F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.085

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.85; 2016.1/10(日)[和暦 師走朔日]発行

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 カレンダーは2016年に入りました。本年もよろしくお願いします。

 和暦では今日から師走。四時(春夏秋冬)が果てる「しはつる」月が

語源とされます。それにしても小寒(6日)、大寒(21日)という時候

にしては、暖かい(暖かすぎる)日々が続きます。

 時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と

十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は師走朔日の

配信。

 恒例により2015年を振り返る特別号です。

 

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  F.M.豆知識

  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

 あるいは考えるヒントになるような話題について、毎回、1つの図表と

 ともにこつこつと紹介するコーナーです。

  詳細は「FM豆知識のページ」(ウェブサイト「フード・マイレージ

 資料室」)をご覧ください。

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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 2015年は趣向を変えてクイズから始まりました。

 以下の共通点は?・・・ご飯一膳、カップ麺4分の1個、ガム3枚、缶ビ

ール8分の1本、居酒屋さんで2分だけバイト等。答えは約30円(No.61;

1/20付け)。

No.62; 2/3付けでは薄れつつある「行事食」の習慣を取り上げました。

 No.63; 2/19付けでは、米を購入するために必要となる年間労働時間が

1980年頃に比べて約4分の1へと減少していることを紹介しました。

 

 エンゲル係数(消費支出額全体に占める飲食費支出の割合)にも注目

しました。

 近年一貫して低下し続けてきたエンゲル係数は2005年を底に上昇傾向

に転じ(No.64; 3/5付け)、しかも過去とは異なり消費支出額が減少す

る中でエンゲル係数が上昇しているのです(No.65; 3/20付け)。

 この背景には最近の食料品価格の上昇があること(No.66; 4/3付け)、

なかでも自給率が低い品目ほど価格が大きく上昇していること(No.67;

4/19付け)を説明しました。

 さらに、調理食品や外食への支出増がエンゲル係数を押し上げている

可能性を指摘するとともに(No.68; 5/3付け)、これら食生活の洋風化・

外部化が高齢世帯でより大きく進んでいること(No.69; 5/18)、特に高

齢単身者層では調理パン等に対する支出が増加していることを紹介しま

した(No.70; 6/1付け)。

 そしてNo.71; 6/16付けでは、収入規模別にみると現代日本でも明らか

な「エンゲルの法則」が認められること、収入の低い階層ではカップめ

ん、弁当、ハンバーガー等に対する支出割合が高く(No.72; 6/30付け)、

関連して低所得世帯では肥満者の割合が高い一方で野菜摂取量が少ない

など問題が大きいことを紹介しました(No.73; 7/16付け)。

 

 No.74; 7/30付けでは「主食の主役が米からパンに交代した」との最近

の報道について、家計における支出額は逆転したものの消費額自体は依

然として米の方がが多いことを指摘したのをきっかけに、しばらく「主

食」の話題が続きました。

 カップめんなど主食の簡便化は都市部よりもむしろ農村部で進んでい

ること(No.75; 8/14付け)、主食の消費パターンは地域によって大きな

差(特色)があること(No.76; 8/28付け)、さらに都道府県庁所在地ご

とにみると米の消費額が最も多いのは静岡市であること(No.77; 9/13

け)を紹介しました。

 肉類の消費パターンにも依然として地域差が大きいこと(No.78; 9/27

付け)、名古屋市では外食が盛んであること(No.79; 10/13付け)も紹

介しました。

 

 その後は、ある全国紙の社説(「米価の高止まりが稲作の構造改革を

妨げる」)に対し、ある尊敬する東北地方の農家の方が「何ともやりき

れない」との思いをフェイスブックに投稿されていたことに触発され、

数回にわたり米価と稲作について取り上げました。

 まず、No.80; 10/27付けでは、2015年産米は前年産米より上昇してい

るものの13年産米以前の水準までは回復していない事実を取り上げたの

に続き、現在の米価では規模拡大を進めコスト削減に努めても多くはコ

スト割れとなっている現状(No.81; 11/12付け)、米生産は兼業農家に

よって相当部分が担われている状況(No.82; 11/26付け)、米価が長期

的に下落傾向にある要因は基本的には米の消費量の減少にあることを紹

介しました(No.83; 12/11付け)。

 そのようななか、No.84; 12/25付けでは「ぺティ=クラークの法則」

(経済社会の発展に伴い農林水産業の地位は低下)を紹介するとともに

「生/消割合」という指標(農家1戸当たりの消費世帯数)を提示し、

CSACommunity Supported
Agriculture
、地域支援型農業)の可能性が

より高まっている可能性を示唆しました。

 

 私たちの食生活や日本の農業が抱えている様々な課題について、自分

なりに考えてきたつもりですが、将来展望を描くことは簡単ではありま

せん。

 2016年もヒントとなるようなデータを紹介しつつ、皆さまとともに考

えていきたいと思います。

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達、トピックス等を紹介するコーナーです。

  2015年は以下の方たち等を紹介させて頂きました。詳しくはバック

 ナンバーをご覧ください。

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 昨年も福島に関係する方達を多く取り上げされて頂きました。

 2015年の第1号で紹介させて頂いたのは、二本松市東和で都市農村交流

等に取り組む後継者・菅野瑞穂さんです(No.611/20付け)。

 喜多方市山都に移住・新規就農された浅見彰宏さん(No.63; 2/19付け)

