福島との縁を紡ぐ-ふくしまオルガン堂の閉店など

先日、さとゆめラボショップ(東京・平河町)で求めたオーガニックコットンの手紡ぎセット。
パッケージデザインも素敵ですが、開けてみると、組み立て式のスピンドルと、ひと塊りの茶綿(日本の在来種)。
それに、詳 しいパンフレットが添えられていました。
この商品が作られた経緯や企画・販売に関わった方たちの思いが丁寧に綴られています。
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綿の紡ぎ方の解説も、写真入りで分かりやすく掲載されています。
企画段階からワークショップに参加させて頂いた身として、改めて、感懐深いものを感 じました。
ふくしまオーガニックコットン・震災から5年メモリアル販売会」は、今月31日 (木)まで間、平日の11:00~18:30(14:00~15:00一時閉店)に開催中です。
(なお、さとゆめLAB SHOPは、事業拡張により4月中旬から「プランタン銀座」食品フロア内に移転することとなったそうです。)
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2016年3月19日(土)は朝から雨が落ちていましたが、11時過ぎに出かける頃には上がりました。
久しぶりに東京・世田谷区の下北沢へ。
多くの人で賑わう南口商店街を抜け、さらに住宅街を進んでいくと満開のハクモクレン。道路に散った大ぶりの花弁が、例年より早い春の到来を告げています。
小さなせせらぎも春の気配。
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橋を渡った先のバス通りに面して、ふくしまオルガン堂があります。
大きな「んでも元気です ふくしま」の看板に、野菜等の陳列棚。
2013年3月にオープンしてから3年間、何度か訪ねる度に見慣れた光景ですが、窓に貼り出されているポスターがこれまでと違っています。
そこには、「長い間、ご愛顧いただきありがとうございました」の文字。
ふくしまオルガン堂は、翌20日(日)で閉店することになったのです。
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店内に入ると、壁には生産者の方達の写真。 加工品等も販売されています。
運営主体であるNPO法人福島県有機農業ネットワークの浅見彰宏さん(喜多方市)と馬場浩さん(南会津町)の姿もありました。
ここのところ新聞やテレビで何度も取り上げられたこともあり、たぶん混雑して食事はできないものと覚悟してきたのですが、朝から雨模様で14時近くと時間も遅めだったせいか、少し待っただけでテーブルに案内して下さいました。
テーブルには「お世話になりました」とのメッセージカードが添えられた花束。
みると、福島・二本松東和のきぼうのたねカンパニー・菅野瑞穂さんの名前が記されています。
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私にとっては、最後の「ふくしま定食」。
3年間、毎日、手で書き替えられてきたメニュー表です。
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大根ステーキ(いしかわ牛、ちんげん菜花添え)、ごぼうと黒神豆(南会津・馬場さん)のサラダ、春菊のお浸し、なめこと高菜の味噌汁、慶徳さんのお漬物(にしんの山椒漬け)。
それに白米(玄米は売り切れでした。残念)。
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最後なのでデザートもしっかり頂くことに。
ふんわりチーズケーキ(自家製いちごソース)とあんぽ柿のミルクムース。
飲みものは、あぐりコーヒーに福恋(ルピシアフレーバードティー)。お茶は二本松・東和の桑の葉茶です。
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調理を担当されていた若い女性スタッフの方は、縁があって福島・三春町に嫁がれることになったそうです。以前にも結婚して福島に移住されたスタッフの方がおられました。
このオルガン堂は食事の提供、直売、イベント開催等に加え、さらに幅広く、福島と東京を結んでいたのです。
浅見さんから、「わたしもできる!ふくしま食と農のサポーター広場」と題した冊子を頂きました。風評を乗り越える提案書として、東京や福島における様々な交流活動等の実績が詳しく紹介されています。
あれ、自分も写っている懐かしい写真も。
皆さま、3年間お疲れさま。そして、ご馳走さまでした。
オルガン堂という店舗は無くなりますが、皆さまの思いは(私たちの思いも)、未来につながっていくことと確信します。
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帰途、南新宿にあるカタログハウスのお店に立ち寄りました。
ここのB1階は、福島応援ショップ「本日!福島」になっています。
福島の農産物、加工食品、地酒、工芸品等を買い続けることで応援しようと、2014年1月に開設されました。
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入ってすぐのスペースは「福島の“いま”を伝えるギャラリー」。
この日は、「写真展 福島取材の現場から-OurPlanet-TV扁」として、インターネットメディア「OurPlanet-TV」の5年間の取材記録のパネルが展示されていました。
正面の壁には、自死された酷農家の方が牛舎に残した「遺書」 のレプリカが、開店時と変わらず展示されています。
店内には放射能測定器も置かれ、野菜等の測定結果がモニタに表示されています。
お店の方に聞くと、基準値(国の基準より低いレベル)超える商品は最近は全くないとのこと。
福島県等が東京・日本橋に開設・運営している豪華な(?)アンテナショップに比べれば売り場面積は狭いものの、品揃えも良質で、なによりスタッフの方達が親切で質問すれば何でも丁寧に答えて下さいます(日本橋のお店ではつっけんどんな対応をされた経験があります。閉店近くで、偶然、良くない人に声をかけてしまったのかも知れませんが)。
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仁井田本家(福島・郡山)の「穏(おだやか)-純米吟醸」等を購入して帰宅。
荷物を置いて、自宅近くに一画を借りている市民農園へ。
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ようやく残っていた大根を片付けました。
大きさも形も様々なものが混在(根菜だけに)。 収穫が遅れて腐らせてしまったものも多数。勾体ない。
仙台雪菜などは花を咲かせ始めています。
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暮れなずむ中天には11日目の月。
「如月の望月の頃」が近付いてきました。メルマガ原稿に取りかからないと。
5年目の311という「節目」を過ぎても、当たり前ですが、時間は確実に流れていきます。