図41 米の販売価格と消費量の推移


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
—————————————————————-
 本欄では、ここ数回にわたって米の価格と水田農業について取り上げてきました。
 先般、公表された2015年産米の相対取引価格(2015年10月)は全国・全銘柄平均で13,116円/60kg。前月からほぼ横ばい(99.5%)、前年同月に比べると7.4%高くなっていますが、2013年産以前の水準までには回復しておらず、No.80で紹介した状況が続いています。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/38_aitai.pdf

 今回は、この米価の水準をもう少し長期的にみてみます。
 添付の図41の下の方の青い線が、米の販売価格(コメ価格センター入札価格、相対取引価格)です。

 米の価格は、かつて政府が管理していた時代とは異なり、基本的には需要と供給のバランスにより決定されます。
 供給量は、他の多くの農差物と同様、天候に左右されます(ここが工業製品と決定的に異なる点です)。このため、作柄が不良であった1993年(作況指数73)、2003年(同90)には、米価は大きく上昇しています。
 しかし、これらの不作の年を除けば、米の販売価格はほぼ一貫して低下傾向で推移しているのです。

 それでは需要面はどうでしょうか。
 上のグラフが1人当たり1年間の消費量(正確には供給量)です。これは一貫して減少傾向にあります。ちなみに最も消費量が多かったのは1962年の118kgですから、この半世紀の間で米の1人当たり消費量は、実に半分以下に減少しているのです。
 これは、畜産物や油脂の消費拡大といった個々人の食生活パターンの変化に加え、近年は少子・高齢化も影響しているとみられます。

 図41からは、この消費量の減少に連れるようにして米の販売価格が低下している様子が見て取れるのです。

 この少子・高齢化は、今後さらに進行していくことが予測されます。とすれば、米の消費量は今後も減少を続け、米の販売価格も低下傾向が免れないのでしょうか。
 どこかに解決策、あるいは展望はないのでしょうか(次回に続きます)。

[出典、参考資料等]
 農林水産省「米をめぐる状況について」
 http://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/pdf/1118_1meguji.pdf
 
 農林水産省「米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等」
 http://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/aitaikakaku.html

 農林水産省「食料需給表」
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

—————————————————————-