「神保・宮台の恒例年末マル激ライブ2015」

 2015年12月19日(土)は冬晴れの一日。
 青空ですが冷たい風が吹きくなか、新宿・歌舞伎町のトークライブハウス「LOFT/PLUS ONE」へ。
151219_8_convert_20151222014433.jpg
 この日13時から開催されたのは、「神保・宮台の恒例年末マル激ライブ2015」。ビデオニュース・ドットコム(ニュース専門のインターネット放送局)の収録を兼ねています。
 12時半に着くとすでに人の列。整理券の番号順に地下の会場に導かれ、ちょっと堅くて座りにくいものの、端っこの広い席を確保、飲み物 (昼間からテキーラ・トニック)も確保。 満席です。
151219_10_convert_20151222014551.jpg
 13時を少々回ったところで、ビデオジャーナリストの神保哲生さんと社会学者の宮台真司さんが登場。
 よくラジオ等では話を伺っているお二人ですが、直接お話を聞くのは神保さんは2回目、宮台さんは初めてです。
  (以下、理解不十分な点も多々あるかと思いますが、特に印象に残った箇所を備忘的に記します(文責中田))。
 トークはなぜか、低糖質ダイエットの話題からスタート。
151219_11_convert_20151222014621.jpg 宮台さん「炭水化物を控えて11kg減量したが免疫力が低下したので、やめた。するとリバウンド して13kg増えてしまった(笑)」
 神保さん「脂肪を体内に保存する能力が低い(太らない)人は、進化の過程で滅びたからね(笑)」
 宮台さん「人類が定住し言語が生まれたのは8000~5000年前。その頃から食べ物をストックすることを覚えた。地球全体の歴史からみたら一瞬のこと。まして、国民国家などたかだか200年。持続可能なシステムかどうか歴史的に証明 されていない」
 徐々に本題に入っていきます。
 神保さん 「現代社会にある多くの問題の原因や処方箋は、ある程度分かっている。にもかかわらず、なぜ解決できないのか。処方箋の実行を妨げているものは何か。安保法制にしても、あんなに盛り上がったのに、なぜ投票行動に結びつかないのか」
 宮台さん「問題解決を妨げているものは、対米従属等の国内の利権構造。アメリカの陰謀説は当たらない。
 社会はどうあるべきかといった著作や分析はある。しかし問題は、どうやってそこに行 くか。この「経路問題」が解決できなければ、いくら議論しても週末の熱いシャワー程度の気休めでしかない。
 「民主主義のシステムでは問題は解決できない。そこでカール・シュミットは独裁への委任を論じナチスの台頭を招いた。
 トクヴィルは、アメリカでは完全な民主主義が行われていたと分析したが、これにはピューリタンという宗教的な背景(超越への帰依)があった。戦後日本でも、アメリカは国体 (天皇制) を護持することで民主化に成功した」
151219_13_convert_20151222014702.jpg
 宮台さんと「決定を暴走させるものは、匿名性と、インターネットのように見たくないものは見なくて済むようなアーキテクチャ。
 科学的な知識に基づく民主的な決定(科学の民主化)のためには、中間層(ミドルマンがファシリテータとなって橋渡し、場回しすることが重要。コンセンサス会議など実証的な成功事例は数多くあるのだが」
 神保さん「震災後、総合資源エネルギー調査会に反原発派もたくさん入れたが、結局かみ合った議論にはならなかった。これが日本の熟議の実力と言うことか。メディアも重要なミドルマ ンのはずが、今回の軽減税率の議論(宅配の新聞を対象に)で遂に死んでしまった」
 宮台さん 「人口が少なければ顔が見える。顔の見える範囲で合意することができる。顔の見える小さなコミュニティが重要。 深い人間関係を作り維持していく能力も必要。自分がひとかどの人間になれば、相手の反応に一喜一憂することもなくなる」
短期的な利害損得を超えた
 15時40分を回る頃に録画は終了。その後はオフレコ(?)での会場との質疑応答に。
 ある男性は「コミュニティが重要性というが、明日ベルガー症候群の方など人と付き合うのが苦手な人はどうすればいいのか」との質問。
 これに対して宮台さんからは
 「引きこもりの人が増えているというが、そうではなく、社会的包摂性が狭くなっている。色んな人を包摂していくソーシャルキャピ タルとしてのコミュニティ役割が重要。財政の再配分余力はどんどん無くなっていくなか、行政的な支援だけではなく、多様な人を包摂していけるようなコミュニティづくりをサポートしていくことが必要」
 戦後の日本とドイツに対する隣国からの評価の違い、天皇制等についても質疑応答がなされました。
151219_12_convert_20151222014642.jpg そのなかで、宮台さんは以下のように発言。
 「神保さんと自分の共通点は、理不尽なことに黙っていられないこと。しかし声を上げるには、その主張が社会的に正当であると自ら確信できるまで勉強することが必要。
 人に伝えるためには自分の言葉を作っていくことが重要。学生には、本を読んだらその内容を10秒、30秒、1分、3分で要約する訓練をさせている」
 そして締めに近い発言。
 神保さん「ジャーナリストとしてナイーブかもしれないが、きちんとした情報が正確に伝わっていけば世の中は変わるものと信じている。沖縄のことにしても、単純な事実関係を知るだけで個々人の考えは大きく違ってくる。情報を欲しいと思った人に行き渡るような仕事を続けていきたい」
 宮台さん「長期的な損得勘定で考える必要がある。長期的とは、自らの人生のスパンを超えるということ。これがすなわち利他心。社会が持続的であるためには利他心が必要。アダム・スミスの『市場の見えざる手』の前提にもシンパシー(同情)がある。まずは、回りの身近な人が幸せになれるように頑張っていきたい」
 終了したのは16時30分頃。
 階段を上って外に出ると、すでに陽は暮れかかり冷たい風が吹いていましたが、内心は火照りを感じていました。
 この日の議論の内容を十分に理解できたとはとても言えませんが、神保さん、宮台さんがどのような思いで活動されているかを知ることができたためです。
151219_14_convert_20151223095607.jpg
 この日の対談は、神保哲生氏が代表をされているビデオニュース・ドットコムで視聴することができるようになるようです他にも無料放送も含め、豊富なコンテンツがあります。
 うーん、勉強せねば。とりあえず会員登録(500円/月)することにしました。
 これ以上、パソコンの前にいる時間が増えることに懸念を覚えつつ・・・。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキング参加中)

人気ブログランキングへ