベント「ユギムラ講座」。
 まなび・つなぐ広場(八王子市民のがっこう)の講座の一環として、ユギムラ牧場のオーナー、自称「牧場のおっさん」鈴木亨さんによる講演会です。
 牛舎だった建物は、改装されて快適なイベントスペースになっています。
151103_4_convert_20151105011958.jpg
 最初に、1990年頃のテレビ番組と地域の新年会のビデオ映像が放映されました。
 この地は、当初ニュータウン建設の区域に入っていたのを、地域の方達が行政や公団と話し合い(交渉、運動あるいは闘い)を行った結果、農地として残されたのですが、その中心人物だった亨さんのお父さまの姿が映っていました。
151103_5_convert_20151105012019.jpg
 上映に続いて亨さんのお話。
 ホワイトボード一杯に書かれた地域の地図を示されながら、話されます。
 「秀吉の関東攻めで八王子城が落城した時に、落ち武者が住みついたのがこの地域の始まり。わが家は、この地で酪農を始めて4代目。すぐ西の住宅団地は一段高くなっているが、もともとの計画では削ってこの地域を埋め立て造成する計画だった。父の映像をみてもらったが、当時は自分も地域の取りまとめ等に奔走し、逆線引きやトラスト地域の指定等を勝ち取って現在がある。社会福祉法人も運営しており、畑では野菜作り等をしてもらっている」
151103_6_convert_20151105012038.jpg
 後半は、FIO代表の舩木翔平さんも登場。
 鈴木さんから、「東京都農業会議から八王子で農業をしたい青年がいると紹介されたが、農業は甘いものではなく、1年位は放っておいた。会って話を聞いてみると、農業を軸としたまちづくりをしたいと言うので、これは本気だなと思った。じゃあ、ここを人の集まる場にしてほしいと言って、受け入れた」との紹介。
 舩木さんは、
 「八王子で新規就農したのは、自分が初めてだった。数年後に仲間3人でFIOを設立し、活動が本格化。人のつながりもあり、イベントの集客にはそれほど苦労はしていない。しかし、農産物の販売は現在はイベント中心で、まだまだ課題が多い。美味しさを前面に打ち出した売り方を考えていきたい。無人だった直売所を改築し、誰かか常駐するようにしたいと考えている」
 「基本的には、歩いて来られる範囲の地域の方達を中心とした交流の場としていきたい。朝から夜まで、過ごせる場にしていければと思っている」との話がありました。
151103_7_convert_20151105012100.jpg
 話が終わるころには、強い西日が旧畜舎の中に射しこんできました。
 会場では、引き続きDVDのミニ上映会。
 マルシェで、放牧豚のアイスバインのスープとバケット。熱くて優しい味でした。
151103_8_convert_20151105012121.jpg
 農地の一部は、農業体験農園として地域の方達に開放されています。この日も、何人かの方が作業をされていました。
 平山道路わきのヤギ舎は、クラウドファンディングで設置したものとのこと。交通量の多い道路に面し、格好の「看板」になっているようです。
 様々な歴史を経て奇跡のように残された農地と里山では、若く新しい力も加わって、農業を軸とした新しい地域社会づくりが進められています。
 なお、11月29日(日)には、多摩ニュータウン学会の行事(タウンウォッチング)として、ユギムラ牧場等をめぐる企画が予定されているそうです。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキング参加中)

人気ブログランキングへ