第8回 奥沢ブッククラブ(芥川『蜜柑』)

 2016年5月12日(木)の終業後は、東京・自由が丘へ。
 だいぶ日が長くなってきました。駅から徒歩数分のところにある「シェア奥沢」へ。芸術とものつくりによるコミュニケーションと学びの場です。
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 到着したのは19時前。第8回「奥沢ブッククラブ」が開かれています。
 まず、軽く食事をするのが恒例の読書会。
 主催者兼メインシェフのシゲさん(兵庫出身の男性)が選んだこの日の献立は、何故か粉もん特集。明石焼きにお好み焼き(タコ入り)。
 課題図書がフルーツ(芥川龍之介『蜜柑』)なので、栄養バランスに配慮したということでしょうか。
 ワインや焼耐なども。
 私からは、先日、埼玉・小川町での「自然酒をのむ会」の際に求めてきた晴雲酒造の濁り酒を提供(好評でした!)。
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 食事が一段落したところで、今日は短編と言うこともあり、パソコンで朗読を聴くことから読書会がスタート。
 続いて11人の参加者一人ひとりから、この日の課題図書である芥川『蜜柑』についての感想と、お薦め本の紹介。
 指名されて私が口火を切りました。実は『蜜柑』は私が推薦し課題図書に採用して頂いたもの。短かすぎて読書家の皆さんには物足らなかったかも知れませんが大好きな小説です。。
 高村光太郎と梶井基次郎のレモン、太宰治の桜桃も引き合いに出しつつ、食べ物、特に果物には私たちの感性に直接訴えてくる不思議な力があるのでは等と述べさせて頂きました。
 推薦本は、今読んでいる松尾匡『この経済政策が民主主義を変える』
 ちなみに、この本は6月25日(土)に予定している次回「脱成長ミーティング公開研究会」で取り上げられる予定です。
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 続いて初参加の女性は、パソコンの朗読に「もう少しゆっくり読めばいいのに」とのコメントに続き、島田ゆか『かばんうりのガラゴ』という絵本を推薦して下さいました。
 次の女性からは「『蜜柑』は学生時代に読んで、空に投げられる蜜相の視覚的なイメージが強く印象に残っている」との感想。
 お薦めは岡本太郎『自分の中に毒を持て』
 シゲさんによると、ご自身のベス ト10に入る1冊とのことです。
 常連のベテラン男性は「蜜柑はどんでん返しの鮮やかさが印象に残った」としつつ、「昔、汽車の窓から遠くの人たちにハンカチを振る女性をみたことを何十年ぶりかで思い出した」という体験を語って下さいました。
 お薦めは喜多哲正『挑発の読書案内』『影の怯え』。さらに牧山純子 『JAZZとエロス』
 猫の絵が得意な男性は『蜜柑』は初めて読まれたとのこと。自宅の本棚にあったという古い版の本を持って来て見せてくださいました。なかな趣がある貴重な本のようです。
 お薦めはカティーブン・キング 『トム・ゴードンに恋した少女』。山で遭難した少女がひいきの野球チームのラジオ中継を聞きつつ生還するまでの物語とのこと。
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 シゲさんの推薦本は五木寛之『私訳歎異抄』
 古典は現代に生きている。分かりやすい訳から入り原典を読んでいってはどうか、と。
 次の常連男性のお薦めは福沢諭吉『学問のすゝめ』。学問とは勉強ではなく、問を立てるとの意だそうです。ミヒャエル・エンデ『モモ』はセラピストの模範としての紹介。
 さらに山村明義 『神道と日本人』を紹介されたのをきっかけに、しばし日本人と宗教について意見が交わされました。日本には絶対神がいない。宗教に支配されることがないから幸せなのではないか、等。
 「『蜜柑』では人を思う気持ちを学んだ」という女性のお薦めは坂木司『切れない糸』。商店街のクリーニング店を舞台に人との繋がりが描かれているとのこと。
 もう1冊は立花隆『自分史の書き方』
 続く常連・読書大好きの女性からは「『蜜柑』は木版の漫画もあり素晴らしい」としつつ、お薦めとしてトラヴィス・マクデード『古書泥棒という職業の男達』礒井純充 『コミュニティとマイクロ・ライブラリ』を紹介して下さいました。
 本は人が知り合うきっかけになることを、最近も実際に経験されたそうです。
 「『蜜柑は忘れていたものを思い出させてくれ、素直な気持ちになれた』とする女性のお薦めは、武田双雲『ポジティブの教科書』
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 最後のUさんのお薦めはリザ・テツナー『黒い兄弟』。煙突掃除の少年たちの友情を描いた物語だそうです。
 そして恒例の絵本の読み聞かせ。
 私が食べ物の話ばかりしていることに配慮して下さったのか、ジュティ・バレット『マクドナルドさんのやさいアパート』を朗読して下さいました。街中の一軒のアパートで野菜が栽培され、家畜まで飼われることになるというファンタジー。再読したい本です。
 他に『蜜柑』に関連して、なかがわりりこ(著)、やまわきゆりこ(絵)『みかん』阿川弘之(著)、岡部冬彦(絵)『きかんしゃやえもん』石津 ちひろ(著)、なかざわくみこ(絵)『なぞなぞのみせ』も持参して下さいました。
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 一通り全員が話し終わったところで21時近くになり、次回の相談に。
 シゲさんは「今回は声を出して読むことの大事さを知った。そこで次回は好きな作品を1人ずつ朗読するというスタイルにしてはどうか」と提案。
 話合いの結果、課題図書は中原中也の詩集とし、その中から好きな一篇と、さらに好きな作品をもう一つ朗読することになりました。
 次回の奥沢ブッククラブの日程は6月17日(金)に決定。
 私は中也はあまり読んだことはありません。次回に向けて昼、夜を問わず読まないと。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなったことから、現在、移行作業中です。)
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