2016年5月14日(土)。熊本2日目も好天に恵まれました。
朝の7時半頃に自転車で出発。熊本駅正面から続く白川橋も通行止めになっています。
30分ほどで熊本学園大学(中央区大江)到着。
正門を入ってすぐ右側の大きな建物(60周年記念会館)には「熊本学園大学避難所」の看板。
熊本学園大学は、地震直後から社会福祉学部の教員の方々が中心になって独自に避難所を開設し、地域の高齢者や障がい者等を受け入れています。
入ってみると、教職員のほか学生ボランティア、熊本市および県外の自治体からの応援の方など数名がおられました。
その中に宮北隆志先生(福祉環境学科教授)の姿も。
熊本学園大・水俣学現地研究センター長、環境ネットワークくまもとの代表も務めておられ、熊本在住中から色々とお世話になった方です。その宮北先生がこの日の朝7時半から炊き出し等の当番だとSKさんからお聞きしていたので、お訪ねしたのです。
お話を伺うと、迅速に福祉避難所を開設できたのは、もともと障がい者団体の方たちとのネットワークがあったため。「学園大に行けば何とかしてくれるだろう」と頼りにされていたそうです。
医師免許を持つ教員等で医療チームも結成。介護など実習経験のある学生達(自らも避難者している人も)がボランティアとして戦力となったとのこと。
当初は数百人いた避難者の方は現在は30名ほどに減っているそうです。
一方で一部の校舎は損傷、先生の研究室も書類等が散乱したままという状況の中で授業が再開されているとのこと。
「研究室の片付けでもお手伝いしましょうか」と申し出ましたが、人手は足りているから、とのことで大学を後に。
SYさんに電話してみると、この日は自宅でお孫さんのお守りをされているとのことなので、お伺いすることに。
「ふるさと食農ほんわかネット」(理事長:徳野貞雄 熊本大名誉教授)事務局の方です。
途中、水前寺成趣園(水前寺公園)に立ち寄り。
門前では多くの商店が営業中。いきなり団子屋のおばちゃんに「閉園中で残念ですね」と言うと、脇から無料で入れるよと。
確かに脇の木戸が開いており、入ってみると、受付や売店は16日(月)からの開園に向けて準備中です。
「干上がっている」「水源が枯渇」等と報道されていた池は、底が見えている箇所も散見されますが、思ったより豊かな水があってほっとした次第。鯉も元気で清澄な水の中を泳いでいました。
水前寺公園の下流、江津湖に続く県立図書館脇の水路も豊かに流れています。「水の国・熊本」は失われていません。
SYさん宅に向かう途中の神社の境内には、大量の震災ごみが積まれていました。他県からの応援もあるようですが、収集は進んでいないようです。
ちなみこの神社の鳥居も崩落していました。
SYさん宅にお邪魔。
県職員のお嬢さんは益城町に応援に行かれているそうで、小学生の男の子と2人で(犬も1匹)留守番しながら、ふるさと食農ほんわかネットの機関紙「ドリーム」の封筒作りをされていました。
いきなり団子を持参しましたが、全国の「ドリーム」読者の方からもお菓子等が届いたそうです。
2度の地震で食器棚も本棚も倒れ、危うく大怪我をするところをお嬢さんか身を挺して守ってくれたこと、なぜか食器は高いものから壊れたこと、高級な貝柱入りのラーメンスープがひっくり返って犬が一人で(一匹で)美味しそうに舐めていたこと、2度目の地震のあとは近くの小学校に避難し地面に毛布を敷いて休んだこと、夜中に「津波がくる」というデマで校舎の最上階まで登ったこと、避難所ではペットの扱いに苦労したこと等を、時にユーモアを交えながら話して下さいました。
そして「娘から処分しろと言われているから」と何冊かの本を頂くことに。
故・原田正純先生(水俣学)のサイン入りという貴重なものまで。熊本在住中、SYさんの手引きで原田先生の講義をモグリ聴講したことを思い出しました。
くまモンのぬいぐるみは、非常持ち出し袋になっているそうです。
結局、何の手伝いもしないまま2時間近くお邪魔してお茶とお菓子をご馳走になり、本まで頂いて失礼することに。
自転車で(暑い!)藤崎宮近くの茶懐石 塩梅へ。
熊本在住中、食育の関係等でお世話になった料理研究科のYさんが、自宅を改装されて懐石料理店を営んでおられます。
趣のある門と明るい庭。椅子とテーブルがセットされた畳敷きの座敷も快適な空間です。
やはりお世話になった方達との昼食会です。
見た目も美しく美味しい料理を頂きながら近況を伺うと、皆さんそれぞれに大きな被害を受けておられる様子。
マンション9階にお住まいのMTさんは、数日間エレベータが使えず水を汲んで階段を上がられたとのこと。畳替えはこれからだそうです。
昨日、今朝と付き合って下さっているSKさんは、自宅の片付けは終わっていないなか、子ども・女性被災者支援のための新たなネットワークを立ち上げられ、さらにNPO間のネットワーク作りにも携わっておられるとのこと。
飼い主のいない動物の保護や里親探しの支援をされているMKさんは、片づけが終わっていない自宅に何頭もの迷い犬や猫を引き取っておられるとのこと。
Kさんは自宅の損傷がひどく、今も帰れないそうです。主催されている料理教室のスタジオも大きな被害。それでも、時間がかかっても再開すると決意を述べられていました。こんなに美しい食器で美味しい食事をするのは久しぶり、とも。
何かお手伝いできることがあれば、と申し出ると、MKさんが、それより益城町の避難所に用があるので一緒に行きませんかと誘って下さいました。
言葉に甘えて車に同乗させて頂き、益城町へ。
前日は幹線道路から垣間見ただけですが、脇道に入るとその被害の大きさに改めて声を失いました。
台風の常襲地帯である熊本では、強い雨風から家屋を守るために重たい瓦屋根を乗せていたそうです。そのような比較的古い家屋が、軒並み倒壊している地区もありました。
多くの方が避難されている総合体育館の敷地内の道路にも、多くの亀裂や段差。
駐車場には多数のテントも張られています。中には、ペットとともに入居できるテントも。
MKさんは、ペットを連れた避難者の方に声を掛けられていました。
給水車、自衛隊による入浴施設、川崎市の郵便車による移動郵便局なども設置されていますが、多くの方が不便な避難所生活を強いられています。
市内まで送ってもらい、自転車でホテルに向かいました。
熊本市の中心部にも、倒壊した家屋やコンクリートの欄干が壊れた橋など。大きく傾いた鉄筋のビルもありました。
ホテルへの途中、熊本駅近く(線路脇)の居酒屋さんへ。
阿蘇の地酒「れいざん」を2杯。
焼き鳥、そら豆の炭火焼等を楽しんでいるさなか、ざあっと揺れが来ました。テレビの速報には震度3.の表示。
居酒屋のご主人は「電車が通ったかな」と笑っておられましたが。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
(プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなったことから、現在、移行作業中です。)
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