GWも終わった5月第2週。11日(水)の終業後は東京・銀座へ。
銀座熊本館は、この日も多くの人で賑わっています。品揃えもだいぶ回復してきたようで、前回来たときにはなかった日奈久竹輪をゲットすることができました。
すっかり断層帯の名称として有名になった日奈久ですが、海にも近い古くからの温泉町です(なつかしい・・・)。
銀座3丁目の「銀座会議室」へ。
ここで19時から開催されたのは、地域農業研究会&銀座農業政策塾 第5期プレ講座「農的社会をひらく」。
銀座農業政策塾は、NPO銀座農業環境イニシアティブとNPO農業情報総合研究所が共同主催し、いわゆる農業の専門家ではないビジネスパーソンや会社経営者等に実践的な知識を与えること等を目的に、2010年から4期にわたり開催されてきました。
そして本年6月から第5期が開催されるのに先立ち、塾の世話人である蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所代表、(株)農林中金総合研究所客員研究員)を講師にプレ講座が開催されたのです。
なお、今回は蔦谷先生の2年ぶりの新著『農的社会をひらく』(2016.4、創森社)の出版記念を兼ねています(先日の「森の読書会」で紹介させて頂きました)。
19時過ぎ、植村春香さん(NPO農業情報総合研究所理事長)の司会により開会、高安和夫さん(銀座農業政策塾塾長、銀座ミツバチプロジェクト理事長)からの挨拶。
「都心で農業をできたら面白いのではという発想から銀座でミツバチを飼い始めて11年目。農業とは地域に根差したもの。農村も都会も同じ。農の持つ無限の価値について、一緒に勉強していきたい」
15名ほどの参加者からの自己紹介に続き、蔦谷先生の話が始まりました(文責・中田)。
「今回はプレ講座ということで、私の想いについて語りたい。
今回の本が12冊目。一昨年1月刊行の『地域からの農業再興』(創森社)で、農業についてはほとんど整理がついたと考えている。その柱はコミュニティ農業と、地域に根差した農業」
「自分は昭和23年の生まれで大学在学中は学生運動の時代。42年間のサラリーマン時代を経て組織を離れた現在、農業を通じて社会と関わっていきたい、もっと汗を流し現場に近づきたいと考えている」
「現代は生命の危機・生の不安にさいなまれている。『豊かさ』より『幸せ』の方が重要では。資本主義から離れられない現実があるのであれば、そのバランスを取っていくことが必要。
キーワードは『協同』『ソーシャル』。長野・伊那には社員の幸福が最大の社会貢献とする会社もある」
「社会の本質は不合理、人間の意のままにはならない。それが『命』の本質だと教えてくれるのが『農』。
今回の本で語録を紹介しているH氏には多くを教えられた。山梨の中山間地での田舎体験でお世話になっている方。『人間は人間の分際を知れ、自然に生きれば豊かなのに自分で自分の首を絞めているのが現代の人間』等と、いつも頭をぶったたかれる思いがする」
「演出家の木村快さん(東京小金井・現代座)は、協同をテーマとした多くの劇を演出し社会を動かしつておられる。
このような縁を頂いて今回の本をまとめることができた。皆さんも、人との縁を大事にしてほしい」
そして「農の持つ社会デザイン能力を活用して、“静かなるレボリューションを進めていきたい”」とし、実際に山梨、長野、西東京等での取組について説明があり、最後には、今、関心を持っておられるのは協同労働、地域自給圏等とのことです。
質疑応答では、長野・伊那での日本ミツバチの取組、子ども達をどう取り込んでいくか、中山間地の人口減にどう対処していくか、等の質問。
「静かなるレボリューション」の定義について問われた蔦谷先生は、「戦争をしないということ」と明確に答えておられました。さらには、全国や地域の平均値では議論はできない、とも。
茂木正光さん(戦略経営研究会)からは「気仙沼仕事創出プロジェクト」についての紹介もありました。
熱心な議論は、21時過ぎからの第2部(懇親会)でも、熱く、続けられました。
ちなみに蔦谷先生は、農林中金の熊本支店長を務められた経歴があります。熊本を応援する食事会をやりましょうと、盛り上がった次第。
さて、銀座農業政策塾(第5期)は、6月8日(水)から11月9日(水)まで全6回の予定。
食へのこだわりのある方、農業、農村のサポートを考える方、市民農園、家庭菜園に興味のある方、新規就農を考える方を対象に、 農業政策の変遷、農地法、農協、有機栽培、担い手、農業のICT導入等の実践的な知識を蔦谷先生からレクチャー頂き、 塾生一人ひとりがコミュニティ農業、農的社会の実践を目指すものとのことです。
ご関心のある方は、お問い合わせ、お申し込みください。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
(プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなったことから、現在、移行作業中です。)
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