図60 エネルギー及びたんぱく質摂取量と完全失業率の推移


◆ F.M.豆知識

食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、具体的なデータに即して紹介していきます。
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「近年における失業率の上昇とたんぱく質摂取量の減少」

前回は近年、たんぼく質の摂取量が大きく減少している状況を説明しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/59_tanpaku.pdf

ただし前回使用したデータは供給ベース(農林水産省「食料需給表」)の数値でしたので、今回は、まず、改めて摂取ベースの数値(厚生労働省「国民健康栄養調査」)を確認しておきます。
これがリンク先の図60の上半分の折れ線グラフです。

たんばく質の摂取量(1955年=100)は、1995年には113.8まで増加した後、2013年には94.0へと大きく減少しています(なお、2014年には94.7へとやや増加に転じています)。

これら近年におけるたんばく質摂取量の大幅な減少は、前回みた供給ベースとほぼ同様の傾向を示しています(エネルギー摂取量についても同様です)。

さて、前回紹介したように、近年におけるたんばく質摂取量(及び摂取熱量)の推移が失業率と関連があるとの論評があります。

そこで、試みに完全失業率のグラフを併記してみたのが図の下半分の折れ線グラフです。

1960〜70年代はおおむね1%台で推移していた完全失業率は、80年代に入って2%台へと上昇、さらに2000年代入ると4〜5%台という高い水準で推移しています。

年齢階層別にみると、20〜24歳層では8〜9%台、25〜30歳では6〜7%台と、これら若い世代で特に失業率が高くなっています。

これを先ほどのたんばく質摂取量等のグラフと見比べると、確かに、完全失業率が上昇している1995年以降、たんばく質やエネルギー摂取量が減少に転じていることが分かります。

特に栄養摂取量が総じて多い若年層において失業率が上昇していることは、近年の経済情勢が栄養摂取にも影響を与えているという論調を補強するデータのようにみえます。

次回は、さらに詳しく考察してみたいと思います。

[出典、参考等]
厚生労働省「国民健康・栄養調査」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkou_eiyou_chousa_tokubetsushuukei_h26.pdf
総務省「労働力調査」
http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm

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