「食べて応援」のその先を考える収穫祭~結イレブン vol.23

 ここのところ年のせいか、時々目まいを覚えることがあります。
 2015年11月11日(水) は、東日本大震災からちょうど4年と8ヶ月目。
 (特に首都圏等の)人々にとって震災はすでに過去のこととなりつつあるようですが、このような風潮に抵抗するように毎月11日、継続的に開かれている取組(イベント)があります。
 その名は「結イレブン」。
 会場は、多くは新宿・富久町の「小料理・結」です。
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 19時前に到着すると、さほど広くない店内には10数名が集い、ほぼ満席状態です。
 中にはイベントと知らずに来店された近所の方もいらっしゃいます。
 壁際には、福島産の野菜や加工食品。後に即売もされました。
 野菜の多くは、先日訪問したばかりのきぼうのたねカンパニー(福島・二本松市東和)のもの。代表の菅野瑞穂さんのイラスト入りの手紙(「キャベツは青虫がいるかも~」等)も掲示されていました。
 会津・金山町産の赤カボチャも。只見線・奥会津歳時記のカレンダーもあります。
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 普段は飲食に先立ち、復興に携わっておられる方からの「お話」や意見交換、あるいは映画鑑賞等が行われるのですが、今回はコーディネータの鈴木亮さん(東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)福島担当)が現地での業務のため不在だったこともあってか、被災地(特に福島)の産品を食べて呑んで応援しよう、という企画「『食べて応援』のその先を考える収穫祭~結イレブン vol.23」として開催されました。
 小料理・結のオーナーである根本二郎さん(前新宿区議)が手ずから日本酒を注いで下さり、 まずは乾杯。
 この日本酒は仁井田本家(福島・郡山市)の日本酒の金寳自然酒。農薬や化学肥料を使わず栽培した「自然米」を100%使用した純米酒とのこと。
 すっきりとしており、同時にコクもある呑みロ(ヤバいパターンです)。
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 江戸料理研究家でもあるマチ子さんが、福島産の野菜等を使ったふんだんに使った料理を出して下さいます。
 味はもちろん、見た目にも美味しい料理の数々です。
 最初に出して頂いたのが東京・八丈島産のアシタバ料理。
 このお店は東京の食材も応援しています(根本さんは、江戸東京東京伝統である内藤唐辛子の普及にも取り組んでおられます)。
 これまであまり食べたことがありませんでしたが、和えものと天ぶら、春巻きにして出して下さいました。独特の食感と香りです。
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 続いてタラの白子の天ぷら。赤かぼちゃの煮物など野菜料理の数々。
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 きぼうのたねカンパニーのトマトは、今年最後だそうです。烏賊焼き。
 最後の〆に浪江焼きそばを出して下さった時には、時計は22時を回っていました。
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 店を出て、いつものように徒歩で西武新宿駅に向かいました。
 いつも変わらない喧嘆。行き交う人達には笑顔が溢れています。平穏で、やや猥雑ないつもの夜の新宿の光景です。
 
 その中に身を置きながら、やはり目まいを覚えました。
 先日訪ねた福島・川俣町山木屋地区(避難指示区域)の光景が、目の奥に甦ってきたのです。除染廃棄物を詰めたフレコンバッグの山、表土を剥がされた水田、そして人の姿のない町・・・。目の前の新宿の光景との、あまりに大きなギャップ。
 被災地の復興はまだまだ途上どころか、少なくとも原発事故に関しては今も10万人以上が避難生活を強いられているなど、被災は継続しているのが現実です。
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 この日の「結イレブン」の開催趣旨には、「実りの秋がやってきて、農家さんは大忙し。大都市に暮らす私たちの食卓も電気も地方が生産しています。改めて感謝と敬意をもって考える『収穫祭』を開きます」とありました。
 ゛「感謝と敬意」をもって、このイベントを継続的に主催される方達がいて、その趣旨に賛同して、この日も多くの(10数名ですが)方達が集まってこられました。
151111_8_convert_20151116005031.jpg 大都会・東京の真ん中で続けらているこの「結イレブン」に参加させて頂くことで、辛うじて私の精神のバランスは保たれているのかも知れません。
 帰宅しても目まいは治まりませんでした。
 もっともこれは、口当たりの良い日本酒を頂き過ぎたせいでもあるようです。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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