と、浅見さんも関わっておられる「本木・早稲谷
堰と里山を守る会」

No.74; 7/30付け)、さらにCSAとの関わりで「上堰米のお酒」

No.84; 12/25付け)も紹介させて頂きました。

 

 なお、アメリカ等で拡がっているCSA(地域支援型農業)自体はNo.79;

10/13付けで取り上げています。

 

 原発作業員の方々への支援活動を続けておられる吉川彰浩さん

No.65; 3/20付け)、体を張って被災地のシングルマザー達を支援され

続けている寝占理絵さん(No.64; 3/5付け)、大震災支援全国ネットワ

ーク(JCN)の福島担当・鈴木亮さん(No.80; 10/27付け)も紹介させて

頂きました。

 ふくしまオーガニックコットン・プロジェクト等を支援している「女

性の活力を社会の活力に(JKSK)」理事長の大和田順子さんを紹介させて

頂いたのはNo.73; 7/16付けです。

 

 また、No.75; 8/14付けでは初めて観覧させてもらった相馬野馬追を紹

介しました。現在も開催場所の一部は避難指示区域内にあります。

 

 江戸東京野菜の関連では、品川の商店街づくりに取り組むマルダイ大

塚好雄商店さん(No.622/3付け)、小金井版ブラタモリ(?)「小金

江戸の農家みちの会」(No.69; 5/18付け)、東京産食材に徹底的に

こだわる押上よしかつ・佐藤勝彦さん(No.71; 6/16付け)、多摩・八王

子江戸東京野菜研究会の福島秀史さん達を紹介させて頂きました(No.83;

12/11付け)。

 また、八王子の石川敏之さんは「市民のがっこう・まなびつなぐ広場」

のコーディネータを務めておられ(No.72; 6/30付け)、ユギムラ牧場

の鈴木亨さんと舩木翔平さんは、世代を超えて新しい都市農業のスタイ

ルを追求されています(No.77; 9/13付け)。

 

 埼玉・小川町で地域内循環農業に取り組んでいる若き後継者・横田岳

さん(No.78; 9/27付け)、山梨・上野原西原等を舞台に都市農村交流事

業に取り組んでこられた後、和歌山に移住された塩島由依子さんも紹介

させて頂きました(No.67; 4/19付け)。 

 

 東京都港区と慶應義塾大学が運営する街づくりの実験室「ご近所ラボ

新橋」(No.68; 5/3付け)と、その部活の一つである「たべるはたけ部」

No.76; 8/28付け)、さらに市民による街づくり等を支援しているソー

シャル・ジャスティス基金(SJF)(No.81; 11/12付け)も紹介させて頂

きました。

 

 また、No.70; 6/1付けでは日本フードシステム学会を紹介しました。

さらに、新たな「食料・農業・農村計画」の閣議決定(No.66; 4/3付け)、

新しく定められた「和食の日(1124日)」(No.82; 11/26付け)と

いったトピックスも取り上げています。

 

 協力・登場下さった皆さま、有難うございました。

 2016年も、様々な方達を紹介させて頂ければと考えていますので、よ

ろしくお願いします。

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 今年最後の「共奏キッチン」は区切りの60回目 (12/26)

  http://food-mileage.jp/2015/12/26/

 

 市民研クリスマス会2015 (12/27)

  http://food-mileage.jp/2015/12/27/

 

 2016年がスタートしました。 (01/03)

  http://food-mileage.jp/2016/01/03/

 

 2016対話始めの会 @ご近所ラボ新橋
(01/07)

  http://food-mileage.jp/2016/01/07/

 

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 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

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 第28回全快野菜ちゃん(野菜等直売マルシェ)

 日時:116日(土)9:3015:00(売り切れ終了)

 場所:品川寺(ほんせんじ、京急・青物横丁駅近く)

 主催:グリーンスマイル

 (お問合せ等

  https://www.facebook.com/greensmileconnect/

  

 〜新春恒例〜お餅つき大会

 日時:116日(土)12:00開店、餅つき・振る舞い(13:0014:00)、

     震災から5年、福島を語るお話会(菅野正寿さん、15:00〜)

 場所:ふくしまオルガン堂
下北沢(世田谷区代沢4-44-2

 主催:ふくしまオルガン堂

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/981301698595074/

 

 奥沢ブッククラブ(第4回)

 日時:121日(木)180021:00

 場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢2-32-11

 主催:奥沢ブッククラブ

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/207410979603832/

 

 日本の田んぼを守る酒蔵「仁井田本家」を訪ねる旅

 日時:130日(土)9:30福島・郡山駅集合

 場所:仁井田本家(福島・郡山市田村町)

 主催:CSまちデザイン

 (詳細、お問合せ等

  http://cs-machi.com/?p=2446

 

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* 最後までお目通し頂き有難うございました。2016年もどうぞよろし

 くお願いします。ご意見、ご要望等もお寄せください。

 

* 2016年コツコツ抱負。

 「今年は、ヒットを打たれても四球を出しても、ねばり強く最少失点

 に抑えられるようなピッチングを心がけたいと思います」

 「年頭(粘投)の誓いだね」

 

 注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛(?)

  投稿中です。

  https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7

 

* 次号No.86は、124日(日)[師走十五日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

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