F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.095

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.95; 2016.6/5(日)[和暦 皐月朔日]発行

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 紫陽花が咲き始めるなか、カレンダーでは6月がスタート。

 和暦では皐月(さつき)に入りました。五月雨月(さみだれづき)の

異名どおり、梅雨入りも間近です。鬱陶しい季節を迎えますが、稲作な

ど農業には欠かせない恵みの雨です。

 

 時の流れを体感するため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と十五

日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は皐月朔日の配信

です。

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  F.M.豆知識

  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

 あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げ

 ていきます。

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「食品に対する安心感、不安感をもたらすもの」

 

 食品に対する消費者の不安感は大きなものがありますが、その要因を

探るとともに対策を検討するのに有益な調査結果があります。

 添付の図52は、2008年に(ちょっと古いですが)農林水産省が消費者

モニターに対して行ったアンケート調査の結果で、食品について安心と

感じているか、それとも不安と感じているかという消費者意識の状況に

ついて、食品供給の各段階に別に調査したものです。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/52_monitor.pdf

 

 これによると、食品に対する消費者の不安の程度は全体として大きい

ものの、段階別にみるとその様子はかなり異なることが分かります。

 

 「家庭での取り扱い方」については9割以上の消費者が安心と感じてい

ます(「安心」が41%、「どちらかというと安心」が50.4%)。次いで

安心感が大きいのが「小売店」の64%(同6%、58%)、「農畜産物の

(国内)生産段階」の56%(同6%、50%)となっています。

 これらに対して、「輸入農産物、輸入原材料」については9割以上とい

う多くの消費者が不安を感じており(「不安」が59%、「どちらかとい

えば不安」が32%)、「外食店舗」についても7割近く(同23%、46%)

が不安感を有しています。

 

 これらの調査結果には、当時、輸入された冷凍餃子による健康被害事

件や外食店舗に置ける食品偽装事件が頻発していたという事情が反映し

ているものとみられます。

 しかし、消費者が食に対して有している不安感の要因には、これら

個々の事件・事故だけではなく、「食と農の間の距離」の大きさが背景

にあることが想像されるのです。

 つまり、自らコントロールできる自宅での取り扱い方や、自ら原産地

表示等をみて選択・購入できる小売店頭においては比較的安心感が高く、

生産や調理の過程が見えにくい輸入食品や外食については不安感が大き

くなっているのです。

 

 なお、食中毒に起因する死者の多くが家庭で発生しているという事実

からすると、食に関するリスクが最も大きいのは家庭といえます。つま

り、ある程度科学的、客観的に評価できる「安全」と、主観に基づく

「安心」は同じものではないことに注意する必要があります。

 

 さて、今回紹介したアンケート調査結果からは、(安全確保のための

衛生管理等を前提とした話ですが、)消費者の食に対する不安感を低減

していくためには、「食と農の間の距離」を縮めていくことか有効な方

策になると考えられるのです。

 次回で考察を続けて行きます。

 

[出典、参考資料等]

 農林水産省「平成19年度食料品消費モニター第3回定期調査結果」

 (2008.10

 http://www.maff.go.jp/j/heya/h_moniter/pdf/h1903.pdf

 

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達、トピックス等を紹介しています。

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 「奥沢ブッククラブ」という本好きの方たちの集まりがあります。

 学生からシニアまで年齢も性別も様々な方たちが、東京・自由が丘の

「シェア奥沢」に月1回集まり、10名前後で読書会を開催しているのです

が、その特色は、まず食事を作って食べることから始めることです。

 最初に一緒に食事をすることで、ほんわかとした柔らかい雰囲気が醸

成され、スムーズに本の話に入っていけるのです。

 

 奥沢ブッククラブの肝いり役をして下さっているのが、シゲさんとい

う男性です。

 読書会の進行役だけではなく、毎回の食事の献立を考え、メインシェ

フとして調理も担当して下さっています。

 大手外食チェーンの関連会社にお勤めで、昔はバーテンダーの修行を

されていたこともあるそうで、食べること(飲むことにも)にこだわり

のある方です。本が好きなことはもちろん、4月のブッククラブ特別編

(花見)では「絵本演芸」(仮称)という新しいジャンルの「芸」を披

露され、回りを爆笑の渦に包んだという多才な方でもあります。

 

