【ブログ】Jazz & Reading Night「本当の戦争の話をしよう」

2019年9月6日(金)は久しぶりの晴天、気温も上昇。
 台風13号は先島諸島から朝鮮半島に抜けつつありますが、週末には台風15号が本土に接近との予報。

 終業後は東京・国分寺へ。
 中華料理店で腹ごしらえ(肉あんかけ炒飯など。美味!)した後、アートとジャズのライブハウス “Art × Jazz M’s” へ。
 以前は吉祥寺にありましたが、現在はこちらに移転されています。

「理系兄弟」(有賀醸造、福島・白河)という珍しい日本酒を頂いているうち、19時30分過ぎに「Jazz & Reading Night 本当の戦 争の話をしよう~『愛』や『運動』や、あれやこれや」が開演。

 ジャズトランペッター・伊勢崎賢治さんのグループによるジャズ演奏と、Social Artist・中村陽一さんのグループによる朗読のインプロビゼーション(即興イベント)です

伊勢崎さんのトークからスタート。
 伊勢崎さんは1957年生まれ。国連職員として東ティモール、シエラレオネ等での武装解除等に従事。立教大、東京外国語大学大学院教授で、プロのジャズトランペッターとしても活躍中です。著書も多数。
  これまでも何度かライブやセミナーに参加したことがあります。

伊勢崎さんのトークから始まりました(文責・中田)。
 「今日、取り上げるのはティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』。自分もあえて同じタイトルの本を出している」

 「様々な戦争がある。戦争というと、多くの日本人にとっては先の大戦のことを意味し、それ以降、日本は戦争はしていないと考えられている。憲法9条があるからという人もいる。
 しかし、ベトナム戦争の時は、私が住んでいた立川から多くの米軍機が出撃した。私たちはどこかの戦争に関与している。今の日本の平和は、誰かの犠牲の上に成り立っている」

 伊勢崎さんはトランペットを手にして、かみむら泰一さん(サックスほか)、坂本千恵(ピアノ)とのトリオによる演奏が始まりました。
 激しく、むせび泣くような音色です。

演奏の合間に伊勢崎さんのトーク。
 「先月、97歳で他界した母が95歳の時、母が育ったサイパンに行った。バンザイクリフも訪ねたが、母は戦争のことを語ろうとはしなかった。近代戦は民間人が犠牲になる」

 「シエラレオネ内戦の資金源になっているのは、ダイヤモンド鉱山資源の利権。2002年にダイヤモンドの不正取引を規制するためのキンバリープロセスができ、欧米では取組みが進んでいるが、日本は今も戦争ダイヤを貪っている。
 現地で子ども達が戦争兵器にされている底辺に、日本人の消費生活がある。日本の消費者には想像力が欠けている」

「私たちは、70年前の戦争を反省しているというジェスチャーを免罪符にしていないか。日本人が平和を愛する民族であるなら、他国の戦争や平和のことについても、そろそろ目覚めるべき。
 無批判に今の消費生活を送るのではなく、寄付など、もう少し自腹を切ってもいいのではないか」

休憩を挟んだ後半は、中村陽一先生がマイクを取られました。
 中村先生は立教大学21世紀社会デザイン研究科教授。社会デザインやソーシャ ルビジネス等がご専門で、自らも様々な市民活動に参画されている方。

「社会を変えるといっても、人の考えはなかなか変わらない。そこでアクション、行動から変える。
 分断されている人たちのパワーとリソース組み合わせるためには、コミュニティオーガナイザーが必要。これがソーシャルデザインの考え方。アートとエンジニアリングが必要」
 等のお話に続き、まず、ソーシャルデザインのシンボル的な曲として、ピアノの坂本さんが作られた曲が披露されました。

 続いて、 中村先生と、中村先生が講師をされている座・高円寺「劇場創造アカデミー」の卒業生の方達によるティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』の一節の朗読。

 文章を読むだけでは十分に感じられなかったベトナム戦争の酷さや従軍した著者の思いが、直接的に伝わってきます。

朗読に合わせて、伊勢崎さん達が演奏を合わせられます。
 ジャングルの湿った空気が肌で感じられるような効果音も混じります。

続いて中村先生は、1963年の「ワシントン大行進」時のキング牧師の演説『私には夢がある』を高らかに朗読されました。

 「I have a dream、私には夢がある。いつの日かこの国が立ち上がり、すべての人は平等であるという理念が真の意味で実現することを。
 I have a dream、私には夢がある。いつの日か荒地が平原となり、神の栄光が姿を現し、すべての人間がそれを一緒に見ることを」等々。

最後に、再び伊勢崎さんがマイクを取られました。
 「日本国憲法は、9条以前に素晴らしい条文がある。それは13条。基本的人権、平に生きる権利を規定している。世界の人々は平和に生きる権利がある」

 そして最後に、「平和に生きる権利」というタイトルの曲が演奏されました。

20人ほどで満席となるような小さなライブハウスで、濃密な時間を過ごすことができた一夜でした。

 お店を出ると、いつもと変わらない週末の平和な東京の景色。