図55 食品に関するリスク認識


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 「リスク認識についての一般消費者と専門家との違い」
 前回は、リスクの大きさを感じるメカニズムについて紹介しました。
 すなわち、「家庭での取り扱い方」など自分でコントロール可能なリスクは実際よりも小さく、「輸入食品」「外食産業」など逆に他人にコントロールされているリスクは実際よりも大きく感じられるのです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/54_risk.pdf

 今回は、リスク認識の程度が一般消費者と専門家との間で大きく異なるという調査結果を紹介します。

 2015年5月、内閣府食品安全委員会事務局「食品に関するリスク認識アンケート調査の結果」を公表しました。
 これは、一般消費者3,600名、食品安全の専門家(食品安全委員会専門委員)161名を対象としたアンケート調査結果で、専門知識の有無により食に関するリスク認識がどのように異なるかという点に着目して取りまとめられたものです。

 リンク先の図55は、食に関するリスクがあると考えられる23項目について、「ガンの原因になると考えられる項目」として1〜5位に挙げた人の割合を、一般消費者及び食品安全の専門家のそれぞれについて示したものです。

 これによると、専門家(下に伸びる緑のグラフ)ではタバコ(90%)、加齢(78%)が突出して多いのに対し、一般消費者(上に伸びる青のグラフ)はタバコが1位であることは同じであるものの61%と相対的に少なく、多様なものがガンの原因となると考えていることが分かります。

 特に、食品添加物、農薬の残留、食品中の放射性物質、遺伝子組換え食品等については、一般消費者にはガンの原因となると考えている者が多いのに対し、専門家では低い割合にとどまっています。これらの項目については、一般消費者と専門家との間で(専門知識の有無により)リスク認識のギャップが大きいことが分かります。

 この調査結果は、私たち一般消費者が食に関して安心して生活していくためには、自ら正しい知識を身につけていく努力が必要であることを示しています。十分な知識がないまま、いたずらに不安がることは、「風評」にもつながりかねません。私達は、自らの知識が十分ではないことを自覚することが必要です。
 かといって、自ら判断することを放棄し、専門家の言うことを鵜呑みにすれば良いということではありません。

[出典、参考資料等]
 内閣府食品安全委員会事務局「食品に関するリスク認識アンケート調査の結果について」(2015年5月)
 https://www.fsc.go.jp/osirase/risk_questionnaire.data/risk_questionnaire_20150513.pdf

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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