図59 近年における供給熱量、脂質及びたんぱく質摂取量の 熱量、脂質及びたんぱく質摂取量の推移


◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、具体的なデータに即して紹介していきます。
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「近年、大きく減少しているたんぱく質摂取量」

前回は、改めて栄養面からみた日本人の食生活の変貌の全体像について紹介しました。
すなわち、国民1人・1日当たりの供給熱量は1990年代半ば以降減少するなか、供給脂質は大きく増加した結果、脂質の摂取過多など栄養バランスが崩れています。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/58_eiyo.pdf

そのようななか、たんばく質は長期的にみて比較的変動が小さいことから、これまで本メルマガ等でもあまり注目してきませんでしたが、今回は人体をつくる上で必須の栄養素であるたんばく質の摂取量の近年の動向について、やや詳細にみることとします。

リンク先の図59は、前回の図58の折れ線グラフのうち1995年以降について詳しくみたものです。

これによると、エネルギー摂取量は1995年の 2,654 kcalから2014年には 2,415kcal へと9.0%減少し、脂質については同期間に 82.7gから78.8gへと、減少幅は小さいもののやはり 4.7%減少しています。
ところが、たんばく質については 87.9gから 78.5gへと10.7%も減少しているのです。この減少幅は、脂質はもとよりエネルギーの減少率よりも大きい数値です。

このように、近年たんばく質の摂取量が大きく減少していることについては、過度のダイエットや偏食傾向の影響で「摂取するべきたんばく質の量が摂れていない人も増えている」と警鐘を鳴らしているホームページもあります(注1)。

さらには、近年におけるたんばく質を始めとする栄養摂取量の減少が失業率の動きと連動しているとの論調もあります(注2)。
最初これを読んだ時には、単なる偶然か(あるいはトンデモ論か)と思ったのですが、実際に自分で関連するデータや資料に当たってみると、確かに近年の経済情勢が栄養摂取の面にも様々な影響を与えている可能性があること分かってきたのです。
次回に続きます。

(注1)例えば(株)明治ホームページ
https://www.meiji.co.jp/milk-protein/healthy-life/article-1.html
(注2)
松尾匡「この経済政策が民主主義を救う」(2016.1、大月書店)
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b214189.html

[出典、参考等]
農林水産省「食料需給表」
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html
FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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