◇フード・マイレージ資料室 通信 No.173◇
2019年8月1日(木)[和暦 文月朔日]発行
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◆ F.M.豆知識 子どもの自然体験と行動習慣
◆ O.カレント こども霞が関見学デー
◆ ほんのさわり 鈴木善次(監修)『食農で教育再生』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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和暦では文月に入りました。梅雨明けとともに日本列島は一転して猛暑に見舞われています。皆様、本当にどうぞご自愛下さい。
今号は、子どもの体験の大切さを意識した内容となりました。
時の流れを体感するため、本メルマガは和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/mame/
-子どもの自然体験と行動習慣-
国立青少年教育振興機構では、2006年度から自然体験や生活体験等の実施状況と自立に関する意識等について、全国規模の調査を実施しています。
2016年度には、青少年の行動習慣(自律性、積極性、協調性)と、体験活動(自然体験、生活体験、お手伝い)との関係について検証が行われました。
対象は全国の公立の小学校4~6年生、中学校2年生、高等学校2年生で、回収数は約1万8千です(他に保護者にも調査を行っています)。
リンク先の図173は、この結果の一部を図示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/07/173_taiken.pdf
これによると、自然体験が豊富な子どもは、自律性、積極性、協調性といった自立的行動習慣が身についている傾向があることが伺えるのです。
なお、「自然体験」の内容は「海や川で泳いだこと」「チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたこと」「野鳥を見たり、鳴く声を聞いたこと」等です。
また、自律性とは「人の話をきちんと聞く」等、積極性とは「困った時でも前向きに取り組む」等、協調性とは「困っている人がいたときに手助けをする」等を表しています。
もっとも、このグラフは「傾向」を表したものに過ぎず、因果関係まで証明している訳ではないことには留意が必要です(積極性や協調性のある子どもほど、自然体験に参加する傾向があるとも読めます)。
[出典等] 「青少年の体験活動等に関する意識調査(2016年度調査)」
http://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/130/File/gaiyou.pdf
◆ オーシャン・カレント-潮目を変える-
食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/pr/
-こども霞が関見学デー-
「こども霞が関見学デー」は、文部科学省をはじめとした府省庁等が連携して、子どもたちが夏休みに広く社会を知る体験活動を提供するととももに、国の施策に対する理解を深めてもらうことを目的として、2000年度から実施しているものです。
本年は、8月7日(水)から8日(木)の10時から16時の間に、25の府省庁において開催されます。
農林水産省における展示や体験の内容は、以下のようなものです(例)。
・きみも和食王になろう!(かつお節を削ってみよう)
・野菜・果物のクイズ
・測って遊ぼう!統計ランド(木になるリンゴの数を計測してみよう)
・田んぼにすむ生きものの展示
・ジビエをもっと身近に!
・バナナからDNAを取り出してみよう
・牛の模型で乳搾り体験
・牛乳パックのマイ畑に種まき体験
・クジラについて学ぼう!
・知って応援しよう!福島の漁業 等々
子ども達の夏休みの宿題にも役立つメニューが満載です。また、省内の食堂ではお子様用特別メニューも用意していますので、ぜひ、足をお運び下さい。
また、地方農政局等の出先機関でも子ども向けイベントを開催予定です。
なお、当日は水分補給をこまめに行うなど、熱中症予防にご注意下さい。
[参考] 農林水産省ホームページ
http://www.maff.go.jp/j/kids/experience/k_d/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/br/
(監修)鈴木善次、(編著)朝岡幸彦、菊池陽子、野村卓
『食農で教育再生-保育園・学校から社会教育まで』 (農山漁村文化協会、2007.2)
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540063049/
本書は、食育基本法が成立(2005年)し「食育」という言葉が流行になっていた当時、それ以前から地道に「食農教育」に取り組んできた研究者や実践者により、将来の日本の「食」のあり方、教育のあり方について検討されたものです。
ここでは食農教育を人間関係を形成する関係力の回復の場として、あるいは地域における活動に参画しながら社会と自然との共生を目指す教育実践として捉えなおそうとしています。
本書には多くの事例が紹介されていますが、特に「野の文化学習会」が中心的に取り上げられており、主催者(都市部の市民団体)、受け入れ農家、学識経験者の立場から、多面的な論評がなされています。
主催者である「生活文化・地域協同研究会(埼玉)」(「協同研」、菊池陽子代表)は、子どもの孤食等が広がる中、「地方で子どもがのびのび過ごせる」場作りのために、1992年から親子農業体験の活動を始めました。食育基本法から13年も前のことです。
農作業の後でみんなで囲んだ食事では、不登校の子どもが「お代わり」の列に並ぶのを見て、一緒に参加した母親が涙を流したといったエピソードも紹介されています。
一方、受け入れ側である農家・八木原章雄さん(秩父市横瀬)は、江戸時代から続いていた養蚕から観光農業への転換を模索されていたそうです。そのような時に協同研からの申し出があり、意気投合して活動を始められたとのこと。
その後、15年以上継続されたこの学習会は「都市との交流というスパイスの効いた新しい農村開発」という分野を開拓したと評価されています。
実は私も、この協同研の一会員として、野の文化学習会には何度も参加させて頂きました。残念ながら、主要メンバーの高齢化もあって現在は活動は中断されていますが、先駆的な食農体験の実績として高く評価されるものです。
菊池さんの「食べることは生きること」という言葉(口癖)は、今も心の中に大切にとどめています。
◆ 情報ひろば 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 大平農園から共奏キッチン♪へ[7/20]
https://food-mileage.jp/2019/07/20/blog-208/
○ 第3回 東雲会(@千葉大・園芸学部)[7/28]
https://food-mileage.jp/2019/07/28/blog-209/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ こども霞が関見学デー
日時:8月6日(火)、7日(水)18:00~22:00
場所:農林水産省(東京・霞ヶ関)ほか
主催:各府省庁 (詳細、お問合せ先等↓)
http://www.maff.go.jp/j/kids/experience/k_d/
○ へんぼり集落夏祭り!(みんな久しぶり!あの興奮をもう一度!)
日時:8月10日(土)~11日(日)
場所:へんぼり堂(東京・檜原村人里)
主催:東京ひのはら村ゲストハウス・へんぼり堂
(詳細、お問合せ先等↓)
https://www.facebook.com/events/362002391153970/
○ 奥沢ブッククラブ第47回
小松左京『地には平和を』
日時:8月12日(月・祝)
場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢2)
主催:奥沢ブッククラブ
(詳細、お問合せ先等↓)
https://www.facebook.com/events/499868187448583/
○ 47都道府県レストラン・箕と環(MINO TO WA)オープン
日時:8月15日(木)17:00~
場所:東京・中央区日本橋本石町4
主催:箕と環(MINO TO WA
(詳細、お問合せ先等↓)
https://minotowa.therestaurant.jp/
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*舞麗児忽々の今号のコツコツ小咄。
「いつも家で仕事してるから、たまに出勤して顔を合わせると気恥ずかしいね」
「テレ(照れ)ワークだね」
注:コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
http://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号 No.174は8月15日(木)[和暦 文月十五日]の配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
いつもありがとうございます。
http://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
https://archives.mag2.com/0001579997/
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
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ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
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メルマガ「フード・マイレージ資料室 通信」(バックナンバー)
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