 ところで奥沢ブッククラブでは、毎回、課題本を1冊選び、これを読ん

でくることが唯一の参加条件となっています。自から手に取ることはな

かったであろう作品を読むことで、読書の幅が広がり、より深く読書の

楽しみを味わうこともできます。

 

 食べもの、食べることを直接に対象とした作品も何冊も課題図書とし

て取り上げられています。中勘助『銀の匙』、辺見庸『もの食う人びと』、

芥川龍之介『蜜柑』など。

 もっとも文学にしろ何にしろ、食べることと全く無縁の作品というも

のは考えられません。

 

 シゲさんは、「読書は基本的には孤独な作業だが、時には集まって感

想等をシェアすることによって、理解がより深まったり、新しい発見が

あったりする」と語られます。

 

 次回(第9回)は、617日(金)に開催予定。

 恒例どおり18時頃から軽く食事し(献立はお楽しみ)、19時頃から読

書会の予定です。課題本は中原中也の詩集。今回は趣向を変えて、それ

ぞれ好きな作品の一節を朗読することになっています。

 ご関心を持たれた方がおられれば、「美味しい」読書会を覗いてみて

ください。

 

[参考]

 奥沢ブッククラブ(公開グループ)

 https://www.facebook.com/groups/1502500616734458/

 前回の模様(拙ブログより)

 http://food-mileage.jp/2016/05/15/

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 20165月 熊本(13

  http://food-mileage.jp/2016/05/22/

  http://food-mileage.jp/2016/05/23/

  http://food-mileage.jp/2016/05/24/

 

 福島第一原発へのスタディツアー(12 (05/2627)

  http://food-mileage.jp/2016/05/26/

  http://food-mileage.jp/2016/05/27/

 

 交響する都市と農山村 (05/31)

  http://food-mileage.jp/2016/05/31/

 

 中村靖彦さん(元NHK解説委員)を囲む会 (06/02)

  http://food-mileage.jp/2016/06/02/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 ゴマ01プロジェクト2016

 日時:611日(土)9:30武蔵五日市駅集合〜17:00

 場所:東京・檜原村へんぼり地区

 主催:Greensmile

 (詳細、お問合せ等 )

  https://www.facebook.com/events/617616985053209/

 

 東日本大震災による県外・広域避難と避難解除の支援課題を考える

  交流会

 日時:611日(土)13001600

 場所:アミダステーション(東京・八王子市東町)

 主催:結イレブン

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1822483894646393/

 

 奥沢ブッククラブ(第9回)

 日時:617日(金)18:0021:00

 場所:シェア奥沢(東京・自由が丘)

 主催:奥沢ブッククラブ

 (詳細、お問合せ等 )

  https://www.facebook.com/events/539236846256078/

 

 2016年度日本フードシステム学会大会

 日時:618日(土)9:3019日(日)17:00

 場所:東京海洋大学品川キャンパス(東京・港区港南4

 主催:日本フードシステム学会

 (詳細、お問合せ等 )

  https://www.fsraj.org/taikai/2016/

 

 「世界農業遺産」と地域ブランディング

  焼畑と自給の山里・椎葉村に学ぶ

 日時:622日(水)19:0022:00

 場所:From a & e cafe フロマエカフェ(東京・荒川区西日暮里4

 主催:いとなみ大学

 (詳細、お問合せ等 )

  https://www.facebook.com/events/1673223652953782/

 

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* 今号のコツコツ小咄。

「もう6月なのに今朝は肌寒くて、でも上着では暑そうだったから

チョッキを着て出勤したの」

「ベストの選択だね」

 

 注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛()

  投稿中です。

  https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7

 

* 次号No.96は、619日(日)[皐月十五日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

 

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