前回は、食料自給率が長期的に低下傾向にあるのに対し、木材自給率は近年、上昇に転じていることを紹介しました(もっとも水準としては、カロリーベース食料自給率よりも低いものとなっています)。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2017/04/72_mokuzai.pdf
今回は、林業に関するユニークな動きを示している指標を、もう一つ紹介します。
リンク先の図73は、産業別の就業者数に占める40歳未満の者の割合の推移を示したものです。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2017/05/73_40saimiman.pdf
総務省「国勢調査」によると、全産業の就業者に占める40歳未満の者の割合は、1985年には47%でしたが、その後は徐々に低下し、2015年には34%となっています。このように、日本は全体として就業者の高齢化が進んでいるのです。
農業については、1985年には16%と、もともと全産業平均に比べて低い水準でしたが、同様に低下傾向で推移し、2015年には12%となっています(なお、2005年以降は、農業の就業者数全体が減少する中でやや上昇)。漁業就業者についても同様の動きとなっています。なお、就業者には管理者や事務職等を含んでいることに留意が必要です。
これらに対して、林業の就業者に占める40歳未満の者の割合は、1985年の16%から2015年には26%にまで上昇しているのです。
この背景には、意欲ある若者を対象に林業に必要な基本的技術の習得を支援する「「緑の雇用」事業」が2003年から実施されていることもあると考えられます。
[参考]
総務省「国勢調査」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do?tocd=00200521
林野庁「「緑の雇用」事業」
http://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/koyou/03.html
【F.M.Letter No.118, 2017.5/10】掲載