【豆知識】回復していない福島産米の価格


 東日本大震災と原発事故から7年以上が経過し、多くの人の関心が薄れつつあるなかで、福島県産農水産物に対するいわゆる「風評」被害は現在も解消されていません。
 その状況は品目等によって千差万別なのですが、ここでは特に米の価格に着目します。

リンク先の図96は、福島県産コシヒカリの相対(あいたい)取引価格の推移を示したものです。なお、相対取引価格とは、全国の出荷団体等と卸売業者間の取引価格です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/04/96_aitai.pdf

これによると、震災前は全国全銘柄平均とほぼ同水準にあった中通り、浜通り地方のコシヒカリの相対価格(全国全銘柄平均=100)は、2011年以降、大きく低下したことが分かります。その後、最近は上昇しているものの、特に浜通り産については震災前の水準にまで回復したとは言えません。

他の品目をみると、例えばキュウリについてはほとんど価格差は解消されています。これらに比べて、全量全袋検査までして最も安全性が高いとも考えられる米が苦戦している状況は注目されますが、この背景には商品としての季節性、保存性、産地の代替性といった要因があるものと考えられます(「ほんのさわり」欄参照)。

[出典]
 農林水産省「米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等」
 http://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/aitaikakaku.html