【オーシャン・カレント】オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村(名古屋)

名古屋の真ん中・栄(さかえ)にある複合施設・オアシス21で、毎週土曜日午前中に開催されているのが「オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村」です。

オアシス21を管理運営する第3セクターと朝市村実行委員会の共催により「朝市村」がスタートしたのは2004年のこと。
 当初は出店農家10戸、来客数100人程度で月2回の開催でしたが、2009年からは毎週開催に変更され、現在は毎回、愛知・岐阜を中心とした約70戸の有機農業に取り組む農家が出店し、約1200人が来場。
 年間売上高は約5500万円という規模となっているそうです。

生産者にとっては、この場で農産物を直売できるだけではなく、有機農産物を扱う流通や飲食店の関係者との出会いの場となり、販売拡大と経営の安定につながっているとのこと。
 また、生産者同士の情報交換の場にもなっています。有機農業に取り組む生産者は全体のなかではまだ少数派ですが、「朝市村」は、志を共にする仲間が週1回定期的に集い、切磋琢磨する貴重な場ともなっています。
 また、有機農業で新規就農を志望する人たちのための「就農相談コーナー」も常設されています。ここを窓口に新規就農した方は30人を超えており、有機農業を広めていく上で、さらには新規就農者が移住した地域の活性化の面でも、朝市村は大きな役割を果たしているのです。

さらには、対面販売が原則であることもあり、出店者(農家)と消費者(都市住民)との間の「顔が見える」交流にもなっています。
 農家と親しくなった消費者(子どももいます。)がボランティアとして朝市村の運営に関わるようになり、さらには消費者が農作業の手伝いに農家を訪ねるケースも年々増えているなど、都会の真ん中にある「畑の入り口」の役割も果たしています。
 朝市村でも、新規就農者が移住した地域へのツアー等を企画されています。
 なお、愛知県栄養士会による「栄養相談コーナー」、東海農政局「移動消費者の部屋」も定期的に開設されています。

このような取組みは、生産者(農村)と消費者(都市)との新たな交流モデルとして高く評価され、2016年には第45回日本農業賞(食の架け橋の部)大賞を受賞されました。

朝市村の事務局(村長)を務めておられるのは、吉野隆子(よしのたかこ)さん。
 「当初の目的は有機農業の新規就農者の販路を拡大することだった。ところが始めてみると、消費者も農家との交流を求めていることが分かり、想像を超えて次々と双方向の交流が生まれていった」とのこと。
 吉野さんは「もっと“笑顔の種まき”をして、オーガニックの裾野を広げたい」と願っておられます。

[参考]
 オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村
  http://www.asaichimura.com/
 第45回日本農業賞(食の架け橋の部)大賞
  http://www.nhk.or.jp/nougyou/awards/award2016/index.html
 拙ブログ(2017年6月3日に訪問した時の様子)
  http://food-mileage.jp/2017/06/06/blog-24/
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-オーシャン・カレント」
  http://food-mileage.jp/category/pr/

F.M.Letter No.120, 2017.6/9】掲載