2017年4月27日(金)の終業後は、東京・西池袋の豊島区地域活動交流センターへ。
4Fの会議室を除くと人で溢れています。何とか入り口脇の椅子を確保。
この日18時30分から開催されていたのは「市民が政策をつくる!白石孝トーク&読書会」。
主催はECOM(エコ・コミュニケーションセンター)です
これまで非正規労働者やマイナンバー制度について問題提起されてきた白石孝さんが、このたび『ソウルの市民民主主義-日本の政治を変えるために-』(2018.3、コモンズ)を出版されました。
この日は、最新の現地での取材内容を含めた報告会。「韓国の市民民主主義に学ぶ市民の政治と自治」というタイトルの詳細なレジュメも配って下さいました。
以下、白石さんのお話の概要(ごく一部)です。
なお、中田は19時前に到着したのでお話はすでに始まっていました(文責・中田)。
「韓国や朝鮮の専門家ではない私がこのような本を書いたのは、ソウル市の市民民主主義(社会民主主義、福祉国家路線)の実相を伝え、日本の『たこつぼ』的とも言える閉鎖的運動の転換を提案したかったため」
「2011年10月に民主派のパク・ウォンスン弁護士(野党統一候補)がソウル市長に就任。ここからの動きは日本と逆の方向。ムン・ジェイン政権が社会民主主義を原則としているのも、ソウル市政があったため」
「韓国の選挙は予備選挙が当たり前で(密室的根回しはない)、詳細な公約=マニフェストが作られる。
2011年10月選挙の三大公約は小中学校の給食完全無償化、市立大学授業料半減、公共部門の非正規労働者の正規化。具体的な327の公約事業については市民モニター等による内部・外部評価が実施されており、現在までに9割近くが完了。市の無期契約職2442人全員を正規職に転換させた」
「福祉担当公務員を増やし、中学校区単位で住民センターを設置。生活保護世帯等を訪問する『出前する福祉』も実施。センターは社会的起業や就労の受け皿にもなっている。地域の協働により貧困をなくしていこうという政策」
「6年でここまで変わったのは、ヨーロッパ型の普遍的な福祉を目指す方向に転換するという政治思想を明確に打ち出し、それを市民みんなが受け止めたため。
ソウル市では課長クラス以上の決済文書が翌日にはインターネットで公開されている。
教育を充実させることは、他人を思いやる心を醸成することにもつながる」
「今回の訪韓では権威ある大学教授に会って、財源についても聞いてみた。それによると、国民との信頼関係を作るのが先であり、増税するには国民合意が不可欠との話だった」
「このような市民民主主義の方向は、韓国が突飛なわけでも特に進んでいるわけではない。ポルトガルやスペイン、イギリス、さらにはアメリカのサンダース支持者の主張とも軌を一とするもの。ところが日本だけが遅れている」
報告を受けて、会場との間で活発な意見交換がなされました。ECOMの森さんがホワイトボードに書き出していかれます。
日本ではなぜ政権交代が行われないのかという質問には、白石さんからは、
「日本も昔は二大政党制だったが、それが政治的に解体された。韓国では左派の主張も孤立することはない」
一般市民の意識の高さに違いがあるのでは、との質問には、
「はっきり言って日本だけが例外。韓国では若いカップルも選挙集会に来る。欧米でも当たり前。ところが日本では、職場でも家庭でも政治の話はしない。政治と市民の距離が離れている。政治に対する信頼感が失われていることがその理由」
そして白石さんは、「市民が政治を変えていくという意識を私たちは持たないといけない」とまとめられました。
白石さんのご著書、これからしっかりと読んで勉強させて頂きます。
終了後は、駅前の「養○乃瀧」本店へ。老舗居酒屋チェーンの本店は池袋にありました。
ちなみにここで「バクハイ」(焼酎のビール割)を飲むと、一部が豊島区内のNPO活動を支援する基金に積み立てられるそうです。
もっとも実のある額を寄付しようとすると内臓がバク発しそうですが。